ひところの刀剣ブームを経て博物館や展示会で日本刀を鑑賞するのもいいけれど、自分のものとして自宅でじっくりと眺めていたいという方も増えてきています。
しかしながら、どうやって購入するのか?
所持するために許可が必要なのか?
また、処分するにはどうすればよいのか?
についてご存知ない方も少なくありません。
日本刀の売買に関する手続きや許可について詳しく説明していきます。
まず銃砲刀剣類登録証の有無を確認
どのような事情であれ日本刀を所有している場合、まずその日本刀に銃砲刀剣類登録証が付いているかどうかを確かめておく必要があります。
登録証のない日本刀は基本的に売ることはできませんし、買取される可能性も低くなります。
もちろん、購入する場合も登録証の付いているものを買うほうが無難と言えます。
オークションやフリーマーケットなどにも出品されていますが、買う時には登録証の有無や出処など詳細を吟味する必要があります。
日本刀は決して安い買い物ではありません。
購入する場合には、できるだけご自分の眼で確かめることをおすすめします。
銃砲刀剣類登録証とはどのようなものか?
日本刀は美術工芸品としての価値が高く資産として計上することもあり、投機対象とすらります。
できるならきちんとして手順を踏まえ、誰に対しても誇れるよう出処を明らかにしておきたいものです。
そのためにも、申請しておいた方が得なのが銃砲刀剣類登録証です。
銃砲刀剣類登録証はいわば日本刀の戸籍謄本のようなものです。
人間の場合、さまざまな事情で戸籍の紛失されている方がいますし、二重国籍の方も少なくありません。
しかしながら、日本刀にそのような事情は許されません。
登録証のない日本刀を所持することは銃刀法違反になりますし、新たに日本刀を所有することになって20日以内に名義変更しなければ処罰の対象となります。
銃砲刀剣類登録証の申請方法
銃砲刀剣類登録証はほとんどの場合、日本刀に付随しています。
銃砲刀剣類登録証のないものは日本刀でないといっても過言ではありません。
登録証が付いていたら所有者の変更手続きをし、登録証が付いていなければ新たに登録しなければなりません。
① 銃砲刀剣類登録証の名義変更をする
日本刀を購入する場合や譲り受けた場合には、登録証に記載されている自治体に対して所有者の変更(名義変更)を届け出なければなりません。
つまり、日本刀の居住地が変わる住所変更のようなものです。
名義変更に対して特別な用紙があるわけでもないので、葉書に登録証の内容を記載し、新しい所有者の名前と連絡先を記入するだけで済みます。
② 新たに銃砲刀剣類登録証を申請する
銃砲刀剣類登録証は各都道府県の教育委員会に申請します。
その際、銃砲刀剣類として登録可能な審査基準が充たされていなければ破棄処分となります。
審査基準として重要なのは伝統的な制作方法による日本刀であるかということ、そして美術的価値が高いかということです。
したがって、著しい損傷のあるものや海外制作の刀剣類は不合格となり廃棄されます。
登録手数料として6300円の費用がかかります。
③ 銃砲刀剣類登録証を紛失した場合
登録証を紛失した場合にはすでに登録したものと同じであることが確認されれば再発行されます。
再発行には3500円の手数料が必要とします。
また、紛失した登録証に記載されている都道府県名が不明で出処が明らかにできない場合には、新規登録と同じ手順を踏むことになります。
思いがけず日本刀を入手した場合
長い間空き家になっていた親族の家を整理していたら日本刀が出て来たとか、思いがけず拾ってしまったとか登録証のない日本刀に遭遇する機会もまったくないとは言えません。
そのような場合にはまず所轄の警察署に届け出なければいけません。
事件性の可能性もありますし、何より警察の証明なくして新たな登録申請もできないからです。
発見された場所やいきさつを警察に相談したうえで発見届出証を発行してもらい、教育委員会にて登録申請することになります。
日本刀を売る場合に許可は必要か?
日本刀を売る際に特別な許可は必要ありません。
銃砲刀剣類登録証さえあれば自由に取引できます。
昨今の刀剣ブームの影響で刀剣ショップでも好意的に買取され、ネットオークションやフリーマーケットへの出品などによって高額で取引されることもあります。
ただし、ネットオークションなどは顔が見えないので後々トラブルになるケースも少なくありません。
トラブルを避けるためには個人間の取引は避けた方が無難と言えます。
また、多数の日本刀を所持しご自分で商売を始めようとするのであれば、古物商取引の許可申請が必要になります。
自分の眼で確かめることが許可
日本刀の需要は世界的に広がっており、海外から求める方も少なくありません。
逆に、海外の市場から掘り出し物的な日本刀が出品されることもありますが十分な注意が必要です。
どのような日本刀でも登録証さえ付いていたら売買に関する許可は必要ないと言えますが、何事もご自分の眼で確かめることが大切です。
日本刀の売買における許可とは、ご自分の眼で判断するということです。