日本の文化財である日本刀は、千年以上もの時を経て大切にされているものです。歴史を感じさせてくれる日本刀は、さまざまな魅力があり、海外からも注目されています。日本刀に興味があり、どのような特徴があるのか、制作過程などを知りたい人もいるでしょう。そこで今回の記事では、日本刀の魅力を紹介します。
日本刀に使われている素材とは?
日本刀は、とても硬く簡単に折れることはありません。主に鉄が使われています。鉄で作られる金属製品は多くありますが、日本刀に使われるものは鉄に含まれる不純物が少ないことから、性質は異なるようです。原料は同じでも製鉄方法で性質が変わるため、同じ鉄でも硬さが異なるとされています。
日本刀で使われる鉄は玉鋼と呼ばれており、純度が高い鋼が使用されているようです。日本でたたら製鉄の技術が開発されたことで、玉鋼を完成させる技術が発達し日本刀に使われました。日本刀の主な素材は玉鋼ですが、実は地鉄も含まれています。地鉄を含ませることで、刀の硬さに違いを出せるのです。他に、玉鋼を使わず卸し鉄と呼ばれる鉄を使うこともあります。
日本刀にはどのような種類が存在する?
日本刀は、大きく分けて4つの種類があるといわれています。太刀・大太刀・腰刀(短刀)・打刀・脇差・長刀(薙刀)・長巻です。その中でも代表的な日本刀とされているのが、太刀と打刀です。
太刀は平安時代から戦場で使われていた歴史ある刀で、手元に近い部分に反りの中心があります。太刀は反りが深い点が特徴です。一方、打刀は室町時代の初期に登場しました。太刀の代わりに使われることが増え、日本刀というとこちらを思い浮かべる人が多いといわれています。太刀と似ていますが、反りはやや浅めです。
日本刀がよく切れるといわれているのには、反りと関係があります。反りがあることで自然に引き切りできるだけでなく、切った時の反動も和らげてくれるので、比較的戦いやすいのです。こだわりの製法が日本刀の丈夫さや切れ味を生み出しています。
日本刀ができるまでの流れ
日本刀が完成するまでには、多くの過程があります。時間をかけて作られる日本刀は、熟練された職人しか完成させることができません。
■鍛錬作業
まず玉鋼を加熱して、鍛錬するという準備を行います。鍛錬を行う前に、玉鋼を重ねた塊を和紙で包んで、わら灰をまぶしておくのです。これを加熱したら、折り返し鍛錬の作業に入ります。
■折り返し鍛錬
玉鋼を叩いて延ばす作業です。叩いて延ばして折り曲げる工程を繰り返すことで、玉鋼の不純物が取り除かれます。不純物を取り除くと強度が増し、丈夫な刀の原料となっていくでしょう。折り曲げる回数や方法は、どのような刀を作るのかによって変わってきます。鍛錬すればするほどよいということではなく、刀の種類に合わせて細かな調整が必要となるのです。
■心鉄の組み合わせ
別々に鍛えた硬い皮鉄と柔らかい心鉄を組み合わせる作業を行うことで、折れにくく丈夫な日本刀のベースが完成します。硬さの異なる鉄を重ねてから、再度鍛錬の作業を繰り返すことで、2種類の鉄が組み合わされるのです。その後は一体化した鉄を打ち延ばして、日本刀の長さにしていきます。先端部分の調整を行い持ち手部分を作ることで、美しい刀の形に仕上がるのです。
■荒仕上げ
組み合わせた鉄を、日本刀の形に叩きならしした後、荒仕上げします。荒仕上げでは、ヤスリやセンを使うようです。
■焼き入れ作業
日本刀の反りが作られるのは、焼き入れ作業の時です。焼き入れして一気に冷やすことで、刀の反りができます。
■研ぎ作業
焼き入れで反りが生じますが、実はこれだけでは完成しません。焼いた後に、修正や微調整が必要です。研ぎ作業を行った後は、銘切りと呼ばれる工程があります。ここでは、刀に氏名や制作年月日を入れるようです。このようにたくさんの工程を経て、1本の日本刀が完成します。
西洋の刀と日本刀は違う
日本刀の中にさまざまな種類があるように、西洋の剣と日本刀も違いがあります。西洋の剣は、日本刀とは違い製法が多種多様です。鉄を溶かして型に流し込んで作られる製法、日本の刀のように熱した鋼を叩いて延ばして作られる製法、両方の製法を組み合わせたものなどがあります。
製法が異なるだけでなく戦い方にも違いがあることから、興味のある人にとっては奥深いものでしょう。似ている武器でも異なる製法で作られているとわかると、ますます興味がわきますね。
日本では刀が主に作られていますが、実は剣もいくつか作られています。ただし日本で作られている剣は、西洋のものとは異なるのです。これらの違いを知ると、ますます刀について興味がわき、知りたくなってしまうのではないでしょうか。
日本刀の魅力を、さまざまな角度から紹介しました。日本刀は貴重品として扱われていることから、売りたいという場合は買取専門店に依頼することをおすすめします。しっかり価値を見極めて査定してくれる買取専門店に相談しましょう。