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公開日:2018/06/15  

甲冑も刀剣ショップに売れる?

甲冑も刀剣ショップに売れる?

合戦に使われた日本の鎧兜、いわゆる「甲冑」。

いまでもたまに、旧家の蔵のなかなどで見つかることがあります。

もし甲冑が手元にありどこかに売りたい、というとき、どこに相談すべきでしょうか。

また、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。

日本刀専門店では扱う店と扱わない店がある

同じような時代にセットで使っていたのだから、日本刀の専門店に相談すればきっと引き取ってくれるはず……とまず考える人も多いと思います。
それは必ずしも間違いではなく、日本刀も甲冑も扱っているお店は相当な数あります。
ですからもし日本刀専門業者に伝手があれば、相談してみるとよいでしょう。

しかし日本刀を扱う業者が必ず甲冑も扱ってくれるとは限りません。
あっさり「うちでは扱ってないので」と断られることもあるでしょう。
なんといっても、日本刀に比べて甲冑はかなりマイナーなジャンルだからです。

日本刀と甲冑は残っている数が違う

日本刀は近代以前に作られたものが相当な数、現代に残されています。
それは日本刀が、馬上戦闘用から徒歩での護身用へと使い方を変えながら、ずっと作りつづけられてきたからです。
さらに、いまも刀匠が新しく刀を作りつづけています。
日本刀は大きなジャンルであり、日本刀だけに関わって生計が立てられる専門家もそれなりの数がいます。

それにたいし甲冑は、すでに江戸時代初期にはほとんど作られなくなっていました。
言うまでもなく、戦国時代が終わり合戦がなくなったからです。
江戸時代中期にはすでに、甲冑は飾るものでありご先祖様の威光を示す象徴的なものにすぎなくなっていました。

江戸時代の最後に日本は内戦を経験します。
明治維新のさいの幕府軍と政府軍の衝突でしたが、このときにも甲冑はほぼ使われず、両軍とも基本的には布の服で戦いました。
すでに銃砲が発達しており、甲冑を着たところで銃弾は止められないと判断されたからです。

つまり甲冑は戦国時代までに限定された武具であり、現代でもほとんど作られていませんから、現存する数も日本刀よりはるかに少ないのです。
そういったわけで、甲冑を扱うお店というのはかなり限定されます。

ネットを使って甲冑買取の店を探すのが早道

江戸時代からすでに甲冑はほぼ美術品であり骨董品であったので、美術品や骨董品を扱うお店にも甲冑にくわしい人がときどきいます。
独自の専門ジャンルを築いていて美術商や骨董商の出番がほぼない日本刀とは違うところです。

ですから、日本刀の業者がいいのか骨董屋さんがいいのか、というふうに考えるより、ネットを使って、甲冑を扱っています、得意です、という業者をダイレクトに調べてみるのがいいでしょう。

日本の甲冑の歴史を見てみよう

〇「短甲」

甲冑は古代から作られ使われていたようで、古墳からは「短甲」といわれる鉄鎧が発掘されています。
そして日本の甲冑の中で最初の本格的な全身鎧といえるのが、源平合戦のころに使われていた「大鎧」といわれるものです。
肩に大袖という防御板がつき、草摺というスカートのような裾がついています。
これは馬上で矢を射掛けあう当時の戦の形式から必要とされたもので、矢で致命傷を負わないよう隙間なく防御していたわけです。
この大鎧が、その後の日本の甲冑の基礎になります。

〇「胴丸」や「腹巻」

室町時代になると徒歩戦闘がしだいに増えてきた関係から、より地上戦に向いた「胴丸」や「腹巻」が登場します。
兜や袖を簡略化したり省略したりして軽量化を重視しており、草摺の裾を細かく切り分けて移動の邪魔にならないようにしたり、いろいろな意味で軽快になった甲冑です。

〇「具足」

戦国時代になると、胴丸を改良する形で「当世具足」、あるいはたんに「具足」と呼ばれる新タイプの甲冑が登場します。
鉄砲の出現によってふたたび遠距離攻撃への対応が求められるようになり、室町時代は軽視されていた兜や袖などがまた使われるようになります。
全体的により堅牢さを増しながら同時に構造は簡略化し大量生産ができるようになってゆきました。

現在私たちが「日本の甲冑」としてイメージするのはこの当世具足でしょう。
作り方が画一化されていた大鎧や胴丸などと違い、国や地方によっていろいろな製法やデザインが生まれ、非常に多様化したのも当世具足の特徴です。
また、上級の武士は自らの権威を示すため、兜の飾りにそれぞれ工夫をこらしました。
この当世具足の時代が甲冑にとっては最盛期といえます。

甲冑の価値は古さと格

ではこういった歴史のなかで、現在高価で取引きされる甲冑はどんなものでしょうか。
まず、古いものほど高い、ということはいえると思います。
特に大鎧はかなり貴重なもので、場合によっては売るどころか展示させてくれと博物館から話が来たりするかもしれません。

現存する甲冑のなかで数が多いのは当世具足ですが、これは価値がバラバラです。
大量生産されると同時に上級向けのオーダーメイドも作られており、また各地に職人の流派が存在していましたから、高いものもあれば安いものもあります。

ひとついえるのは、オーダーメイドであるほど、それも上級武士のオーダーであるほど高いということです。
なかでも甲冑の価値に影響が大きいのは兜のデザイン。
兜の額のところには「立物」といわれる飾りがつくことが多く、この立物が珍しかったり状態がよかったりすると一気にお値段が上がります。

甲冑を高く売るなら付属品と箱を大切に

最後に、甲冑、とくに当世具足は非常に多くのパーツに分かれています。
パーツが揃っていることで価値は跳ね上がります。
また、甲冑を入れていた箱にも価値があるので、もし甲冑を高く売りたいなら、家じゅうを探して多くのパーツを揃えるといいでしょう。

甲冑の価値にはもちろん古さや品質が大きく影響しますが、それよりさらに大きいのは状態のよしあしです。
なるべく綺麗にし、揃った状態で買取に相談するのがおすすめです。

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