Skip to content
公開日:2019/12/01  

売却する前に知っておこう!日本刀の種類とは?


一言で日本刀と言っても、その種類はさまざまあります。高く買取ってもらうためにはきちんと刀剣の種類を知る必要がありますが、古書を見てもなかなか判断がつきにくいこともあるでしょう。ここでは売却前に知っておきたい日本刀の種類について解説します。

形式や寸法から種類分けされる

日本の伝統的な刀剣には種別があります。多くの人が思い浮かべるのは打刀ですが、これは映画や時代劇などで多く目にする機会があるからでしょう。打刀は時代としては江戸時代がメインですが、刀剣には形式や寸法による区分けがあり、必ずしも一般的にイメージされるものとは限りません。

現在、刀剣は日本の伝統美術品として世界に広く認識されていますが、日本刀にはいわゆる刀や剣、太刀といったものの他にも短刀や脇差などがあります。そして、長い柄のついた薙刀と槍も刀剣の一種となり、同じく日本刀の仲間に分類されることも覚えておきたいところです。大別される種類としてはこの7種ですが、それぞれの種別の中でも長さによって呼び分けられているため、名称はさらに細分化されます。

例えば非常に長い太刀を大太刀、短い太刀を小太刀と言ったり、脇差にも大脇差や小脇差などがあります。いずれも大変優れた日本の伝統美術品として認められますが、買取に出す前に自身が所有する刀剣がどういった種別かは是非把握しておきたいところです。

そして何より、日本刀は材質から製法まですべて厳密な定義があり、単に形が似ていれば認められるものではないことを知っておきましょう。日本産の玉鋼を用いて日本の刀工が鍛造した刀剣のみが定義に該当しますので、例え似た形の刃物であっても海外産の模造刀とは混同しないように注意したいですね。

主な刀剣を種別ごとに解説

それでは刀剣の種別についてそれぞれまとめてみましょう。

・剣
剣は日本で最も古くから製造されていたもので、非常に製作数が少なく貴重な種別です。当時鍛造が非常に難しかったこともあり、時代も場所も限定されるうえに現存するものがほとんどありません。

現在分かっているものの多くは鎌倉時代以前のもので、製造場所は京の都近辺や大和などです。長さも短めで一尺未満が多く、その形から槍なのではないかと議論される場合もあるほどです。

剣の中で最も知られるものは、三種の神器の一つである草薙剣です。ほかにも神社のご神体として扱われているものが多く、剣が当時から神聖視されていたことの証と言えるでしょう。数が少ないため、非常に希少で高価な刀剣と言えます。

・太刀
太刀は刃幅が広く、時代としては南北朝期以前に用いられたと考えられています。当時の戦は主に騎馬戦だったため、馬上で振るうために刃渡りが比較的長めに作られ、反りも深い特徴があります。

ただ、江戸期以降に腰に差すため磨き上げられたものも流通しており、生ぶ(うぶ)の状態で現存するものは希少価値が高くなります。太刀自体は南北朝期以前の時代に作られたものでも、磨き上げられてしまうと生ぶとは言えないため、単に刀として扱われることは認識しておきましょう。

ちなみに腰に差す際、刃を下にして差すのが太刀、上にして差すのが刀です。すべてではありませんが、太刀は刃を下にしたときに銘が左側へ来るように太刀銘が切られているのが特徴ですので、覚えておくと良いでしょう。長さによって大太刀と小太刀とに分けられますが、熱田神宮には七尺を超える太郎太刀が所蔵されています。

・刀
前述の通り、腰に差す際、刃を上にして差すのが刀です。銘が左側へ来るようにするため、刃を上にしたときに左側に刀銘が切られるのが特徴で、登場したのは室町期以降です。こちらは槍による集団戦をサポートする目的で用いられた武器で、鍛造されていた時代が非常に長く、刀剣類では最も現存数が多いのが特徴です。

・短刀
匕首とも呼ばれますが、室町期以前、もしくは幕末以降に鍛造されたものが非常に多く見つかっています。特徴は江戸期にほとんど作られていないことで、現存数は比較的少なめです。短刀の有名な刀工には藤四郎吉光と新藤五国光の二人がいて、両工作であれば非常に高値で取引されます。

・脇差
腰に差す大刀に添えて差す短めの刀です。大半は室町期以降に鍛造されており、比較的新しく、比較的現存数も多めです。江戸期になると、庶民でも脇差を腰に差すことが許されていました。そのため数も多く希少性はないため、前述した短刀より扱いは低めです。

刀剣の種類である薙刀と槍について解説

薙刀と槍は、日本刀と聞いたときに一般的にはなかなかイメージされない種別かもしれません。それぞれについて解説します。

・薙刀
矛が源流とされる刀剣で、非常に長い柄を持つ武器です。その名は敵を薙ぎ払うという意味から来ており、一説には平安期以前からすでに使用されていたと言われています。

文献にその名を確認できるのは平安期で、平安末期から鎌倉期にかけて最盛期を迎えました。その後槍が登場し、槍による集団戦がメインの戦法になるに従い、徐々に鍛造されなくなり江戸期以降はほとんど作られていないのも特徴です。

薙刀の刃の形状には2種類存在し、反りが少ないものは源義経の妾であった静御前の名を取って静型、反り強いものは木曽義仲の妾であった巴御前の名を取って巴型と呼ばれているのも特徴でしょう。

・槍
槍は薙刀の後の時代に登場した柄の長い武器であり、現存する最古のものは鎌倉初期となります。前述のように室町期には集団戦がメインの戦法となり、槍は非常にたくさん鍛造されるようになりました。残念ながら消耗品だったために非常に大量に鍛造され、刀剣類の中で最安価の扱いになることは覚えておきましょう。

 

日本刀と一言で言っても7種類の種別があり、それぞれ希少性の違いから買取価格にも開きがあります。売却を考える際には、まず自身が所有する種類が何にあたるのかを確認し、相場を知ることが大切です。

そのうえで銘の有無や刀工、希少性などを加味し、サイズや状態を確認するのが一番です。同じように見えても生ぶの太刀と江戸期以降の太刀とでは価値が大きく変わるように、真の価値は知識なくして知ることはできません。どういった経緯を辿って来たものなのか、歴史を知ることも大切です。

よく読まれている記事