日本刀にはいろいろな種類があって全部を把握するのは難しいという人もいるでしょう。アニメや漫画の中で登場してきた日本刀の一つとして逆刃刀がありますが、一体どのような日本刀なのでしょうか。その日本刀としての特徴と、本当に歴史的に見て実在しているものなのかについての詳しい情報を紹介します。
逆刃刀とはどのような日本刀なのか
逆刃刀とはテレビアニメや漫画で人気の高い作品の中で登場してきた日本刀の一種です。一見すると普通の日本刀と同じような作りになっていて、鍔、鞘なども全く同じようになっています。
しかし、逆刃刀は通常の方法で切りつけようとしても対象を切ることができない仕上がりになっています。焼きを入れていないから切れないというわけではなく、刃と峰が逆になってしまっているのです。
通常、刀身は少し反った形に仕上げられていて、反りの外側が研ぎ澄まされています。その外側が刃になっていてその反り具合の影響もあってもうまく対象を切断することが可能です。そして、反りの内側については薄く研がれているわけではなく、切断するには向いていない仕様になっています。
ところが、逆刃刀の場合にはこれが完全に逆転してしまっていて、反りの外側は薄く研がれていないので全く切ることができません。しかし、反りの内側は通常の刃のように薄く研ぎ澄まされているので対象を切断することができる仕様になっているのです。
このような形にすることで直感的に鞘から刀を抜いて切ろうとすると、通常の峰打ちのように打撲させることができる程度になり、殺傷能力が大幅に低下する仕掛けになってします。
そうでありながら、本当に日本刀の切れ味をもって何かを切断しなければならない場合には峰打ちをするときのように刀を逆向きにして持つことで対応できるのが特徴です。練習刀とは異なり、逆向きにすれば切れるというのが特色と言えるでしょう。
長い歴史の中に逆刃刀が使われていた記録はない
アニメなどで登場してきた逆刃刀は本当に実在していたのかと疑問に思う人もいるでしょう。本来戦争の武器として制作されていた日本刀は殺傷能力が高いことが望まれるため、逆刃にしてしまうことに特に意味がありません。
実際に日本の歴史を遡って室町時代や戦国時代、安土桃山時代や江戸時代など、どの時代を見てみても逆刃刀が使用されていたという記録はありません。アニメの作中では人斬りをする行為が染み付いてしまった主人公を人斬り業から脱却させるための方策として持たせるようにしたという経緯があります。
しかし、戦乱の世の中でそのような考え方に基づき、あえて逆刃にした日本刀を制作する刀工はいなかったのです。ただ、太刀のように大きな日本刀では例がなかったというだけで、小刀については若干数ではあるものの峰のほうに刃が付けられている例があります。
中には逆刃になっている小刀も存在していますが、作中と同じような意図で制作されたものではないというのが一般的な見解です。あくまで作業をするうえで逆刃のほうが便利だったから特注したのではないかという考え方が広く受け入れられています。
それでも存在している逆刃刀の実態
このような状況を考えると結局、逆刃刀はフィクションであって実在しないものなのではないかと考える人もいるでしょう。確かに古い時代に制作されたものは現状としては存在が確認されていませんが、実際に逆刃刀そのものは見ることもできます。
アニメや漫画によって人気になったことを受けて、現代の刀工が制作を手がけたからです。その作品は博物館に展示され、誰でも気軽に見られるようになっていました。制作した刀工からのコメントなども見ることができ、通常とは反りが逆なので研ぐのが難しくて苦労したといったストーリーを垣間見られるのも魅力です。
現代でもこのような素晴らしい日本刀を制作できる刀工が存在しているからこそ、フィクションのものだと考えられていた日本刀すら実在するものになっています。
日本で伝統的に制作されてきた武器である日本刀にはいろいろな種類のものがあります。逆刃刀は刃と峰が入れ替わっている日本刀で、反りの内側に刃があって外側は峰のように特に刃を研いでいない状態になっているのが特徴です。普通に斬りつけると打撲させられるだけで殺傷能力が低く、峰打ちをすると対象を切断することができる仕様になっています。
小刀では峰のほうに刃があるものも散見されるのは確かではあるものの、殺傷能力が低いという点で歴史的に見ても逆刃刀が制作されることはありませんでした。しかし、アニメや漫画の中で登場して高い人気を獲得したことでよく知られるようになりました。それを受けて現代の刀工が制作したことにより、今では誰もが見ることができるようになっています。