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公開日:2020/03/15  

日本刀のハバキだけでも買取してくれる?

日本刀にはさまざまな部品がありますが、買取店では刀装具も買い取っている店舗が多く存在します。もちろんハバキ(鎺・鈨)だけでも買い取ってくれる買取店はありますので、Webサイトで買取品目をチェックするとよいでしょう。

鎺(ハバキ)を買い取ってくれる店舗はある

日本刀の拵(こしらえ)についている部品を刀装具(とうそうぐ)と言います。そもそも拵と刀装は同じものですが、刀装具がある目的は、刀剣を保護して使いやすくすることです。いくら刀身が素晴らしいものであっても、実際に振るうときにも携帯するときにも、それだけでは用を足すことはできません。

当然ながら実用性の高いものであり、優れた機能を有するものではあるのですが、後年になるほど装飾面でも美しさが求められる傾向になり、華やかな細工をほどこした刀装具が生み出されるようになりました。

その理由は、もともと実用的な武器であった日本刀が、いつしか地位や権力をしめすアイコンともなったことが挙げられます。儀式に使われる場合や褒美として授けられる場合もあり、実際に使わない装飾品としての存在であったこともあるでしょう。

また戦に明け暮れた戦国時代にあっても、武将にとって合戦の場は晴れの舞台であり、命をかけて臨む人生の一大ステージでした。身につけるものには精一杯の華やかさを添え、荘厳な出で立ちで現れる武将も多く、そんな想いから刀装具にも芸術的な要素がふんだんに盛り込まれたと考えられています。

江戸時代以降は各藩が趣向を凝らし、藩の独自性を高めるために刀工が腕を磨きました。この頃からは日本も平和で安泰な時代が長く続き、日本刀は武器というより装飾品としての価値が高まっていくことになります。まさに刀装具が豪華になる全盛期であり、現代も優れた名工の優美な刀装具は美術品として高く評価されています。

買取店が刀装具だけでもきちんと評価して買い取ってくれるのも、こうした日本伝統の金工細工が見事に現れた素晴らしい作品として認めているからです。もし手元に古い日本刀があり、刀身は錆びてとても状態が悪かったとしても、鎺ひとつがきちんと評価され、値が付くことももちろんあります。まずはあきらめずに鑑定の信頼できる店に相談し、評価を受けることをおすすめします。

そもそもどんな部品なのか

刀装具の中でも比較的よく知られていて人気が高いのは鍔・鐔(つば)でしょう。刀身と柄に挟まれた位置にあり、刀を握る手を守る重要な役割を果たす部品です。人気があるのは形が円形で面積が比較的あり、装飾に富んだものが多いからです。

形状にも竪丸形や木瓜(もっこう)形などのほかさまざまなものがあり、さまざまな金属素材で華やかに作られています。ほかにも刀身を柄の中に固定する目貫(めぬき)なども人気ですが、そうした中では確かに鎺はあまりメジャーな存在ではないかもしれません。

鎺というのは、刀身を柄にはめた際にぐらついたり抜けたりしないように、鞘口に薄くはめ込む固定金具です。日本刀を形づくるうえで欠かせない金具であり、鞘がピッタリ納まるための要と言える存在です。出来の悪い鎺では刀身が鞘当たりし、ひけや錆がついて大きく刃が傷むことにもなるでしょう。

刀身を根元で支える重要な金具であり、日本刀を見る人は必ず目にしているにもかかわらずマイナーな存在というのが、なんとも縁の下の力持ちと言えます。もちろん鎺にも歴史的変遷がありますし、種類も個性も多種多様で、何より美しい存在です。金で作られている場合もありますから、是非もっと注目してほしい部品です。

知れば知るほど奥が深い刀装具

鎺を作るのは刀工ではなく白銀師です。刀身と柄の間にきちんと収まるように作るには、エッジを薄くなめらかに削り、厚み1mmにも満たないほどに仕上げる必要があります。同じ刀工が打ったとしても同じものは二つと生まれない世界ですから、白金師は都度、刀身を見ながらあたりを取り、少しずつ彫り進める現物合わせが基本となります。

標準的な大きさは刀身の長さによって決まり、刀身の巾の8割程度となるのが基本ですので、一寸の刀巾なら8分となり、大体24.2mm程度となる計算です。鎺を作る際、刀身に巻き付けるように金属を折り曲げ、最終的に刃側に継目を接着してはめ込みます。素材は古くは実用性の高い銅が使われることが多かったのですが、江戸時代には金や銀など高価な金属が使われるようになりました。

ただ、銅で作ったものの上に金や銀を「着せる」(被せる)製法もあり、表面だけが金銀である場合もあります。美術品的要素の高まった江戸時代には、鎺にも独自の紋様や家紋などを彫ることが流行し、地方のオリジナリティを表現した「お国はばき」なども登場しました。

ただし、鎺は鞘から抜き差しするときにも刀身を研ぐときにも摩耗するため、刀装具の中ではかなり消耗の激しい部品です。合わなくなった場合には都度作り直しをする必要があり、よく使われた刀の鎺は刀身が作られた時代よりもずっと新しい場合もあるのです。

強すぎる素材は刀身を傷つけるおそれがあるため、硬すぎる鉄や真鍮はあまり使われていないことにも注目できます。金工技術が発達した江戸時代後期には、町人がお酒落のために象嵌をほどこしたり、彫刻をほどこしたりしたため、バラエティに富んだ鎺を見つけることもできるでしょう。

 

日本刀の刀装具のひとつであるハバキ(鎺・鈨)にも、さまざまな歴史があり、興味深い特徴があります。もちろん、鎺だけでも買い取ってくれる買取店はありますし、日本刀に興味があるなら是非、一度は注目してみてください。

特に江戸時代後期になると、刀に美術品としての価値が生まれ、町人などがこぞってお洒落な鎺を作り出した時代でもあります。地方色を前面に出したお国はばきなども存在しますので、どのような人たちがどのような想いで刀を持ったのかいろいろと考えながら眺めてみるのもおすすめです。

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