自分の持っている日本刀を持ち込むなら、まずは価値のあるものかを確認することで効率よい交渉もできます。高いとされるのはどんなものであるのか、形なのか、時代なのか、それとも作家の知名度なのか、それらを知ることも大事になります。
美術的評価が付いているものにこそ高額な値段が付く
日本刀を売るなら専門店がおすすめで、その理由は値段があってないようなものだからです。査定するのが鑑定士なら、いくら時代の流れに左右されずに安定した価値を保っていたとしても、抜け出る名品・逸品を見極めてくれます。それができるのは鑑定士がいる専門店です。
通常、買取相場は刀剣商らによるオークションが参考にされています。その中でも価値が高いとされるのはどんなものでしょうか。前提として銃砲刀剣類登録証が付いていることは必須ですし、鑑定書付きであれば高額での売買も成立します。特別重要刀剣、重要刀剣、特別保存刀というようにランク別に鑑定書が発行されていますが、価値が高いとされるのはどんなものかといえば、美術品として刀剣を保存していきたくなるものです。
国宝級であれば博物館や美術館などに所蔵されています。そのグレードに値するのか、これから長期的に保存していく意義があるか、鑑定書から把握ができるわけです。もっとも高価なのは特別重要刀剣で、重要刀剣と続きます。
ちなみに、保存状態や学術的意義、美術的にも価値があると鑑定されれば、優秀刀鑑定書も発行されており、高値が付きます。この鑑定書は査定においても重要で、あるなしによっては50万円から300万円などの買取額の差になることもあるようです。
比較的、市場での変動も激しくないといわれているように、買取相場は購入時の60%から80%が一般的です。そのような中でも、文化財や美術的評価のものは高く設定されているようです。
現代の人気作家や細工などによっても差がある
価値が高いとされるのは文化財や美術的ものであったり、鑑定書付きであるものの、それだけではなく、状態や作者、作られた時代によっても差が生じるようです。特に、作者と作られた時代というのは重要視されています。
ちなみに、歴代最高価格に位置付いている幕末の名工を筆頭に、歴史上の名工や名刀には数千万円から数億円もの値段が付けられています。もちろん、そうした名刀ばかりが自宅に眠っているはずもありませんが、現代の人気作家の作品ならば保管している人もいるのではないでしょうか。
価格はマニアやコレクターが付ける場合もあります。ですからどんなものが高額で買取できるのか、という線引きは正直なところ難しいようです。
例えば、脇差は20%から40%での買取、短刀は30%から50%など、種別でも異なります。また、名刀でなくとも細工や拵え、刃紋の出方などによっても異なるのです。特に、美しく輝く刃紋の日本刀には高い値が付けられていますから、保存状態もポイントになり得るようです。
価格はコレクターやマニアが付けることもある
国宝級に値する日本刀ならば高値で取引されていますが、黒い歴史がある日本刀もあれば、英雄伝説に名を刻むものもあります。歴史上有名な五振、ここからヒントを得ることもできます。
天下五剣は国宝として国立博物館に所蔵されていますし、多くの刀鍛冶が集まった聖地、京の都をはじめとした地域に着目してみれば、高価買取が期待できます。また、天下五剣のうち、三日月の形をした日本刀はもっとも美しいとされ、1951年の文化財保護法により国宝に指定されています。このように、美術的に評価されているものを買取に出すことで、鑑定士がその歴史を紐解き、鑑定して結果を出してくれます。
中には、江戸時代後期のもので1億5千万円の価値が付いたものもありますが、文化財や国宝は基本的には鑑定のみで売買の対象にはなりません。寄付や寄贈するケースが多いようで、これらに値する人気のある作者、名高い刀工であれば高い値が付くようです。それだけに、模倣した偽物が出回る可能性もあるという点だけは気を付けておきましょう。
無銘でも、保存状態がよければ高く売れる可能性は十分にあります。もちろん、銘のあるなしによって査定額に違いが生じることもなきにしもあらずです。銘はその刀を作った鍛冶の名ですから、無銘であれば保存状態から判断する以外に方法がないのです。
銘がある刀で正真作であるならば、その切れ味も加味して評価することもあるようです。これをヒントに、無銘の場合でも刀本来の切れ味を証明することができる鑑定書が付けば、高価買取に期待ができます。
また、時代によっても刀の特徴は異なります。その時代、シリーズで集めるコレクターやマニアもいます。歴女なる女性コレクターなどは金額に糸目を付けないようで、お目当てのものならば言い値で取引が成立する場合もあるほどです。ですから、買取に出すならば保存状態を少しでもよくしておき、鑑定書や付属品も持ち込みましょう。
価値が低いとされるのは、錆が付いていたり、傷ものですが、高いとされる日本刀は名刀であったり、将来継承していきたくなる美術的評価が付いているものです。もちろん、鑑定士お墨付きとなれば、それだけで高値が付きます。
無銘なものを買取してもらうにしても、手入れ次第で価格に反映してもらえるため、諦めるよりも専門店に持ち込んでみましょう。知識に優れた鑑定士が丁寧に査定してくれますし、紛い物であるのかを確認することもできます。