刀剣好きなら一度は行ってみたい場所が「刀剣博物館」ではないでしょうか。刀剣専門に展示を行うこの博物館ではさまざまな刀剣を鑑賞できるだけでなく、実際に手に取って眺めることも可能です。歴史と魅力あふれる刀剣博物館について詳しく紹介するので、ぜひ読んでみてください。
刀剣博物館とは
刀剣博物館とは、東京の墨田区に設立された刀剣専門の博物館です。昭和43年に日本美術刀剣保存協会の付属施設として誕生しました。
刀剣は日本の歴史を知るうえで貴重な資料ともいえます。千年にもわたって大切にされてきた刀を展示するとともに、研究や伝統を継承していくためにも刀剣博物館が運営されています。
国内だけでなく、海外にも刀剣の魅力を伝え、美術作品としての価値を広めていく目的で施設が運営されているようです。
建築
刀剣博物館は、旧安田庭園の一角を利用して作られています。旧安田庭園とは、江戸時代(1688年から1703年)に建てられた池泉回遊式庭園で、昔は隅田川の水を引いた作りになっていたようです。
元は岡山藩主池田侯の屋敷だったものを安田善次郎が所有し、昭和になって墨田区が管理するようになったのが刀剣博物館の始まりです。現在は刀剣の鑑賞だけでなく、休憩替わりに庭園を散策することもできる施設となっています。
館内設備
1階にはエントランス、お土産や記念品を購入できるミュージアムショップ、情報コーナー、休憩できるカフェが併設されています。2階は刀剣に関する資料を見られる閲覧室があり、3階には展示室、ロビー、そして屋上庭園とさまざまな空間が設計されているようです。刀剣鑑賞の合間にゆっくりカフェや屋上庭園で休憩するのはいかがでしょうか。
見どころ
刀剣博物館という名前のとおり、日本刀に関する幅広い情報と刀剣数を誇っているのが特徴であり、刀だけでなく甲冑や刀装など歴史的価値の高い展示品も数多く保存しています。とくに国宝に指定された刀剣は見どころで、3振の刀と重要文化財の刀を心ゆくまで楽しむことができるため、展示日程を調べたうえで足を運ぶとよいでしょう。
日本美術刀剣保存協会
元々は戦う際の武器として生まれた刀剣が時代の流れとともに美術的な側面を持ち始め、昭和23年に刀剣の研究や伝統継承、保管のために日本美術刀剣保存協会が作られました。
刀剣の歴史は古く、日本人の心とまで表現される一方で、第二次世界大戦後はGHQによって「刀剣は武器である」という理由で没収されました。国宝の刀も容赦なく折られてしまったのです。それを制止するために動いたのが本間順治・佐藤貫一でした。彼らの動きにより、現在でも貴重な刀剣たちを鑑賞できるのです。
アクセス
鉄道/JR総武線「両国駅」西口より徒歩7分。または都営地下鉄大江戸線「両国駅」A1出口より徒歩5分。バス/都営バス墨田区内循環バス「旧安田庭園・同愛記念病院」より徒歩1分。自動車/首都高速6号向島線形出口より5分。7号小松川線錦糸町出口より15分。
国宝や重要文化財が多数
刀剣を専門に展示している博物館ということで、あらゆる刀剣が収められています。ここでは3振の国宝に指定された日本刀と、数ある重要文化財の一部を紹介します。他にもたくさんのお宝が展示・所蔵されているので、公式サイトなどで情報を集めながら見たい刀剣をピックアップしてくださいね。
刀剣博物館の国宝
刀剣博物館には3振の国宝が収められています。
1振目は「太刀:銘延吉」です。千手院派の刀工:延吉によって鍛えられたこの刀剣は、地刃のできが穏やかで延吉作の中でもっとも優れているといわれており、後水尾天皇の御料と伝わる名刀です。
2振目は「太刀:銘国行(来)」です。「明石国行」の名で有名なこの太刀は来派の祖・国行が鍛えた名刀で、同刀工の中で唯一国宝に指定されたものといわれます。
3振目は「太刀:銘国行(当麻)」です。当麻派の特徴である細かな地鉄とまっすぐな刃文が色濃く現れた一振です。どれも当時の技術を現代に伝える貴重な作品といえます。
刀剣博物館の重要文化財
短刀/「銘清綱」「銘兼氏」太刀/「銘信房作」「銘福岡一文字」「銘正恒」「銘兼永」「銘真景(古伯耆)」などの重要文化財が多数所有されています。展示会の際に鑑賞するのがおすすめです。
日本刀に関するイベントが開催されている
刀剣博物館では定期的にイベントが開催され、何度訪れても楽しめるような工夫が施されています。テーマに沿って展示される随時開催の展覧会や、実際に手にとって刀剣を鑑賞できる「定例鑑賞会」は刀剣好き必見のイベントとなっています。
定例鑑賞会
毎月開催される定例鑑賞会では10振ほどの刀剣が用意され、実際手に取って日本刀を鑑賞できるようです。茎部分を隠し、刀工の名前を当てる鑑定刀も登場するようです。高校生以上の人で日本刀マナー講座に出席できることが条件なので、余裕を持ったスケジュールで計画するとよいでしょう。
マナー講座
日本刀を鑑賞する際のマナーや扱い方を学べる講座です。鑑賞の仕方や刀剣を直接扱うときの注意点をスタッフが丁寧に説明してくれるこの講座は、主に初心者向けの内容となっています。なお、定例鑑賞会に参加する際の必須条件となっているので、忘れず受講するようにしてください。
随時開催の展覧会
「平成の名刀・名工展」「刀剣博物館開館50年にわたる寄贈名品展」「重要刀剣等新指定展」など、それぞれのテーマに沿って随時開催される展示会があります。目玉となる刀剣や美術品が並べられ、詳しい解説も掲載される展示会は必見です。普段はなかなか見られない貴重な作品をゆっくり鑑賞できるでしょう。
刀剣博物館ではさまざまな国宝や重要文化財の刀剣が所蔵されています。刀剣に関する知識が深められるだけでなく、美術品としての刀剣の魅力を発見し、穏やかなひとときを過ごせるでしょう。とくに月1回開催される定例鑑賞会は刀好きにとって絶対行ってみたいイベントです。鑑賞のマナーを守って有意義な時間を過ごしてください。