日本刀は日本独自の鍛造方法によって作られていますが、現在では美術品、工芸品としての価値も非常に高いとされています。
勿論手元に置いて鑑賞すると言うことも出来ますが、要らなくなった場合は専門の買取り業者に買い取ってもらうことも可能です。
ただ、素人ではあまりその刀剣自体の価値が分からない、どの様に判断すれば良いか皆目見当がつかないと言うことも少なくありません。
自分の持っている刀剣の価値を正しく判断する為にも、また業者に査定してもらった時にその説明の内容を理解する為にも、関係する言葉を理解しておくことは重要です。
刀を鑑賞する際に知っておきたいこと
鑑賞する場合は、部分的に見てしまうのではなく、まずは刀全体を見てから、刃文や地鉄等を見て鑑賞するのが良いとされています。
勿論本人の好きなように見たとしても問題は有りませんが、全体と部分を見て総合的に鑑賞することで、よりその趣などを感じることも出来ます。
刀全体の姿を見る場合、どの様なバランスになっているかと言うことだけでなく、そのデザインに時代背景等を感じることも可能です。
例えば平安時代の場合は、その刀自体を使う目的等から細目に作られており、非常に鋭利なデザインとなっています。
平安時代から鎌倉時代に移ると、次第に身幅が広くなり、重ねも分厚くなって行く傾向となっているのです。
さらに時代が進むと長さがどんどん長くなって行きますが、その分重さが増してしまうので、重量を減らす為に重ねは薄くなって軽量化が図られています。
このように、一言で日本刀と言っても実はその時代によっても全くデザインが違っており、その時代の特色が十分にあふれた物が多く存在しています。
鍛え肌とは一体どういった物の事を言うのか?
刀自体刃全体を見て鑑賞すると言うことも出来ますが、やはり鉄の美しさもじっくりと観察しておきたいポイントの一つです。
実際にじっくりとその地鉄を見てみると、実は色々な文様が見えてくるのですが、その文様にそれぞれ名前が付いているのをご存知ですか。
例えば、縦方向にまっすぐに美しいラインできれいな目が通っている様に見える文様の事を柾目肌と呼びます。
またその文様がまるで木の年輪が流れている様な感じに見えるように付いている物のことを板目肌と呼んでいます。
さらに板目肌に一見似ている様にも見えますが、実際には板目肌以上に節が丸く目立って見えるようになっている文様の事を杢目肌と呼びます。
このように地鉄の中には細かな文様があり、それぞれに名前が付いていますが、総称して鍛え肌と呼んでいるのです。
鍛え肌はどうして出来るのだろうか?
地鉄に美しく描かれている文様の事を鍛え肌と呼びますが、実際にはどの様にすると地鉄の中にその模様が浮かんでくるのでしょうか。
実は、この文様が出来ることと、日本刀の作り方に大きな関係があると言うことをご存知でしょうか。
一般的に刀剣には様々な造り方がありますが、日本刀の場合は実際に作る時は刀工が鋼を何度も折り返して鍛錬することによって作り上げています。
実はこの時にどの様にして鋼を折り返して鍛錬するかによって、そこに浮かび上がってくる文様のデザインに違いが出てきます。
だから、実はその刀を作った刀工が一体どの流派に所属していたのか、さらにどこで学んで修行したのかと言うことが鍛え肌を見るだけでも分かってくると言っても過言ではありません。
勿論絶対にこの流派の場合はこの文様が出ていると言い切ることは出来ませんが、同じ刀工の場合は比較的同じ様な文様が出ていることが多くなっています。
そのため、日本刀の鑑定をする際はその鍛え肌を見て一体どの時代の物なのか、さらにどの刀工の物なのか等も判断することが出来ます。
故人の遺品として突然見つかった場合や、以前コレクションしていたが趣味が変わった場合等、手元に置く必要がない場合は業者に買い取ってもらうことは十分可能です。
その場合、業者の方には鑑定してもらうことになりますが、その時業者はその刀の鍛え肌を見て、刀工の技術がいかほどだったのかと言うこと等も見ています。
勿論その価値自体は全体のバランス、年代、さらに鑑定書の有無等でも変わってくるのですが、刃の文様はその刀自体の芸術性を大きく左右すると言っても過言ではありません。
またどの様な文様が浮かび上がってきているかによって、その刀を作った刀工が誰か、どの流派の流れを引き継いでいるか等も知ることが出来ます。
そのため、実際に鑑定を受ける際はその文様がどの様になっているかと言うことも査定額に影響することは決して少なくありません。
要らなくなったものを業者に買い取ってもらう場合、ただ単に買い取ってもらえればそれで良いと言うこともありますが、なるべく高く買い取ってもらいたい人も少なくありません。
その場合は、業者がどの様なポイントに対して注目するかと言うことを知っておくことも、実は査定額をアップさせる重要なポイントになって来ます。
可能であればその時のチェックポイントとして出てくる単語に関してはある程度理解している状態にしておくと良いでしょう。