刀剣のエピソードは、さまざまな物語や書物により語り継がれています。今回の記事では、有名な6つの刀剣について紹介します。1つ目は鵜丸、2つ目は石切丸、3つ目は祖師野丸、4つ目は泉水、5つ目は獅子王、6つ目は骨食です。保元の乱や平治の乱から武士の権力争いが始まりました。当時の時代背景とともに見ていきましょう。
鵜丸(うまる)
現在も所在が分かっていないのが鵜丸です。
保元物語に登場する
作者は不明ですが、鎌倉時代前期の軍記物語になります。保元物語は、保元の乱を題材にした物語で、後の武家政権を成立させるための戦いとなりました。
鵜丸は源為義の手にわたる
鵜丸は、白河院、鳥羽院、崇徳院、源為義に受け継がれました。保元の乱で鵜丸は使用されたのか、活躍したのかは不明です。また、源為義は斬首されました。現在も所在が不明となっています。
石切丸(いしきりまる)
源氏と平氏が対立している時代のエピソードです。
保元の乱から平治の乱にかけての物語
源義朝と平清盛が敵対して戦うことになったのが平治の乱です。平治の乱は、源平合戦の始まりとされており、一の谷の戦いや壇ノ浦の戦いに続いていくことになります。
源義平が使用した石切丸
平時の乱で石切丸を抜いて、勇敢に戦ったのが源義平です。平清盛は500騎、源義平は17騎の劣勢でしたが、平氏を蹴散らしたといわれています。源義平の最期は、現在の滋賀県大津市で生け捕りにされ斬首されました。その後の石切丸の状況は不明です。これはあくまで一説によるものですが、弘法大師から嵯峨天皇にわたり保管されたといわれています。
石切丸と同名の太刀が保管されている
東大阪市に石切丸と同名の太刀が保管されています。また、石切真守という刀剣は、真守という刀工が作成しました。
祖師野丸(そしのまる)
悪源太とよばれた勇敢な武将が所持していました。
源義平とは
悪源太ともよばれているのが、源義平です。悪という漢字は、現代で用いられている意味とは異なり、強く勇敢であることを意味します。武勇を評していることが分かります。
平治物語に登場する源義平
阿倍野で平清盛を待ち伏せして斬首するので、そのために兵を集めてほしいと藤原信頼にお願いしていた源義平でしたが、その考えを却下しました。源義平の作戦を採用しなかったがために、平清盛を斬首できませんでした。結果、源義平は捕まり斬首となりました。
現在は岐阜県に祀られている
祖師野丸は、岐阜県にある祖師野八幡宮に祀られています。平安時代に作られた刀剣です。2016年まで錆が付着していた刀剣でしたが、岐阜県の研ぎ師によって当時の輝きを取り戻しています。当時の村人たちによって大切に保管されていたのが分かります。
泉水(せんすい)
源頼朝と平清盛のエピソードは有名です。
髭切か泉水か
源頼朝の名刀である髭切を手に入れたかった平清盛は、源頼朝に髭切を手渡すよう指示します。しかし、髭切を持っているのは源頼朝ではなく、青墓のもとにありました。そこで、平清盛の使者が青墓まで向かって髭切を手渡すように伝えます。そこにいた源頼朝を以前かくまっていた女性は、平氏の手に髭切が手渡されるのは心苦しいので、髭切ではなく泉水を手渡すことを思いつきます。刀の中身を髭切と泉水を入れ替えましたが、無事に平清盛の目を騙すことができたといわれています。
30年もの月日を経て源頼朝のもとに泉水が戻る
平清盛、後白河上皇を経て源頼朝のもとに泉水が手渡されました。源氏と平氏の権力者争いの最中に、このような興味深い歴史があったのです。
獅子王(ししおう)
源頼政と獅子王について見ていきましょう。
源頼政とは
1104年に獅子王を受け継いだのが源頼政です。平治の乱では、源頼朝と敵対することになります。そして、平清盛と戦い勝利を手に入れました。平清盛が権力に溺れていくのを横目に、文武両道に励んだのが源頼政です。しかし、最後は以仁王に平氏を討伐するよう働きかけ、自身も挙兵しますが戦死することになります。
獅子王の舞台は平家物語
近衛天皇から獅子王を受け継ぎました。現在は東京国立博物館で鑑賞できます。近衛天皇から獅子王を受け継いだエピソードには触れられていますが、その後はどのようになったのかは不明です。
骨食(こつしょく)
諸説ある骨食は、詳細は分かっていません。数々の書物に骨食は登場しています。
兵庫県西脇市では供養が続いている
猪早太は実在した人物で、骨食を所持していたといわれています。現在でも供養碑が兵庫県西脇市にあり供養されています。
骨食には諸説あり
太田資宗の手に渡ったという説、太田丹後守の家に伝来したという説、高田斧太郎の家の所有物ではないかという説があります。
まとめ
日本を代表する刀剣は、刀剣にまつわるエピソードも魅力的です。当時の時代の武士たちは、捕らわれたり、斬首されたり、権力争いに巻き込まれたり、戦いに勝利したりして、刀剣とともに生活しました。さまざまな人の手に渡って現在も保管されている刀剣がある一方で、有名な刀剣でありながら、現在も見つかっていないものもあります。現存しているものは鑑賞できる場合があるので、興味がある人は鑑賞してみてください。