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公開日:2020/09/01  

日本刀の起源について解説

日本刀といえば広くは時代劇などでおなじみですが、専門家やコレクターの方などをのぞけば実物を見たことがない、という人も多いことでしょう。よく見ると反りのある特有の形をしているのが特徴ですが、いつごろからあの形になったのでしょうか。ここでは日本刀の起源を中心に、その進化の歴史なども含めて見ていきましょう。

紀元前に中国からやってきたのがはじまり

現在の形を成す前、いわゆる「刀剣」の部類に入るものが日本に渡ってきたのは、さかのぼること紀元前、中国からだとされています。当時の刀剣は青銅でつくられ、直刀形で重量もありました。そのため「斬る」というより「叩く」という用い方がされていました。

その後の古墳時代に入ると、鉄でつくられた刀剣が主流になっていきますが、古墳時代後期の刀剣には柄の部分に金銀の装飾が施されたものが多く見られ、武器というより装飾の要素が強いものだったことがうかがえます。

そして聖徳太子の時代には、直刀形はそのままですが細身、そして両刃ではなく片刃となり「刀」の形状になっているのが肖像画などから知ることができます。平安時代になると、日本の刀はより現在の形に近づいてきます。

前期には直刀形がまだ多かったですが、中盤頃からは現在のような反っている形に変わっていきます。このことから、刀が武器として利用するために切れ味などを高めて進化していった過程が分かります。

その後の鎌倉時代に入ると、さらに武器としての用途が高まっていきます。反りをより大きくすることで、斬るものに当たる部分がそれだけ小さくなり、抵抗を少なくする工夫がされていったようです。

また反っていることで小さい力でも斬りつけることができ、刀が受ける傷なども少なくなりました。ただ、現在のものと比較すると少しやわらかいという特徴があり、慣れないうちは曲がりやすくて扱いにくいものだったようです。

江戸時代から明治そして現在までの変遷

戦いの多かった戦国時代が終わり江戸時代に入ると、世情も安定ムードとなってきたため、刀の形状にもそれが表れています。反りがより大きくなっていった鎌倉時代とは対照的に、反りは小さく刃の幅は広く切先(きっさき)は大きくなっていきます。

その背景には、戦いよりも「剣術」として用いられることが増えて、斬るよりも「突く」ことが中心になったことがあります。また、重量も重くなり丈夫で長持ちするようになっていきました。

そして江戸時代半ば頃からは切先が狭くなっていき、ごつい雰囲気よりは繊細な形に進化していきます。安定していた政権に変化が訪れる江戸時代末期、日本には海外から船が渡来し世の中は再び戦いの体制へ変わっていきます。

そのため刀はふたたび戦うための道具となり、刀身は大きく切先は長く、強い感じのものへと戻っていきます。つくりかたも古い時代に用いられていた技法に戻っていったともいわれています。

その後の明治時代、「廃刀令」が出されたことにより帯刀(腰に刀を付けること)が禁止となります。これによって刀を武器として用いることは終わり、その後は軍刀やサーベルなどがそれに取って代わることになります。

ちなみに、戦争で用いられた軍刀は見た目がサーベルですが、鍔(つば)より先の部分は日本刀になっている折衷形がほとんどで、質はあまりよくないものであったようです。そして、現在の刀は古いものと比較して反りはゆるやかになり、切先は広くそして重量は重くなっています。

買取市場でも芸術品として高い価値を持つ

日本刀の歴史は大変古く、現在の形になるまでにはその時代を反映してさまざまな進化を遂げてきました。平安時代から武家社会である鎌倉時代、江戸時代そして明治へと移り変る中でも、とくにその芸術的価値が見出されたのが江戸時代だといわれています。

刃文の美しいものが沢山つくられた時代であり、したがって現在でも有名作品の多くは江戸時代につくられたものが多くみられます。幕末時代の激動から新しい時代を迎えたときに、廃刃令が出たことでその多くが国外へと流出してしまいましたが、現在でも日本刀は日本文化を代表する芸術品として高い値打ちを持っています。

刀買取市場などでも取引は活発ですし、外国人の中にもファンは多くいます。骨董品としても買取需要は多く、とくに有名な作品になるとかなり高値で取引されているのが現状です。

 

日本刀の起源を探っていくと、紀元前までさかのぼり中国から渡ってきたのがそのはじまりです。その当時のものは現在のかたちとは大きく違い、青銅製で直刀の重量のあるものでした。

聖徳太子の時代を経て、その後の平安・鎌倉・江戸時代へと進化をとげていくわけですが、刀の歴史に時代背景ありともいえるように、戦いなどその時代時代の世情によって刀に求められるものが変わり、さまざまな変遷があったのが見てとれます。

そんな中、美術品としての価値を持つ刀が多くつくられたのが江戸時代であり、それらは現代の買取市場でも高い人気を誇り、骨董品としての値打ちが大変高いものとして注目されています。

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