趣味にしている、受け継いだものとして日本刀が家にある人もいるのではないでしょうか。日本刀に錆がついていると、自分で落としてきれいにしたくなるものですよね。しかし自分で落とそうとしたことで、傷がついてしまうこともあるでしょう。この記事では日本刀の錆を落とすときの注意点、日本刀に錆が発生する原因や錆の予防について解説します。
日本刀がさびてしまった場合に考えられる原因
見つけた日本刀が錆びているのはよくあることです。雨水にさらされ続けていたならまだしも、屋内にあった日本刀が錆びているのはなぜなのでしょうか。日本刀が錆びる原因は、素材にあります。日本刀の素材は鉄で、空気や水に触れると錆びが生じてしまうのです。
しかし、水に濡らしていないはずの日本刀に錆びが発生するのは不思議に思えるでしょう。実は、空気にも水分が含まれているのです。そのため水に濡らす機会がなかったとしても、空気中に含まれる水分が錆びの原因になることもあるでしょう。湿度が高い場所に日本刀を長期間置いておくと、時間の経過とともに錆が進んでいきます。押入れや納屋で見つけた日本刀が錆びていることが多いのは、そうした場所の湿度が高いからでしょう。
古い納屋から見つかった日本刀は刀の部分だけでなく、「はばき」といった他の部分まで錆びていることがあります。これは、納屋が土の上に直接建てられている場合があり、雨水を含んだ土によって湿度が高くなるためでしょう。
また、湿度だけでなく塩分も錆を発生させやすくする原因になります。海辺の近くなら、潮風にあたることで錆びやすくなるので注意してください。潮風とは無縁の地域でも、素手で日本刀を触ることで塩分が付着することがあります。なぜなら、手の汗には塩分が含まれているためです。塩分には水分を集めやすくする性質があるので、塩分がついた日本刀は錆びやすくなってしまうでしょう。日本刀に触れるときは、素手ではなく綿手袋などをしてから触わるのが錆を発生させにくくするポイントです。
日本刀の錆を落とす際の注意点
日本刀についた錆を落としたいという人も多いでしょう。とくに売却を考えている人は、高値で買い取ってもらうためにも錆を落としたいと思っているのではないでしょうか。日本刀の錆は、自分で落とす方法と研師に依頼して落としてもらう方法があります。はじめから研師に任せれば安心ですが、プロにお願いするにはそれなりの料金がかかるものです。
まずは、自分で日本刀の錆を落とそうとしている人が注意すべき点を解説します。錆を自分で落とすときには、刀身についた油をふき取ったうえで打ち粉をして磨く方法が一般的です。1回で錆を取り除ける場合もあれば、2~3回繰り返して錆を落とさなくてはいけないこともあるでしょう。打ち粉をして布で磨くときに、強くこすってしまうと刀身が傷ついてしまいます。錆を落としたい一心で力を入れて磨くと、傷の原因になるので注意しましょう。
また、錆を落とすときにメタルクリーナーを使用する方法もありますが、メタルクリーナーの中には研磨剤が含まれているものもあります。研磨剤が入っているもので日本刀を磨くと、研磨剤による傷ができてしまう可能性もあるのです。メタルクリーナーを使っての錆落としは赤錆に有効ではありますが、研磨剤が含まれていないクリーナーを選ぶように注意しなければなりません。
日本刀の錆を予防するためには?
日本刀の売却を考えている場合、錆がついていると買取価格が下がってしまう可能性があります。しかし錆を落とそうと自分で磨いたときに傷がついてしまうと、傷によっても買取価格が下がってしまうでしょう。しかし、研師に磨いてもらうと高額な料金がかかってしまいます。また、鑑賞のために研師に錆を落としてもらった日本刀でも、保管状態が悪いと再び錆びてしまうこともあるのです。
日本刀の錆を予防するには、湿気を避けて保存することと定期的なお手入れが必要となります。湿気の多い場所に日本刀を置かないのは当然のことですが、見落としがちなのは結露です。寒い場所から温かい場所に日本刀を移して鞘から抜くと、温度差で日本刀に結露が生じることもあります。水分をつけないことが日本刀の錆予防になるので、結露させないようにすることも重要です。なるべく温度差がない環境で手入れし、結露を防ぐことで錆を予防しましょう。
また、素手で触ると手の汗の塩分がついてしまい錆びやすくなります。日本刀を扱う時に手袋をつけることも、錆を予防するのに役立つでしょう。定期的なお手入れには、無水アルコールや打ち粉を使用します。きちんとお手入れをすることで、汚れだけでなく水気を取り除けるのです。錆を予防するためにも1~2ヶ月に1回程度の手入れを怠らないようにしましょう。
観賞用の日本刀や売却しようと思っている日本刀が錆びていると気落ちするものです。錆がこびりついてしまうと、自分でキレイに落とすのは難しくなります。自分で錆を落とそうと無理すると、刀を傷つけてしまう原因にもなるでしょう。研師に依頼するのにも多額の費用がかかるため、適切な保管とお手入れで錆を予防するようにしてください。