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公開日:2019/07/01  

文化財に指定されている刀を買取に出す時に必要な申請方法

文化財に指定されている日本刀を所有なさっている場合、専門店などの第三者に買取をしてもらっても法的に問題がないのか不安を抱くことは無いでしょうか。

実は文化庁に予定対価を届けるなど、一連の手続きを踏めば問題なく処分することが可能です。

 

日本刀などの指定文化財の意義と管理のポイント

日本刀などの指定文化財の保護や管理・処分については、保護法が制定されています。同法の目的は貴重な文化的資産であることに鑑み、大切に保存管理するとともに出来るだけ公開するなど、広く文化的価値の共有に資することを定めています。同法には適正な管理のため所有者が変更したときや、所在保管場所を変更したときの手続きなどについても定めているのです。

日本刀などの指定文化財は、経年劣化する脆弱な素材で出来ているのでその特性を踏まえて劣化しにくい環境で保管することが必要です。点検や清掃や保管環境場所の整備や害虫の防除など、所有者には日常的に適正な管理のための配慮を怠らないことが求められているわけです。

特に放火による焼損や盗難被害による流出などは社会問題になっています。放火や盗難・地震などの震災被害に遭遇することの無いように安全な場所での管理が必要なほか、保護法では所有者による重要文化財の海外への輸出は一部の例外を除き禁止されているなど特別な義務も課されています。

この点は日本国民の重要な文化的財産であることが重視され、近頃問題となっている貴重な文化的資産の海外流出を問題視した当局の危機感が保護法に反映されたものと考えることが出来ます。

なお日常的な保管管理は原則として所有者がこれを行いますが、所有者は海外への長期間赴任するなどの特別な事情がある場合に限って、管理責任者を選任して管理を任せることが出来ます。

 

日本刀などの指定文化財を買取してもらうときの手続き

文化財の指定を受けた日本刀を、専門業者などに買取ってもらうことは可能です。国民の重要な文化的資産であることに鑑みて、適正な管理義務などが所有者には課されているものの一般的な美術品と同様に個人の財産の一つである事実に変わりはないからです。しかし一般的な美術品のようになんの制限もなく買取ってもらうことは出来ません。

まず事前手続きとして、指定文化財を買取ってもらうなどの有償での譲り渡しを行おうとするときは文化庁に売り渡しの相手方や予定対価などを指定の様式に記載して文化庁に届け出る必要があります。この売渡の事前申し出の制度は国による優先買取権の行使の機会を与えるために制度化されているのです。

なぜなら貴重な文化的資産を公有化することにより適切に保護することを保証するために、優先買取り権を国に認めています。売り渡しの事前申し出があった場合に、国は30日以内に買取るか否かの判断を決定し所有者にこれを通知する義務があるわけです。

買取る場合は、申し出のあった予定対価相当額で買い取る旨を通知し、買い取らない場合はその旨の申し出を通知した所有者などに行います。ここで注意が必要なのは、この事前申し出は有償で処分をする場合に必要になる手続きであって、相続や寄付などの無償での取得の場合は規制の対象外になるということです。あくまで金銭の授受などを伴う場合に限定されています。

 

相続や売買したときの注意点

文化庁などから指定を受けた場合には、都道府県の教育委員会を経由して通知書を受け取ることになります。これは文化庁などの公的機関からの公証する書面であるため、大切に保管する必要があります。

第三者に売却するなどの前提として相続などが発生した場合は所有者を変更することになります。文化庁に予定通知して国が買取の申し出をしないときも同様に、所有者を変更することになるわけです。所有者を実際に変更したときも、事後手続きを踏むことが必要になります。

つまり新所有者は指定文化財を相続や売買などで取得したときには、取得後20日以内に指定書を添付して所有者の変更届を行政庁に提出する必要があります。所有者が変更になった場合には、新所有者の責任において所有者変更届が必要になる点は注意が必要です。従って新所有者には指定書もあわせて交付する必要があるわけです。

なお所有者変更手続きを踏む際には、所有権の移転が行われた事実を証明する文書もあわせて添付する必要があります。具体的には売買契約書や領収書、遺産分割協議書・押印した印鑑についての印鑑証明書などがこれに該当する書面になるわけです。なお売買契約書には売買対価に応じて、収入印紙を貼付して割り印をする義務があります。

ちなみに届けを怠ったり虚偽の届出を行ったり新所有者に指定書を交付しなかった場合には、5万円以下の過料に処せられます。

 

指定文化財は国民の貴重な文化的資産であるため、売買する場合は事前に文化庁に予定対価を届け出る必要があります。購入後は新所有者が通知書や売買契約書などをそえて所有者変更届けも必要です。

一連の手続きを踏むことで適正に買取などを実践することが出来ます。

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