日本刀に関する用語は沢山あり、どのような言葉があるかについては枚挙に暇が無いほどです。
今回は刀について詳しくなるためには欠かせない、関連する言葉がどの程度あるのか、そして、どのようなものがあるのか見ていきましょう。
基本の刀の分類に関する用語を紹介
日本刀の用語に関して基本となるのが、その刀がどのような分類となるかについてのものです。
同じ日本製の刀でも、長さなどによって呼び方が変わるので、この点については要チェックとなります。
まず、最初に太刀と呼ばれるものを見てみましょう。
太刀は60cm以上の刀であり、身につける際には刃を下向きにするのが特徴です。
室町時代以前によく作出されていたものとなります。
室町時代以降に台頭してきたのが刀で、こちらも長さは60cm以上ですが、身につける際には刃を上にするのが太刀とは異なる点です。
また、反りに関しても刀のほうが、太刀よりも浅く作られているのも特徴と言えます。
60cm未満で30cm以上のものは脇差、30cm未満のものが短刀です。
加えて小太刀と言うものも存在している他、刀についても新刀や古刀とさらに分類することもできます。
この辺りは詳しく調べようとするとキリがありません。
刀の部分に関しての用語を見てみよう
日本刀については部位によって色々な呼び方があり、これに慣れていないと、説明を受けても何が何なのかさっぱりわからないこともあります。
この刀の部位に関する用語は大切なものですし、時代小説などにも割と登場しますので、正確に知っておくと理解が深まるでしょう。
まず、日本刀は抜刀した際、柄から露出している刀身部分と、柄に収まっている茎の部分に大きく別れます。
茎は柄や鍔を装着し、握り手となる箇所です。
茎には鑢目が施されますが、これには作者や作出された時代の特徴がよく現れます。
茎には目釘穴が空いており、これは柄を固定するために使うものです。
刀身は先端部分である切っ先、刃がついている部分はそのままで刃、刃とは反対の部分が峰です。
刃と峰の中間位は鎬と呼ばれる部分がありますが、これは「しのぎを削る」の語源になりました。
刃の部分で切っ先から10cmほどの部分を物打ちと言いますが、日本刀においては、これが最も切れる部分です。
鍛え具合も他の部分と異なりますし、力学的にも優れているので、対象に打ち付けた場合には最も威力を発揮することになります。
柄の部分から10cmほどははばき元と呼ばれている箇所です。
この他にも詳細に名称が存在しています。
鍛え肌や刃紋は刀の美術的要素を高める存在
まずは、鍛え肌について見ていきましょう。
刀の強さの秘密の一つが、何種類もの性質の異なる鋼を組み合わせて鍛造して行く点にあります。
この、種類の異なる鋼の組み合わせによって生まれるのが、鍛え肌と呼ばれる存在です。
これは刀身全体の地鉄に現れるもので、模様の種類によって「柾目肌」や「木目肌」、「綾杉肌」などがあります。
鍛え肌の模様がよく現れているさまを「肌立つ」とし、模様がかなり細かくなっているものを「肌つむ」と表現するのが一般的です。
鍛地はその美しい模様から、次に紹介する刃文とあわせて美術的な側面を強めている存在となります。
刀身を観察する際には、鍛地の現れ方によって、どのような鍛え方をされたのか参考になるので、大切です。
刃文は、刀の刃の部分と鎬の間に現れる模様を指しています。
この模様は刀を仕上げる際の焼入れによって生じるものです。
鋼は高温に熱し、急速に冷却することで強靭さを増しますが、この時に成分構造に変化が現れることで、このような模様を生じます。
刃文には大きく分けて「沸」と「匂」があり、この違いは重要です。
「沸」は模様になっている粒が、見た目でもわかり易いほどにはっきりとしているもので、「匂」は逆に、粒が微小なものとなります。
刃文の分類は乱れ刃などが色々とありますが、大きな分類としては「沸」と「匂」があるのだと覚えておきましょう。
刃文はまっすぐに生じる直刃の他に、模様の現れ方によって様々な名称があります。
規則正しい波のように見える「互の目」や、波がさらに穏やかになった「のたれ」は、時代劇などでもよく見かけるタイプに近いでしょう。
「互の目」の山が谷部分が尖った「三本杉」や、形が丁子の実に似ている「丁子刃」などもあります。
乱れ刃の仲間には派手に刃文が出ているものもあり、どのようにして焼き上げたのか興味をそそるものも多いです。
刀匠や時代の特徴をよく反映しているのが刃文ですので、これに詳しくなることで作者や時代背景もよく把握できるでしょう。
日本で作られる刀には幾つもの専門用語があり、その総数は数え切れない程です。
今回は基本的に押さえておきたい用語を紹介してきましたが、さらに詳しく調べると、よりたくさんの言葉が見つかるでしょう。
これらの言葉は刀を理解し、または表現する上で欠かせないものが少なくはありません。
刀の世界により深く足を踏み入れてみたい時には、関連するキーワードを学んでいくことで、新たな楽しさや発見があるのではないでしょうか。