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公開日:2022/07/01  

海外の二刀流と日本の二刀流の違いは?


2本の刀を巧みに操る二刀流。かの有名な宮本武蔵が二刀流の剣豪であったことから、日本だけであみ出された剣法だと思っている人も多いかもしれません。しかし、実は海外にも二刀剣法が存在しています。この記事では、中国・ヨーロッパにおける二刀剣法を取り上げ、日本の二刀流との違いをわかりやすくご紹介します。ぜひご一読ください。

日本の二刀流

現代剣道でも認められている二刀流は、左右の手にそれぞれ1本ずつ刀をもって戦うスタイルの剣術です。別名は二刀剣法や二刀といいます。二刀を自由自在に扱うには、身体的にも技術的にもハードルが高い剣術が必要でだといわれています。日本の剣術の世界にはさまざまな流派があり、それぞれの風土や郷土文化に影響され、進化し続けてきました。そして、そのうちのいくつかの流派で二刀剣法は継承されています。

この記事では、以下の4つの流派を取り上げてご紹介します。(1)二天一流、(2)寶山流、(3)心形刀流、(4)柳生心眼流です。これらの流派は、それぞれが二刀流の剣術をもち、各々のスタイルを確立してきたといわれています。流派によって、用いる武器・構え方・戦い方が異なるので、ぜひチェックしてみてください。

■二刀流の流派
(1)宮本武蔵の二天一流(にてんいちりゅう)

二天一流は、最強の剣豪として名の知れた宮本武蔵が立ち上げた流派です。二刀流の流派として、一番有名な流派といえるかもしれません。二天一流の二刀剣法は、右手に大太刀を左手に小太刀をもつスタイルです。小太刀に相手の意識を向けさせて、大太刀で不意をついて攻めたり、大太刀に相手の意識をひきつけて小太刀で静かに攻めたりします。

宮本武蔵は五輪書で「どの武器・どのスタイルで戦うのかは、状況によって不利にも有利にもなるため、ひとつの方法にこだわらないように」といった内容の言葉を書き残しました。さらに、武蔵の影響は大きく、武蔵以後に二天一流の末流として二天流・圓明流・鐡人流・温故知新流・今枝流などが創設されたといわれています。

■二刀流の流派
(2)寶山流(ほうさんりゅう)

寶山流は宮本武蔵が生まれる200年ほど前に二刀流を行っていた流派のひとつです。大刀を上段、小刀を中段に構える上下太刀の術が特徴的でしょう。ちなみに、武蔵以前の二刀流の流派には、寶山流のほかに、京流や新陰流があったと『大日本剣道史』には記載されています。

■二刀流の流派
(3)心形刀流

心形刀流は、短剣を投げて戦う三心刀というスタイルが特徴的な流派です。三心刀では、まず短剣を相手に投げつけ、相手がひるんだすきに大太刀で突きます。

■二刀流の流派
(4)柳生心眼流

柳生心眼流は、宮城県北部で現在も継承され続けている流派です。2本の小太刀を操る二刀小太刀術(にとうこだちじゅつ)や、太刀と鞘を使う二刀術が特徴的でしょう。

海外の二刀流

ここからは、日本以外の海外における二刀剣法についてご紹介します。日本と海外の二刀流は2本の刀を構えることは共通していても、その構え方や用いる武器、用途などは異なります。この記事では中国とヨーロッパの二刀流を取り上げますが、ほかにもフィリピンの武術エスクリマや朝鮮の馬上双剣術などがあります。

■中国の二刀流

中国の二刀流では、胡蝶刀と呼ばれる刀を用います。胡蝶刀は、刀身が広く、真ん中で縦に真っ二つに分かれて湾曲しているのが特徴です。中国の二刀剣法は、素早い連撃が特徴といわれ、左右どちらの剣も攻撃と防御の役割を果たします。

■ヨーロッパの二刀流

ヨーロッパでは、片手に攻撃目的のレイピアや剣をもち、反対の手に防御のためのマンゴーシュという短剣をもって戦います。フェンシングのように相手を突くのが特徴です。

二刀流は世界最強の剣術なのか

二刀を扱うためには、確かな身体能力や技術が必要です。二刀流を極めることはなかなか難しいものだといえるでしょう。そのため、二刀流は実際の戦闘には不向きで、弱いというイメージがあるのが事実です。

二刀流の剣術としてのデメリットには、
(1)そもそもの肉体的・技術的な面で習得するのが難しいということ
(2)両手の違った動かし方をするのが難しいこと
(3)相手に深いダメージを与えるような攻撃をするのは、熟練していなければ難しいこと

しかし、両手の剣を自由自在に操れるようになれば、もちろん最強の剣術といえるのではないでしょうか。

 

この記事では、中国・ヨーロッパにおける二刀流を取り上げ、日本の二刀流との違いを解説しました。日本だけで独自に確立されてきたと思われがちな二刀流ですが、世界各国でそれぞれ発展してきたことが、お分かりいただけたかと思います。また、日本の流派によっても、構え方や用いる武器、用途などが異なっていました。これらの違いに着目すれば、日本刀を見るのもより楽しめるのではないでしょうか。

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