Skip to content
公開日:2021/07/15  

日本刀の飾り方の基本原則!飾らない場合はどうするべき?


日本刀の飾り方、保管の仕方はあまりなじみのないものかもしれません。博物館や美術館では刀身のみ、もしくは刀身と外装品である拵の両方を展示しています。一方、自宅で日本刀を飾ったり、保管したりする場合の作法とはどのようなものになるのでしょうか。そこでこの記事では、日本刀を飾ったり、保管したりする際のポイントを紹介します。

日本刀の飾り方の基本原則

自宅で日本刀を飾る際は、一般的に刀身や刀身入りの拵ではなく、拵だけを刀掛けに飾ります。博物館や美術館のように刀身も飾るというわけではありません。刀身は非常に繊細で傷みやすいため、長期間の保存に適した白鞘に入れて保管するのが一般的です。博物館や美術館は温度、湿度、光の当たり具合などを調節し、できるだけ刀身に負担をかけないようにしています。

自宅では手入れをする際や、特別に鑑賞したいときだけ刀身を出すようにしましょう。日本刀には表と裏が存在します。刀身に銘が書いてある面が表なので、そちらを見えるほうに向けて飾ってください。なお、太刀を横向きに飾る際は、持ち手である柄が向かって左、刀の穂先である切先を右、刃の部分が下になるように飾ります。縦向きに飾る場合は柄が下、切先が上、刃は奥向きになるのです。

こうすることで、切先に太刀の油が落ちていくのを防げます。打刀を横向きで飾る際も、柄が左、切先を右で飾るようにするようです。そうすると、太刀とは逆に刃が上向きになります。正面からみたとき、太刀はU字型に打刀は山型になるのです。

かつて、戦のあるときとない時では柄の向きを逆に飾る習慣がありました。同時に座る際、時代劇のように日本刀は自身の右側に置きます。これは、右利きの場合柄から刀を抜いて相手をすぐ斬ることができないため、相手に敵意がないということを表すためのものでした。万が一、左側に置くとすぐ抜刀できるので相手を斬る意思があるということになり、非常に無礼であり、逆に斬られても仕方ない行動だとみなされていたのです。

日本刀はどこに飾る?

和室の場合は、一般的に床の間に飾ることになります。時代劇や映画で、甲冑などと一緒に飾ってあるのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。床の間は日本刀を飾らない場合は絵画や掛け軸を飾っている家庭も多くあり、日本独特の格調高い雰囲気を醸し出すのに絶好の空間でしょう。

もともと、床の間は床に就くという言葉の通り、就寝する部屋という意味があります。一段高くなっているのは、その家で最も身分の高い者が座ったり、寝たりする空間であり、身分の低い者は入ることが許されない場所であることを示す狙いもあるのです。武士の時代の始まりである室町時代に書院造が広まり、床の間が各地の武家屋敷にも取り入れられるようになります。

江戸時代になると、客人をお迎えする一番重要な部屋という形で、庶民の住宅にも作られるようになりました。それでは、和室や床の間がない家庭で日本刀を飾りたい場合はどうすればよいのでしょうか。第一に日本刀を横向きに置ける空間を確保しましょう。サイドボードや壁の奥行を利用して飾るのが理想的ですが、落下しないよう対策は必要です。刀身は博物館や美術館では温度、湿度、光の当たり具合を調節して展示されています。空気に触れると簡単にさび付いてしまうためです。

そのため刀身が露出しないよう、柄に収納して飾るようにしましょう。近年では専用のディスプレイケースが販売されるようになり、繊細な温度、湿度管理がしやすくなりました。ケース内に調湿材を入れることで、湿度を一定に保ち、空気に触れる状態を極力避けられます。刀身を眺められるだけでなく、ケースをしっかりと固定すれば、子どもが触れて落下させたりけがをしたりする心配もない便利なものです。

日本刀を飾らない場合は?

日本刀にとって、湿度、空気、光は大敵です。日本刀を保存する際は、刀身を白鞘に収納するようにしましょう。白鞘の木材は調湿機能があり、刀身の湿気を吸収する役割があります。

日本刀を白鞘に収納することは、さびつきを防止するうえで必須の条件です。さらに、白鞘を刀袋、刀箪笥にいれるのも湿度、光を防ぐために必要になります。刀箪笥がない場合でも、着物を収納するのに適した桐箪笥に収納すれば問題ありません。よくやってしまいがちなのが、押入れの奥や倉庫の中にそのまま置いておくことです。

先にも述べたように、日本刀は湿度に非常に弱いものとなっています。押し入れや倉庫は戸を閉めてしまうと湿度の逃げ道がなく、日本刀にとっては最悪の環境ですので、避けるようにしましょう。

 

日本刀の飾り方、保管の仕方について紹介しました。日本刀は日本の独特な世界観を演出するうえで非常に有用であると同時に、見た目のインパクトもあります。時代劇や映画のように風格のある空間を演出し、お気に入りの日本刀をいつまでも楽しむためにも、正しい設置方法、保管方法を実践するようにしましょう。上記を参考にポイントを抑えて、自分なりの方法で存分に日本刀の世界を楽しんでください

よく読まれている記事