日本刀は、美術品としても優れているため観賞用などに購入する人も多くいますが、キレイな状態を保ち続けるためには定期的に手入れをすることが必要になります。ここでは日本刀の手入れをするための道具の一つである「目釘抜」について分かりやすく説明します。
「目釘抜」とはどんなものなのか
「目釘抜」とは、刀の柄と、刀身を固定している目釘と呼ばれるものを抜くための道具を指します。その見た目は、柄の長い小さな金づちのような形をしており、素材は真鍮などの金属でできているのが特徴です。
そもそも「目釘」というのは、刀の柄の部分に収まっている刀身の根の部分である茎(なかご)が、柄から外れないように固定するためのピンを意味します。日本刀は、刀身だけでできているわけではなく、その根元の部分に柄をはめ込む構造になっており、その両方のパーツを固定するために目釘と呼ばれるピンを刺す必要があるというわけです。
もし目釘がない状態で刀を振ったら、柄から刀身が飛び出してしまい、とても使い物にはならないでしょう。目釘自体は小さくてあまり目立たない存在ですが、それが一つないだけで刀として機能しなくなるという非常に重要なものでもあるのです。目釘の素材については、竹が使われる場合が一番多いと言えますが、中には金属製のものもあります。
ちなみに目釘にまつわる俗説では、ナメクジを干したものが一番折れにくいという話がありますが、あくまでも俗説の域を出ないものだと言えるでしょう。そして目釘を通すためには、柄と茎の両方に穴が開いている必要があります。
一般的には柄の上部に穴が開けられている場合が多いと言えます。日本刀の手入れをする場合は、まずこの目釘を抜いて、柄から刀身を抜き出すのが基本となっているので、そのための道具も必須アイテムになっています。
手入れの際にどうやって使ったらいいのか
目釘抜は、目釘を抜くための重要な道具であることを先ほど説明しましたが、その使い方についてもよく知っておく必要があります。この道具は小さな金づちのような形状をしているのですが、実は金づちだけでなく、目釘を打ち抜くための細長い金具(先が尖っていない釘のようなもの)とセットになっています。この細長い金具は、金づちの上部に刺すようにして収納されているので、使うときはそこから引き抜きましょう。
実際に目釘を打ち出すときは、まず片方の手で柄を持ちながら、その指で細長い金具をつまんで目釘の穴に金具の先をあてます。そしてもう片方の手に小さな金づちを持って、金具の尻をトントンと叩くと目釘が穴から抜けていきます。
しかし目釘というのは小さくて目立たないものなので、することも重要です。目釘が抜けた後は、片方の手で柄の下のほうを掴み抜けた後にうっかりなくさないように注意、もう片方の手で柄を掴んだ手を何度か叩くと刀身が緩んで柄から抜き出すことができるようになるでしょう。
後は、以前に塗った古い油をふき取ったり、打粉を打ったりという一連の手入れの作業を進めていきます。また目釘抜きというのは、ようは目釘を抜くことができればいいので、他のものでも代用することが可能です。例えば、5mm程度のボルトや一般的な釘の先端を潰して平らにしたものを、目釘を抜くための金具として使うことができますし、その金具を叩くものとして普通の金づちを使うこともできるでしょう。
しかしそうした代用品を使うと、上手く扱えずに手元が狂って柄の部分を傷付けてしまうということにもなりかねません。ですので、何か特別な事情がない限りは、専用の道具を使ったほうが扱いやすいですし、思わぬトラブルを防ぐのに役立つと言えます。
単品やセットの値段はどれぐらいするのか
目釘抜は、日本刀を所有する場合の必須アイテムであり、手入れをするときに欠かせないものです。そのため、日本刀を手に入れるときに揃えておきたいのですが、いったいどれぐらいの値段がするものなのか気になる人もいるでしょう。
相場としては、単品の場合だと1000円~2000円程度で購入できるので、そこまで高いものではないと言えます。そして日本刀の手入れ道具は、目釘抜などのさまざまな道具がセットになって販売されていることが多いのですが、そのセットの場合だと3000円~4000円程度が相場です。
そのため、道具にこだわりたい場合やなくしてしまった場合は単品で購入するとよいと言えますが、お得に済ませたいのであれば、セットになったものを購入したほうがよいかもしれません。こうした道具は、刀剣を扱っている専門店で販売していますが、最近はインターネット通販でも気軽に購入することができます。
目釘抜とは、刀身の根の部分である茎と、それが収まっている柄を固定するピンである目釘を抜くための道具であり、小さな金づちのような形をしているのが特徴です。使い方については、付属している細長い金具を目釘にあて、金具を小さな金づちで叩くと目釘を抜くことができます。
値段は、単品の場合は1000円~2000円程度で、他の手入れ道具とセットで購入する場合は3000円~4000円程度になるのが相場だと言えるでしょう。