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公開日:2019/09/15  

互の目の刃文が入った日本刀の買取

日本刀の魅力は色々ありますが、中でもマニアが注目するのが刃文と言われています。確かに見事な彫金が施された鍔や鞘、豊かな装飾がついた柄なども見応えがあります。それでも刃文には装飾の美しさとは異なる魅力があります。

そして刃文によって、買取価格も異なります。

日本刀の刃文は伝統文化の瞬間が写し取られている

日本刀の刃文には伝統文化の瞬間が写し取られています。その見事な造形には、古来より多くの日本人が心を打たれてきました。そもそも刃文とは刀身の地と刃の間に生じる模様で、波状に伸びる線を意味します。模様には様々な種類があり、刀鍛冶の流派や刀工、そして時代背景によっても異なります。

こうした用件が日本刀鑑定の、重要な手がかりとなるわけです。刀そのものは古い歴史がありますが、日本刀と言われるものは平安時代中期以降の刀となります。当時の刀は武器として活躍していましたが、江戸時代に入ると武器としての役目を終えます。

それは世の中が太平の世になったからで、それ以降日本刀は美術品として認識されることになります。その流れから美術品となって買取対象となります。江戸時代には日本刀の刃文も、外見的な美しさを追求されることになりました。

それまでは自然なカタチが美しいとされていましたが、江戸時代には独自のデザインも誕生します。その中には斬新なデザインもあり、華麗な日本刀が次々につくられることになります。刀剣博物館や美術館では、こうした刀を沢山観ることができます。

展示品を見るポイントとしては、様々な角度から鑑賞することです。光線の当たり方で刃文が見えないこともあるからです。それに対して上下左右から見ると、刃先の方に他の部分と異なる模様が浮きでるものです。こうした模様は、焼入れという工程で生まれるものです。

刀工にとって焼入れが最も緊張する

焼入れは熱した刀身を水につける、大事な工程の一つです。刀工にとって焼入れの工程が、最も緊張する場面と言われています。それは一度焼入れを行えば、やり直しが効かなくなるからです。

水の温度をひとつとっても高すぎると刃切れを起こしてしまいます。これは刃に亀裂が入る現象で、刀身が全て駄目になるものです。逆に水の温度が低すぎると焼入れそのものが入らないわけです。焼入れの作業は、基本的に夜間に行われます。それは鋼の色を見て、温度を正確に判断するためです。この判断は熟練した経験によるもので、言葉に表すことができません。

このように感覚的な技に左右されるので、焼入れの工程が最も難しいと言われています。日本刀の焼入れの前には土置きという工程があります。これは焼刃土という粘土を刀身に塗る作業です。焼刃土は炭粉や荒砥粉などを粘土に混ぜて作ります。刃の部分には薄く塗り、棟の部分には厚めに塗ります。この状態で焼入れを施せば、鋼が化学反応を起こして細かい粒子が発生します。

この粒子はニエやニオイと呼ばれ、これが刃に波模様を描くことになります。焼入れの温度や鋼の熱し時間、そしてタイミングなどで様々な模様が表出します。また焼刃土の配合も大きく影響し、厚く塗られた棟は焼きが入ることがありません。さらに冷却スピードが遅くなるので、刃が硬くならないわけです。

日本刀は直刃と乱れ刃に分かれる

焼場土を薄く塗った刃側は急激に冷やされることで、焼きが入り硬くなります。これによって、柔軟性を備えた刀ができあがるわけです。刀は直刃と乱れ刃に分かれており、前者はまっすぐな線を意味し、後者は波打つカタチが特徴となります。

直刃の中でも焼幅が広いものは広直と呼ばれ、焼幅が狭いものは細直と呼ばれます。普通のものはただの直刃で、それより少し広いものは中直と呼ばれています。

一方、乱れ刃には様々なタイプがあり、中でも一定の間隔で波打つものは互の目刃と呼ばれます。それに対して不規則で大きく波打つものは濤乱刃と称されています。  刃文は刀工が焼入れをする際に、焼場土の塗り方を工夫することで表現されます。それが流派にもなり時代の象徴ともなります。

例えば戦国時代の関孫六兼元が得意とした三本杉は、尖った互の目が山が連なるような姿となります。江戸時代前期の名刀工・二代目津田助六は、濤乱刃を創始したことで知られています。重花丁字は鎌倉中期に活躍した備前一文字派の作例で華やかさが特徴です。そして南北朝時代の相州正宗は、ゆったりとした感じの互の目刃を焼いています。

その豪快な文様は多くの武将に愛されており、現在でも名刀として評価されます。それゆえ、こうした互の目が入った日本刀であれば、買取価格も高額になります。そこには刀工の想いが詰まっており、現代にも訴えるものがあります。

 

白く焼かれた日本刀であっても沸や匂によって付けられた文様があるものです。これらは刃中の働きと呼ばれており、足や葉、砂流しなど多様なタイプがあります。こうした文様も刃文と合わせて日本刀の買取ポイントになるわけです。

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