自分の先祖のものとはっきりとわかっているならば日本刀を売却しても問題ないでしょう。ただ、あまり歴史が古いものだと所有者がわからないようなものも少なくありません。
例えば、有名な刀の中には戦国時代や室町時代に使われていたものもあります。歴史が古いと、もはやだれが所有していたのかわからなくても不思議ではありません。
法律上はどのようになっているのか
何となく倉庫に眠っていた日本刀などがある場合、これを売却しようとしてもさまざまな決まりがあるため売却できないことがあります。
そこで重要になるのは、物の所有権に関する決まりを知ることです。物に関する所有権に関しては民法で規定されています。例えば、自分の名義のものならば自分が所有権を持っていますので特に問題がないでしょう。
もし、日本刀を所有しておりそれが自分の父親から受け継がれているものならば名義を移し替えて売却するのは何ら問題のないことです。ところが、もともとだれの所有物かわからないものもあります。この場合には、時効の制度を理解しておくとよいでしょう。時効には取得時効と消滅時効の2種類があります。
日本刀売却するときに関係してくるのは取得時効のほうです。取得時効といわれるものは、だれのものかわからなくても長年占有し続けた場合、一定期間経過すると自分のものにすることができることです。民法の規定では、10年間占有をしていれば時効取得をすることができるパターンと、20年間占有した場合に時効取得できるパターンがあります。
10年と20年の違いは何かといえば、10年の場合は占有を始めたときに善意で無過失だった場合が条件になります。善意とは、その所有物が自分のものだとしていた場合です。この場合には、善意と判断されるわけです。
これに対して、無過失とは過失がなかったことを意味しています。例えば、刀のわかりやすいところに所有者の名前が書いたった場合には昔とは言えないでしょう。ですが、そのようなこと外債書かれていない場合は気付きようがありませんので過失はなかったものとみなされます。
この二つの条件が整ったとき、占有を開始したときから10年で自分のものにすることができます。一方で、悪意や過失があっても20年も経過すれば自分のものにすることができるわけです。
時効の中断とは何か知っておこう
上記のように、だれの所有物かわからなかった場合でも、民法によれば10年ないしは20年の時間が経過したときに時効を援用することができるわけです。これにより、自分のものとして売却できる可能性が高まります。
ただ、ときに時効の中断と呼ばれるものがあります。例えば、10年ないしは20年経過する前の段階で、所有者が現れた場合です。同じ血のつながったおじさんが「あれは自分が昔譲り受けた刀だよ」といってきた場合は時効が中断します。
ただこの場合、単に言葉で伝えただけではだめで、裁判上の請求や差し押さえあるいは催告などが必要になります。これらがなければ、特に時効の中断は成立しないと考えてよいでしょう。
時効が完成した後の流れはどのようになるか
一定の期間が経過して、時効が成立した場合には時効の援用をする必要があります。特に所有者が現れない場合は、そのまま自分のものにしてしまっても問題ないでしょう。通常だれのものかわからなくなっていて何十年もの間眠っていた刀の所有者が突然現れることはまずありません。
ただ、もしかしたらこの人が所有していたのではないかと思われる人の子孫がいる場合には一応聞いておきましょう。この場合問題がなければ時効の援用が成立したと考えてよいです。
本来ならば、ここで所有権が自分のものになるため売却しても問題ありませんが、日本刀に本当の場合にはもう一つやらなければいけないことがあります。それは、銃砲刀剣類登録証の記入になります。銃砲刀剣類登録証に必要事項を記入しその日本刀が本物であることを証明しなければいけません。
そして、所有名義がわからない場合は所有権を取得したということで自分の名義を書いて問題ありません。銃砲刀剣類登録証は、日本刀の戸籍のようなものと考えてよいでしょう。
それに加えて、身分証明書や日本刀をと付属品を入れて売却することになります。このように、客観手続きは面倒なところがありますが手続き自体はそれほど難しいものではありませんので、自分でおこなうことは可能になります。
日本刀を買い取り業者に売却するにしても、所有者が一体どれかわからない場合があります。所有者がわからない場合には、一定期間占有して時効取得をすると良いでしょう。善意無過失の場合には、10年間の占有で所有権を取得することが可能です。
一方で、善意無過失でなくても20年間占有すれば取得をすることが可能になります。後は、時効の援用をすることができるならば、しておきましょう。最後に銃砲刀剣類登録証と呼ばれるものに記入することが必要です。