日本刀は、大河ドラマや時代劇などでよく目にすることがあります。とくにテレビの影響から、江戸時代や戦国時代でメインに使用されていたと思っている方が多くいます。しかし、日本刀がとくに活躍されていた時代は、実は鎌倉時代といわれています。今回の記事では、鎌倉時代における日本刀の価値や相場、現在の価値について解説していきます。
日本刀の価値と需要が高まった鎌倉時代
まず、日本刀とは日本の伝統技術である「鍛冶製法」によって製造された刀のことを指します。時代をさかのぼると、古墳時代より以前から造られていることがわかっています。主として現代における一般的な日本刀は、平安時代から造られるようになりました。平安後期では、公家といわれる武家の勢力が拡大したことで、直刀から日本刀へと変貌を遂げます。武士が主権を握り、全国で戦が盛んになった鎌倉時代は、日本刀の価値や需要が急速に高まっていくことになります。
この時代に政権の中心にいた後鳥羽上皇は「御番鍛冶制度」という法を制定しました。このことがさらに拍車をかけるようになり、刀の製造を行うことで奨励されるなど、刀づくりは黄金期に突入することになります。平安時代につくられるようになった上品な外観の日本刀は、鎌倉時代の初期になると壮大な造りへと変化していくことになります。刀の先端はひとまわり大きくなり、戦での実践に活用できる日本刀へと変化していきました。武士の支配する鎌倉時代の中期には、武器の需要がさらに拡充していくことになります。
これとあわせるように、寺院の勢力が拡大していくにつれて、僧侶の武装化が助長され、日本刀が大きく貢献するようになっていきます。鎌倉末期では、より一層日本刀の製造はさらに活気づくことになります。中期と比べて、刀の姿がより豪快になり、短刀に関しても通常の太刀と同じように長いものが好まれるようになります。これらの歴史から、日本刀は鎌倉時代の武士によって大きく進化した時代と言えるでしょう。戦に使われはじめたということもあり、武器としての作成技術は、飛躍的に向上していくことになったのです。
鎌倉時代当時の日本刀の相場は?
鎌倉中期から後期にかけて活躍した、大業物20工といわれる人々が制作した日本刀は今でも非常に価値のある古刀といわれています。そのなかには「鉄砲切り」「石切り」「甲割り」などの名作が存在し、重要文化財に指定されている刀も存在します。最上大業物に分類される刀工では、当時の値段・評価額は2000万円~3000万円とされています。鎌倉時代から江戸時代にかけて活躍した、日本刀づくりの巨匠は記録がいくつか残されており、そこから当時の相場額を知ることが可能です。
ただし、そのなかには多くの記録が残されているため、当時の一本一本の詳細な価格までは不明のままです。大まかな相場をいうと、最上級品では30両といわれ、最も安価なものでも約1両ほどであったようです。この両という単位は江戸時代のものであり、江戸初期の貨幣価値で換算すると1両は約10万円とあります。
つまり、最高級品の場合は30両:300万円ほど、最安値のもので10万円ということになります。鎌倉時代のお金の単位は文であり、1文は現在の45円ほどの換算になります。1000文、つまり4万5000円で銭1貫文へと換金されていたようです。銭1貫文が米1石と同じ、つまり4万5000円(税込み)で約150kgということです。現在の購入単位に直すとお米10kgで3000円(税込み)と、現代の物価と比べてもそれほどの差異は見受けられません。同様にこの時代では、ほとんど物価が共通していたこともあり、先述の10万円〜300万円というのが当時の相場と推測することができます。
鎌倉時代の日本刀は現在でどのくらいの価値・相場なのか
まず、結論から述べると、日本刀の現在の値段相場は一定しておらず、その時代での希少価値や精度、保存状態の良し悪しによって大きく変動します。多少保存状態が悪くても名刀が欲しいのか、鑑賞用として取り出す機会が多いのか、あるいは財産として所有するかなど、目的によって適する刀が変わります。そのため、目的に見合った適切な日本刀を選ぶことが大切と言えるでしょう。江戸時代以降の日本刀となれば安くて50万円程度、相場額は100万円前後となるのが一般的といわれています。
また、そのなかでも切れ味や銘によって、価格が大きく変わってきます。それに対し、日本刀の黄金期である鎌倉時代などでは、安い物でも100万円を超えます。長く反り返った太刀は、その時代を象徴する日本刀であるため、市場でも価値が上昇して、相場額となれば300万円までにも及ぶことがあります。
名刀にもなると、数千万円もの値が付くことがあります。時代が新しくなるに連れて歴史的価値も低くなることから安くなり、古くなるほど高額になる傾向があることを覚えておいてください。例を挙げると、鎌倉の初期に造られた、包助(かねすけ)と呼ばれる日本刀では、1500万円にも及ぶことがあります。また、門外不出の家宝となっていた刀も多く存在し、これらは鎌倉時代の中心人物でもあった後鳥羽上皇への上納品でもあったため、その背景から価値が見出されています。
いかがでしたか?以上のように戦が乱立する鎌倉時代では、日本刀はより武器としての実用性が強く求められていきました。鎌倉時代は、まさに日本刀が大きく進化を遂げた黄金期でもあり、現在も非常に高く評価されている歴史的な価値のあるものといえるのです。