日本刀を持っていると、買取をしてもらう際などに持ち歩く必要が出てくる場合がありますが、法律上の問題が気になるという人も多いでしょう。そこでここでは、そもそも法律上の取り扱いがどうなっているのかや、持ち歩く際の注意点などについて紹介します。
そもそも日本刀の所持には銃刀法が関わってくる
日本刀は、伝統的な工芸品であり、その美しさから国内外で人気がありますし観賞用に購入する人も多くいます。しかし刀というのは、陶磁器や掛け軸といった一般的な骨董品とは違って、凶器に相当するものでもあるという特殊性があります。
ですので、それを所持する場合は「鉄砲刀剣類所持等取締法」という法律の決まりを守ることが必要になってくるのです。鉄砲刀剣類所持等取締法は、生活をするうえで必要がないと考えられる凶器にあたる刃物などの所持を規制するための法律であり、日本刀もこの法律の規制を受ける対象になります。
この法律は、よく「銃刀法」と略されることがありますし、銃刀法違反のニュースをテレビやネットなどで見かけることもあるでしょう。銃刀法では、刃渡りが15cm以上の刀や5.5cmの剣などを所持する場合は「鉄砲刀剣類登録証」というものを発行してもらう必要があります。
そしてこの登録証を持っていないまま刀を所持し続けると、違法状態になってしまいますし、3年以下の懲役か50万円以下の罰金という罰則を受けることになってしまうのです。そのため、刀を購入したり所持したりする場合は、銃刀法という法律のことをよく知っておく必要があります。
また鉄砲刀剣類登録証は、基本的には刀を購入する際に一緒に付いてくるものなのですが、購入した後は所有者変更届出という手続きを教育委員会でおこなう必要があります。
そして自宅で刀を発見してしまった場合などは、警察署へ連絡して、登録証を発行してもらう必要があるでしょう。いずれにしても、登録証がない状態や所有者変更といった手続きをしない状態で所持し続けると違法になってしまうということをよく知っておく必要があります。
刀を持ち歩くときに注意しておきたいこと
日本刀は、それを買取に出すときや、居合などの練習をするときなどに持ち歩く必要が出てくる場合があります。しかしその際は、先ほど紹介した銃刀法に違反しないように、十分注意する必要があると言えるでしょう。
極端な例で言えば、刀を腰に差して公道を歩いたり電車に乗ったりするのは絶対にダメであり、銃刀法に違反してしまう可能性が高くなります。これは本物の刀ではない模造刀であっても規制の対象になってしいますし、法律違反だと認められれば罰金刑が科せられてしまいます。
時代劇では武士や侍が普通に刀を持ち歩いているシーンをよく見かけますが、今の時代は法律上絶対にNGだということをよく理解しておきましょう。ですので、さまざまな理由から刀を持ち歩かなければならない場合は、布などでぐるぐる巻きにしてからバッグに入れるといった配慮が必要になります。
そして刀を外に持って行く場合は、その目的を記した登録証を一緒に持っておく必要がありますし、この登録証があれば銃刀法違反にならずに済みます。刀を持って外を歩いているときに警察官から職務質問を受けたとしても、登録証があれば違法性を問われることはありません。
ただし、職務質問を受けると時間を取られてしまいますし、不快な思いをしてしまうこともあるでしょう。先ほど説明したように、バッグに入れるなどして、見た目にも怪しまれないような形で運ぶことも重要です。
あるいは買取に出すということであれば、自分で運ぶのではなく宅配サービスを利用するという方法も便利だと言えます。宅配であれば、警察官に職務質問を受けることもないため、そうした心配をする必要もなくなります。
最近のネット販売の業者は、送料無料で査定をしてくれるところも多いので、買取の場合はそうしたサービスを利用したほうが安心でしょう。またこうした業者では、査定結果が気に入らなかった場合の返品についても送料無料でおこなっているところが多いと言えます。
買取をしてもらうときも登録証が必要
日本刀を所持するためには、鉄砲刀剣類登録証が必要になるということを先ほど説明しましたが、これは刀を売買する際にも必要になります。
基本的に、登録証を持っていない場合は業者から取引を断わられてしまうため、買取をしてもらいたい場合は登録証を持っておく必要があります。自宅で刀を発見してそれを売りたい場合などは、まず登録証を発行してもらうようにすることが重要ですし、無登録による違法状態を回避するためにも必要なことだと言えるでしょう。
日本刀は、一般的な骨董品と違って銃刀法の規制対象になっているので、所持をするためには登録証を発行してもらう必要があります。刀を持ち歩く際は、登録証を一緒に持っておくと法律違反になりませんが、バッグに入れるなどして目立たないようにする配慮も必要になります。
また登録証は、刀を業者に買取してもらうときにも必要になるものなので、いずれにしても発行してもらわなければならないものだということを知っておきましょう。