家系で代々受け継がれていたり、亡くなった遺族の遺物として残ったりするものとして骨董品は代表的ですが、中でも処分に困るのが日本刀です。飾っておこうにも場所をとるので、売って処分したいと思う方も多いでしょう。どうせ売るなら、高く買い取ってもらいたいものです。ここでは、日本刀買取で重視されるポイントについて紹介していきます。
登録証があるかは必ず確認しよう
日本刀の買取にとって、買い取る側だけでなく売る側にも必要なのが登録証というものです。登録証というのはさまざまな役割を果たすものですが、銃や日本刀は構造上、人を傷つける武器として使うことも可能なので、「武器として刀を扱うのではなく、骨董品として扱っています」と証明するために必要な書類だといえます。
登録証がない状態で刀を所持したり売ろうとしたりすると、法律によって処罰の対象となってしまうこともあります。そのため、登録証が存在しなければ売ることができません。元から登録証がない、もしくは紛失した日本刀の場合、改めて登録証をもらう方法があります。
まずは、近隣にある警察署に所持している刀剣と身分証明書などを持っていきましょう。警察署では、刀剣類発見届出済証という書類が発行してもらえます。その後、教育委員会などの団体から登録審査会のお知らせが届くので、刀剣類発見届出済証と登録書を発行したい刀剣を持って、指定された場所へ行きましょう。とくに問題がなければ、発行費用として約6,000円支払うと登録証をその場で発行してもらうことができます。
注意すべきなのが、登録審査会では刀剣が偽物など価値に関係なく発行されるため、刀の真贋がそれで確認できるものではないということです。発行できたからといって、高価買取が約束されるわけではないので理解しておきましょう。
価値のある日本刀かどうかも重要
日本の刀剣を査定する際の評価ポイントとして重要になるのが、価値のある日本刀かどうかという点です。価値を決めるポイントはいくつかありますが、刀剣の場合には誰が作った刀なのかが重視されることもあります。刀を作る職人のことを刀工や刀匠と呼び、日本刀の世界では人気の高い刀工がいます。
とくに技術力の高い刀工の品は現存しているものが少なく、とりわけ高価で査定されることが多いです。歴史的に価値の高いものだけでなく、そのときの需要や、人気のあるスタイルの日本刀も高い評価を得られる可能性はあります。
また、どの刀工が作ったかというブランドに関係なく、有名な偉人が使っていたとされるものも、骨董品として非常に価値が高いです。これは証明するのが非常に難しく、腕のよい鑑定士でも査定が難しい面はあるので、代々受け継がれているからといってそれが本当に価値あるものかを正しく判断するのは簡単ではありません。人気職人の銘が入ったものであれば査定の難易度も下がるので、高価買取が狙いやすくなります。
また、日本刀に限らず骨董品において共通している評価ポイントが真贋のチェックです。美しい刀はそれだけ人気があり価格も上がりますが、贋作を作って売ろうとするような人は昔から一定数いたので、真作だけではなく当時作られた贋作も数多く現存しています。ただ、贋作であっても完成度が高ければ、高値で買い取ってもらえる場合も可能性としてあげておきましょう。
刀剣としての状態がよいかどうか
骨董品として扱われる以上、どのような状態で残っているのかも大切になります。日本刀の場合に見られるのが、刀身の部分が錆びたり刃こぼれしていたりしないかという点です。例え銘として人気のないものだったり、贋作だったりする場合でも、完成度が高く状態のよいものであれば高価買取が狙えますが、錆びや刃こぼれがある場合はなかなか買取価格が高くなりません。
また、それ以外に鍔や柄の状態もチェックされます。とくに刀工の特色が出やすい鍔は、状態が良ければ再利用されるケースもあるため、鍔単体で高い価値があることもあります。むき出しではなく鞘があるかないかでも状態の評価がなされるので、もし鞘がある場合は鞘に納めた状態で査定してもらうようにしましょう。
歴史ある日本刀の場合は劣化しやすいので、放置しておかず定期的に手入れをする必要があります。本格的に手入れをしようと思うとかなりの工数になってしまうので、手入れは上質なティッシュペーパーやタオルなどで丁寧に刀身を拭き、化粧品のコットンなどに油をしみこませ、再度拭うだけでも大丈夫です。
また、刀身の素材にもよりますが、基本的に高温多湿の環境は錆びなど劣化の原因となってしまいます。できればリビングなどは避け、日光が当たらず湿度が低い箪笥や棚に閉まって保管する方がよいです。既に錆びがあったり、刃こぼれしていたりする場合も、そのように保管して劣化をとめておきましょう。
人気ある刀工の日本刀は、それだけでも高い評価を得ることができます。それ以外にも数多くの評価ポイントが存在しますが、登録証が無ければ売ることができないので、必ず発行しましょう。保管方法などを工夫して状態をよくしておけば、高価買取の可能性が高くなります。