日本刀は美術品としての価値が非常に高く、国内はもとより世界各国で愛好家がたくさん存在します。日本刀は大きく分けて2種類存在しており、真剣と模造刀に分類することが可能です。この2つの違いでとくに強調されることが、買取価格の違いといえるでしょう。ここでは真剣と模造刀の違いと買取価格を詳しく見ていきます。
なぜ日本刀が美術品で人気があるのか
アメリカやフランス・イギリスには、世界各地の著名な美術品を展示している博物館・美術館が数多くあります。これらの施設で共通している展示品が日本刀であり、日本で1200年代から1700年代に掛けて製作された刀が世界各地に散らばっています。
もともとは国内で保管されていたものばかりでしたが、1800年代後半の開国時に海外に流出したのを機に各国の愛好家の手に渡ったと考えるのが妥当でしょう。武器として使用されるのではなく、美術品という形で飾るために海外では人気を集めていますが、これは日本刀独自の美しい形を好む方が多いからです。
西洋の剣は単に鋼・鉄を製錬して形作りますが、日本刀は何回も焼き入れを行って鍛冶師が鍛錬を行い、刀身全体に曲線を生み出します。大きく反り返っているものから、刃先に焼き入れの跡が生れるものなど、鍛冶師によってその姿が異なるため、一種の芸術作品という見方もなされるのが特徴です。これが国内または世界各国にいる愛好家の目に留まり、20世紀初頭から美術という形で人気を得て来ました。
真剣が高い人気を誇っていますが、名刀の姿を忠実に再現している模造刀も支持されており、真剣ではないため気軽に室内で飾れるという扱いやすさを魅力にあげる方もいるほどです。真剣・模造刀ともに買取り対象となりますが、その買取り価格は大きく異なるという特徴があります。
そもそも模造刀とは一体どんなもの?
刀というと、多くの方が武器になるものとイメージすることでしょう。この武器という位置づけで作られているのが真剣というものです。日本刀の場合、内側に焼き入れを行って研磨を繰り返すことで「刃」を備えます。焼き入れを行った刃を持つ日本刀は美しい波模様が付いており、この模様が刀の価値を生み出すといっても過言ではありません。
では模造刀はというと、両面ともに刃がなく、武器という概念を持って造られたものではないものです。刃がないため美術品という分類に分けられる品物で、その価格も数千円から1万円程度と非常に安いのが特徴です。模造刀の特徴として挙げられることは、「名刀の姿を忠実に模している」「所持免許が要らない」の2点になります。
日本刀には村雨・月山など博物館に収蔵されている名刀が数多くあり、真剣なら何千万という価値を持つものばかりです。これらを入手するのは非常に困難ですが、その姿形を忠実に再現しているのが模造刀です。鞘・刀身・柄などの飾りも本物と同じ細工を施して、刀身も同一に設計されているので、限りなく本物に近いものを自宅などで飾れるというわけです。
真剣の場合は銃砲刀剣類登録証というものが必要で、必ず各自治体の警察に赴いて許可を貰わなくてはいけません。模造刀の場合はその限りではなく、登録証の交付を受けずとも所持できるものです。
真剣と模造刀の買取り価格の違い
日本刀は真剣、模造刀であっても、現代では美術品という形で買取りを行ってもらえます。このときの買取り価格は日本刀によって異なりますが、真剣であれば約5万円から数百万円と非常に幅があるのが特徴です。模造刀の場合だと数千円から数万円単位と安くなるため、美術品という価値も真剣の方が高いといえます。
両者で大きく価値が変わる理由は、絵画に例えると簡単に理解できることでしょう。著名な画家が描いた絵と複製品を買取りに出した場合、複製品の価格が安く提示されるのと同じです。刀も名工と呼ばれる鍛冶師が鍛錬したものであれば相応の価格が付き、大量生産をなされている模造刀であれば必然的に安くなります。
模造刀の中には、名刀の鞘・柄に施されている美しい細工も忠実に再現している高品質なものもあります。この場合はこの細工部分を鑑定士が着目して、平均買取り価格よりも高い値を付けてもらえることもあるので、買取り依頼をする場合は複数の取扱店で査定をしてもらうのが望ましいでしょう。
真剣であれば銃砲刀剣類登録証と鑑定証を持参し、模造刀なら模している刀の写真を持参して査定を受ければ、より的確に鑑定をしてもらえます。なお、真剣は一般的なリサイクルショップでは取り扱っておらず、必ず真剣を買取りしている古美術店を探してから持ち込むようにしなくてはいけません。
以上、日本刀が美術品として人気がある理由と、買取り価格に違いを見てきました。昨今は若い世代の間でも日本刀が人気を集めており、全体的に買取り価格が高くなっています。買取りに出す場合は複数のお店で査定を依頼して、相場を確認するとよいでしょう。