ほんの150年ほど前までは、日本刀は日常に存在していて特別なものではありませんでした。ですから、古い蔵があれば日本刀が保管されている確率は少なくありません。もしも日本刀を自宅で見つけたら、どれだけの値打ちがあるのか知りたくなりますよね。今回は、日本刀の格付けとランクの見極め方を勉強していきましょう。
日本刀の格付けとは?
本来、日本刀は人を斬るために作られてきた「武器」です。そのため日本刀を格付けする際には「切れ味」が重視されるのです。かつて山田浅右衛門という公儀介錯人が多くの刀を集めて試し切りを行った結果を、1797年に「懐宝剣尺(かいほうけんじゃく)」と呼ばれる書物に書き残しています。ここに書き残されているのは、切れ味のよい刀を作った刀工となっています。
■最上大業物(さいじょうおおわざもの)
日本刀の最上位に格付けされるのが「最上大業物(さいじょうおおわざもの)」です。「懐宝剣尺(かいほうけんじゃく)」では、1979年の初版では古刀期から刀工5工、新刀期から刀工7工の計12工が選ばれています。その後、1805年の再版の時に新刀期の刀工1工を追記。さらに1830年の「古今鍛冶備考」刊行時には、古刀期から刀工2工を加えて合計で15工が最上大業物に選ばれています。
■大業物(おおわざもの)
先の最上大業物に次いで切れ味のよかった刀を作った刀工を、大業物と格付けしています。古刀期から7工、新刀期から14工の合計21工の刀工が選ばれています。
■良業物(よきわざもの)
日本刀の上から3番目の格付けとなっています。良業物(よきわざもの)は全部で58の刀工が選ばれています。新選組の副長、土方歳三が佩刀していた「和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)」は、良業物だったのです。
■業物(わざもの)
日本刀の格付けで上から4番目、下から2番目となります。良業物に次ぐ切れ味のよい刀を作った刀工が選ばれ、全部で93の刀工が選ばれています。
■なまくら
「なまくら」とはよく聞く言葉で、格付けの内には入らない「切れ味の悪い刀」を意味しています。
日本刀の鑑定ランク
日本刀を格付けしていたのは、日本刀を常に使用していた時代です。現在では日本刀は人を斬る道具ではなく、観賞するための美術品としてみなしています。
そこで、切れ味を評価する格付けではなく、作られた年代や美しさなど美術品としての「鑑定ランク」が設けられているのです。日本刀の鑑定では「公益財団法人日本美術刀剣保存協会」の鑑定書が、もっとも信頼度が高いとされています。
■国による鑑定区分
国が定める「国宝」「重要文化財」「重要美術品」が当てはまります。
■特別重要刀剣
重要刀剣のうちでとくに保存状態がよく、重要美術品の上位の刀剣と同等の価値があるとされています。鑑定ランクではもっとも高いランクの刀です。
■重要刀剣
平安時代から江戸時代までに作られた刀で、とくに保存状態がよく素性のよい刀剣です。重要美術品に準ずる刀剣のランクになります。
■特別保存刀剣
保存刀剣の中で、保存状態がよい優れた刀剣のことです。明治時代や大正時代に制作された刀剣でも質がよければ特別保存刀剣にランク付けされることもあります。
■保存刀剣
江戸時代までに作られた銘のある刀剣です。多少のキズがあっても美観を損なわなければ、ランク付けされます。無銘でも年代や系統を読み取ることがあれば大丈夫です。
高価買取を狙うためには刀の質を見分けられる業者を選ぶことが大切!
もしも、自宅の物置で刀剣を発見したらどうしますか。もちろん、持っていてもどうすることもできないので、価値のあるモノなのか鑑定してもらいたいですよね。そう思ったとき、どこに鑑定を依頼すべきかわからないものです。ここでは、そんな状況に出くわした時も安心できる、鑑定業者の見分け方を解説しておきましょう。
■日本刀に詳しい鑑定士が在籍しているか
日本刀は骨とう品として扱われますが、骨とう品の鑑定士であれば全員が日本刀の鑑定ができるわけではありません。贋作もたくさん出回っているので、日本刀に詳しい鑑定士が在籍しているところに依頼するようにしましょう。
■販売ルートを豊富に持っている
たとえば国内のオークションしか販売ルートを持っていなければ、買い叩かれてしまい高額で売ることができません。従って、買い取り価格も必然的に安くなってしまいます。逆に、海外などの多くの販売ルートを持っていれば、日本刀を欲しがっているコレクターに直接適正な価格で販売ができるので、買い取り価格も高くなるのです。買い取り業者の販売ルートを確認することも重要です。
■買い取り実績が豊富であること
言わずもがなですが、買い取り業者に日本刀の買い取り実績が豊富であることです。実績が多ければそれだけ日本刀を扱ってきたという証拠になるので、信頼に値するでしょう。
日本刀を自宅で発見したら「日本刀に詳しい鑑定士がいるか」「豊富な販売ルートをもっているか」「買い取り実績が豊富か」といった条件を満たす買い取り業者に鑑定を依頼してみましょう。もしかすると価値の高い日本刀かもしれません。