丁子油とはどんなものであるのか、日本刀に詳しい人でなければそれが何に使われるのかさえ分からないものです。基本は、錆防止に効果的であり、錆びやすい素材だからこそ、油膜で内側からの錆を抑制することができるといいます。しかし、この用品も効果的であるのか、いまだに賛否両論の声が聞かれています。
植物から採取されていた香り豊かな油
日本刀というのは繊細で、保存状態も環境次第といわれています。買い取ってもらいたいのであれば、手入れは怠ってはなりません。たった1ヶ月放置するだけでも錆びてしまい、刃こぼれをしやすくなります。
しかし、適した環境で保管できたとしても手入れは必須で、鑑賞用でも買い取ってもらうにしてもきれいな状態を維持するには定期的に正しい手入れをしておくことは必要です。埃や手垢程度ならば、拭うだけで問題ないかもしれませんが、見た目にもよろしくないのは錆びでしょう。
白錆や赤錆などがありますが、劣化するのも早くなりがち、充分に気をつけなければなりません。錆予防としては、表面に付着している不純物を奉書紙と打ち粉を使ってきれいに取り除き、さらに薄く油を塗って油膜を張ることがポイントになります。油膜をしっかり張ることで、内側の金属を錆びから守ることができます。
また、手垢も付着しにくくなるでしょう。重要になるのがその油で、丁子油と呼ばれています。何のために塗るのか、それは日本刀の錆防止に効果的だからです。では、この丁子油とはどんなものなのでしょうか。
丁子は、チョウジノキというフトモモ科フトモモ属の常緑樹から採れるもので、香りも特徴の1つです。クローブ油としても多用されていますが、揮発性で錆止めとしては酸化しやすいのも事実、日本刀の手入れに向き・不向きという賛否両論の声があがっていることも事実です。
しかし、日本刀が作られた時代からあり、その名称に権威があり、手入れといえば丁子油というのがまかりとおっていました。幕末の時代には数軒が独占的に製造販売をしていたようです。その当時は、錆防止としてのみならず、切り傷やのどの痛み、そうした身体の健康面でも用いられていたのです。
植物性も鉱物性も同じ名称になっている
錆防止に効果的な丁子油とはいっても、実際には丁子ではなく椿油が使われていた可能性もある話が出ています。日本美術刀剣保存協会によれば、当時の錆防止に何が使われていたかは厳密に確認できていないことを口にしています。同じ植物油である椿油が使われていた可能性であったり、ブレンドして丁子の香りをつけていたのではないのか、そうした議論もいまだにされています。
しかし、日本刀愛好家の多くが、植物性の丁子油を利用して手入れをおこなっています。現在、日本刀の錆防止に使用されるのは、鉱物性か植物性です。鉱物性のほうが刀身を傷めないようで、無臭で値段も手頃ではあります。昔から、日本刀の錆止めには丁子という名称の権威がありました。
ですが、丁子という名称を使ってはいるものの、本音と立て前ではありませんが、刀身の錆防止に効果があるのは、もしかすると鉱物性の油かもしれません。日本刀の錆防止に効果的な丁子油とは、実際には植物性と鉱物性のどちらの名称にもなっているという見解です。
どこで手に入るのかを確認しよう
では、日本刀の錆防止に効果的な丁子油はどこで手に入るのでしょうか。手軽さでいえば、インターネットから取り寄せるのもありです。しかし、日本刀の素材のことを考えるならば、専門業者から購入することが適しています。もちろん、そうした専門業者によるインターネット販売もおこなわれていますから利用してみましょう。
気になる値段も、内容量であったり、抽出技術などによって品質の差があれば、ピンからキリまでありますが、傷みやすい日本刀の錆防止のための利用です。安価なものはなるべく避けたいものですが、素人が手入れをするのならば2,000円という平均値で選びましょう。
ものによっては5,000円以上することもありますし、香りが強いものもあったり、それほど強くないものもありますが、これも抽出技術によるものです。丁子油とはいっても油ですから、火気厳禁、保管する場所は小さな子の手に届かないところに置いておきましょう。これは日本刀も同じで、手入れをするときだけ扱うようにしましょう。
日本刀の買い取りサービスも展開されていますし、コレクションする人もたくさんいます。しかし、大事なことはその状態を保つことです。手入れをしなければ劣化もしやすくなります。
汚れをきれいにするだけでなく、金属、鉄という性質ですから、錆防止に努めることも大事です。その錆止めに効果的ともいわれているのが、丁子油です。これはどんなものなのか、植物性で香りがあり、油膜による錆防止に効果的であり、昔から愛用されている手入れ用品でもあります。