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公開日:2025/10/06  

小村神社所蔵「金銅荘環頭大刀拵・大刀身」とは?

小村神社所蔵「金銅荘環頭大刀拵/大刀身」とは
金銅荘環頭大刀拵(こんどうそうかんとうたちこしらえ)・大刀身は、古代の工芸技術と信仰的保存慣行を映し出す稀少な文化財であり、装飾金具と直刀系の刃体が一体となった姿から、研究・鑑賞の両面で高い価値を有しているとも言える一振りです。

【概要】

小村神社が所蔵する「金銅荘環頭大刀拵・大刀身」は、金属装具を伴う古式の大刀拵で、国の最高指定である国宝に登録されています。制作年代は古墳時代末(概ね7世紀前半)と推定され、鞘や柄に用いられた金銅・板金の組合せや環頭の透彫など、古代の鋳造・打出技法が良好に残る点が特徴です。出土品ではなく長く人手により保たれてきた点で稀有な資料と評価され、刀剣・日本刀を主題にする研究や図版資料でも頻繁に参照されます。国の登録情報に詳細が記載され、保存管理の対象として公式に扱われています。

【来歴】

社伝によれば小村神社は古くからの由緒を唱え、創建伝承を6世紀末に遡らせる記述が残るため、本件は古代から神体として祀られてきた器物という位置づけになります。地域の伝承では有力豪族の崇敬と結び付いており、世代を経て大切に守られてきたことが強調されています。一方、考古学的・美術史的な比較では、大陸系の意匠要素鋳金技法の影響が指摘され、古代の海上交流や技術伝播を示す史料としても評価されています。近現代には昭和期に公的保護の対象となり、公的台帳に記載されることで保存と学術的検討が進められてきました。複製は地域施設で展示され、現物は神社で厳重に管理されています。

【刀身の特徴】

中身の刀身は直刀系切刃造に分類され、棟は丸く鋒はかます形を示すなど古態を残しています。鍛えは主として板目肌を示し、部分的に柾がかる箇所があり、地には地沸や斑が見えるため全体に白けた趣があります。茎は生ぶで先栗尻、鑢目は槌目仕立て、目釘孔は茎先寄りに一つという古式の仕立てが確認されます。加えて、柄・鞘側の金具は四区画に分かれた筒金構成で、並列連珠や山形文を点打ちで表すなど打出・透彫の技巧が顕著です。近代の調査では刀身の腐蝕に対する研磨等が行われた記録があり、現状は形態保存に配慮された状態で継承されています。詳細な寸法や図版は公的記録に示されており、総長118.8cm、刃長68.3cm、元幅2.9cm、先幅2.3cmとなっています。

【まとめ】

金銅荘環頭大刀拵・大刀身は、装飾金具と直刀系の刃体が一体となった極めて稀少な文化財で、古代の工芸技術・意匠の受容過程と信仰的保存慣行を同時に示す重要な事例です。研究的には鋳金の表現、文様系譜、鉄の鍛接法などを比較検討するための一次資料としての価値が高い点を強調できます。実物は通常非公開で拝観機会が限られますので、見学や研究を計画する際は文化庁の登録情報や地域の公開案内を事前に確認し、複製展示や図版資料を活用してから現地を訪れることをおすすめします。

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