日本では届出のない火器類、刀剣等の所持、売買は銃刀法によって禁止されています。相続などで日本刀を譲り受けて、刀を売却したいと考えている人の中には「日本刀を所持していて、自分は罪にならないのか心配だ」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。この記事ではそのような人に向けて、法律に抵触しない正しい持ち込み方を紹介します。
銃砲刀剣類所持等取締法について知ろう!
日本で刀剣類を所持することは、銃砲刀剣類所持等取締法という法律に抵触し、罰則の対象となってしまいます。しかし、銃砲刀剣類登録証を発行してもらうことで所持することが可能になり、正当な理由があれば持ち歩くこともできるのです。銃砲刀剣類所持等取締法は、1958年(昭和33年)に公布されました。
銃砲刀剣類の所持、携帯を取り締まることで、犯罪を未然に防止することを目的として定められたのです。銃砲類のほか、刃渡り15cmを超える刀・剣・槍・薙刀、5.5cm以上の合口、または45度以上に自動的に開刃する飛び出しナイフの所持は原則禁止となっています。
銃砲刀剣類登録証が発行された人は、例外として銃砲刀剣類の所持を許可されるのです。ただし、許可を得たものであっても携帯する際の扱い方は細かく規定されており、違反した場合は厳しく処罰されます。銃砲刀剣類を所持する際は、住所地を管轄する都道府県教育委員会の審査に合格し、銃砲刀剣類登録証を発行してもらわなければなりません。
また、刀剣類でなくても刃体の長さが原則6cmを超える模造刀剣類、その他刃物については、正当な理由なく携帯してはならないと規定されています。これには包丁やアウトドアで使用するサバイバルナイフ、工作で使用するカッターナイフが該当するでしょう。持ち歩きをする際には、注意が必要です。
「料理で使う包丁を買った」「調理の実習の後、自宅で練習をするために包丁を持ち帰った」「仕事で使うカッターナイフを鞄にいれたままにしていた」「アウトドアに行くのでサバイバルナイフを持ち歩いた」などの状況で職務質問を受けたら、はっきりと理由を説明しましょう。なお、防犯・護身用という理由は「正当な理由」の規定に当てはまらないとされているため、注意してください。
銃砲刀剣類登録証について
銃砲刀剣類登録証は、銃砲刀剣所持等取締法第14条を根拠に、美術品もしくは骨董品として価値のある火縄式銃砲などの古式銃砲、または美術品として価値のある刀剣類として各都道府県教育委員会が銃砲刀剣類登録を認可した際に発行する証明書です。相続などで日本刀を譲り受けた際は、この銃砲刀剣類登録証が付属しているか確認しましょう。銃砲刀剣類登録証とは、誰がどのような鉄砲、刀剣などを所持しているのか登録した証明書です。
登録証が付属していない刀剣は銃刀法違反の対象になり、売却することも所持することも許されません。銃砲刀剣類登録証が付属した日本刀を相続などで譲り受けて売却する際には、所有者変更手続を行う必要があります。
これは、銃刀法で所有している人に変更があったとき、所有者変更手続を行うことが定められているためです。変更方法は、銃砲刀剣類登録証に書かれている都道府県教育委員会に登録証記号番号、交付年月日、種別、長さ、反り、目くぎ穴、銘文、旧所有者の名前と住所、新所有者の名前と住所、電話番号を記入し郵送します。
受理されると変更後の銃砲刀剣類登録証が送付されるため、これをもって売却できるのです。銃砲刀剣類登録証が付属していないとき、自分が罪に問われるのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、心配は無用です。
相続の際に相続人が、日本刀が家にあることを知らなかった場合は、罪にはなりません。すぐに警察署の生活安全課に連絡してください。警察署で刀剣類発見届出済証を交付してもらい、交付から20日以内に居住する都道府県の教育委員会の審査を受けることで、銃砲刀剣類登録証(登録料6,300円)を受け取れます。
日本刀買取業者への正しい持ち込み方
日本刀を持ち歩く時、銃砲刀剣類等取締法の正当な理由がある場合以外は、許可を受けた銃砲または刀剣類を携帯し、または運搬してはなりません。正当な理由があり、携帯または運搬する場合には、登録証と共にしなければならないという規定が銃砲刀剣類所持等取締法にはあります。
そのため、持ち運ぶ正当な理由がある場合に限り、銃砲刀剣類登録証を携帯しなければなりません。銃砲刀剣類登録証を携帯せず刀剣類を持ち歩くと、銃砲刀剣類所持等取締法とみなされ、懲役または罰金の対象になります。
なお、持ち運ぶ際は、刀剣類を一見して所持しているとわかる状態で持ち運んではなりません。たとえば帯刀して刀剣類を所持しているとすぐわかる状態でいると、近くにいる人に恐怖心を与える可能性があるためです。刀袋や風呂敷、ゴルフバッグ、ジュラルミンケースなどに収納して持ち歩くのがよいでしょう。
日本刀の売却の際に必要なものと、注意すべき点について紹介してきました。売買自体は銃砲刀剣類登録証があれば可能なので、注意点を把握していれば問題なく売却できます。日本刀は大切な財産です。上記を参考にポイントをおさえ、適正な価格で納得のいく取引を成立させてください。