日本刀を飾っておきたいと考えたときに、どのように置けば良いのかと悩む場合があると思います。
しかし、日本刀には古くから守られてきた置き方の決まりがあることはご存じでしょうか?
正しく置くことによってどのような魅力があるのかも理解しておくと役に立つかもしれません。
横向きに置くときの基本原則とは
日本刀を飾る際には欠かせない刀掛けですが、刀掛けを使って日本刀を置くときには横向きに置くことを意識しましょう。
その中でも、日本刀の置き方は4つに大別することができます。それは、飾ってある姿を正面から見たときに柄を左にするか右にするか、刃を上にするか下にするかというパターンです。
これを判断する上で重要な決まりごとが2つあります。
1つ目は、日本刀を刀掛けからすぐに腰へ差せるように置くことです。
そもそも、刀掛けは飾るための目的で存在していたものではないということは理解しておかなければなりません。
日本刀が武器として使用されていた時代には、いつ自分の命を狙う人がやってくるか分からないという心配がありました。その状況にすぐに対応するために、すぐに帯刀できる刀掛けを使っていたのです。
ほとんどの人は右利きなので、右手で日本刀をとって刀を帯びます。そのときに左側に柄があると自然な動作になるため、左側を柄にするとよいでしょう。
そして、2つ目のルールは刀の表を前に向けることです。
どちらの面が表かは刀身を柄から取り出してみると分かりますが、作者の銘を打ってあるのが表面となっています。
刀の1つひとつに職人の技術がこめられているため、刀匠の名前が彫ってある表面を前にすると、より魅力的に刀を飾ることができます。
また、日本刀の種類によって刃をどちらに向けるべきかの決まりもあります。打刀の場合には刃を上向きにし、太刀の場合には下向きにするのが主流です。
脇差は上向き、小太刀は下向きといった形でそれぞれに決まったルールがありますが、これは実際にどちらの向きで刀を帯びるかによって決まっています。
腰に吊るすようにして佩く太刀は刃が下向きになり、腰に差す打刀は刃が上向きになります。左側が柄になるようにして打刀なら刃を下向きにし、太刀なら上向きにすれば良いというのが原則です。
日本刀の種類による置き方の違いとは
日本刀の種類によっては異なる飾り方が推奨されている場合もあり、横向きの刀掛けを使う以外にも日本刀を飾る方法はあります。
例えば太刀では、置くために作られた太刀掛もあり、飾る目的であれば太刀掛を使うとよいです。太刀掛は太刀を立てかけて飾ることができる仕組みになっていて、スペースが少なくて済むのはメリットでしょう。
この置き方として刃の先端を下にするか、柄を下にするかという2通りの選択肢が考えられます。太刀掛を使用するときには柄を下にするという決まりごとがあるので注意しましょう。
これは、太刀掛から太刀を取って戦場に向かう状況を考えたとき、持ち替えずに太刀を佩きやすいというものが起源です。別の理由としては、先端を下にしていると傷みが早いのではないかと考える人もいます。
基本的には先端を下に向けて飾っても、刃の先端が傷んでしまうというリスクはあまりありません。柄はもともと丈夫にできているため重い太刀を支えても問題はありませんが、鞘に関しては刀の重さに耐えられるような造りになっていないものもあります。刀の姿を保ち続け鞘の美しさをはっきり見せるためにも、柄を下にして飾ることをおすすめします。
脇差があるときの置き方にも注意
日本刀には大刀と脇差が対になっているものも多数あります。このときには2段になっている刀掛けを使うのが一般的ですが、その置き方にもまた別の決まりごとがあります。
それは、大刀を下側、脇差を上側に置くことです。また、厳密な決まりごとではないものの、対になっていない大刀と脇差は同じ刀掛けには置かないのが原則ということも覚えておきましょう。
これはセンスを問われる部分なので、詳しい人が見ると微妙な飾り方だと思うかもしれませんが、この点を理解していると、日本刀を売買したいときにどの店舗で買うかを判断するのに役立ちます。
知識が豊富でこだわりを持っている店舗であれば、対になっていない大刀と脇差を同じ刀掛けに置くことはないと考えられるからです。逆に正しい置き方をしている店舗で査定をすれば、価値に合った価格での取引ができるでしょう。
〇まとめ
①日本刀の置き方には決まりごとがあり、柄を左側にして表を正面に向けるのが原則。
②太刀掛を使って刀を置くには柄を下にする。
③対になっている大刀と脇差を飾るときには脇差を上側・大刀を下にし、そうでないものは同じ刀掛けに飾らないのが基本。
このように、日本刀の置き方は歴史的な側面と刀の美しさを引き立たせる側面から、さまざまなルールが存在します。これらを理解しておくと、売買のときに日本刀に詳しい買取業者かどうかを判断できるでしょう。