大切な刀を売るのであれば、できるだけ高く売りたいですよね。そんなときに大切なのが「刀剣鑑定書」という書類です。今回は刀剣鑑定書の審査基準と、登録書と刀剣鑑定書の違いなどを解説します。刀を高く売りたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。刀剣鑑定書があるだけで所持している刀の価値が変わるかもしれません。
刀剣鑑定書は取得する必要があるのか
「刀を高く売りたい」と考えている方であれば、刀剣鑑定書は必須です。なぜなら、刀剣鑑定書の有無によって、値段が大きく異なる場合があるからです。まず、大きく値段が変わるものとして「最上作」があります。最上品とは、刀の中でも最上級に良い品を指す言葉で、腕利きの職人でも打てるかどうか分からない刀です。
次に値段が変わるものとして、南北朝よりも前に打たれた古名刀という刀もあります。このような刀は、無審査のまま売ってもある程度の名はつきますが、店舗の目利きによっては違う刀と見分けられてしまい、値段が落ちるケースがあるのです。また、刀剣鑑定書で作者、製作年、制作過程などが分かっていれば、それに応じた値段を付ければ良いため、名刀は名刀として買い取ってもらえる可能性が高くなります。
必須ではないが高く売れる可能性がアップする!
前の見出しでも紹介したとおり、刀剣鑑定書を提示することで高く売れる可能性がアップします。ここからは、刀剣鑑定書の審査基準について紹介します。
■刀剣の作者の鑑定
刀剣の作者は、刀剣の値段が大きく左右される重要なポイントです。有名な職人が作っていたことが分かれば、それだけで価値がアップします。
■銘の有無
刀剣の鑑定では、銘の有無も審査します。在銘であれば、その名前が本物であるか、作者の作風と一致しているか、国や流派が正しいかなどを判定します。対して、無銘の刀であれば、まず作られた時代を古刀期か新刀期かで分け、そのあと刀身の刀紋を確認します。無銘の刀剣では、この刀紋によって国や流派を予測し、値段をつけるため、重要な審査になります。
■茎(なかご)の審査
茎とは柄の中に入っている部分のことです。茎では流派や作者、作成した国などが判別できます。また、錆びも人工的に付けたものなのか、経年劣化によるものかによって状態が変わってくるため、しっかり審査されます。
■刀装
刀装とは、刀剣を携帯するための道具で鞘や柄のほかにも頭、目貫き、小柄、縁、笄、下緒などをまとめて呼びます。刀装の審査では、作られた状態がどの程度保たれているかを確認し、保存刀装、特別保存刀装、重要刀装、特別重要保存刀装などの種類に分類します。
登録書とは別物なので要注意!
登録書と刀剣鑑定書を同じものとして考える方がいますが、全くの別物です。登録書は刀を所有するのであれば、すべての方が持っていますが、刀剣鑑定書はお金を払って鑑定してもらう必要があります。ここからは、刀剣鑑定書と登録書の違いについて解説します。
■刀剣鑑定書と登録書の違い
刀剣鑑定書は先程から紹介している、刀や剣の「品質」を保書するものです。一方、登録書は教育委員会が発行している書類で、銃や刀・剣などを所持する際に必要になります。登録書と刀剣鑑定書を一緒だと勘違いしないよう、注意が必要です。
また、刀剣鑑定書と違って、登録書は売却の際に必要になるので「どこにしまったのか分からない」という方は、刀や剣が置いてあった棚の中を良く探すか、近くの警察署で発見届の申請を行う必要があります。
■発見届の申請方法
発見届けを申請したい場合には、まず警察署の生活安全課に届け出を出しましょう。すると「刀を所持する」もしくは「刀を破棄する」の2択を迫られるので、所持したいと伝えます。所持したい旨が伝わればその日中に、発見届の書類を作成します。
その後、教育委員会文化財課から封筒で連絡が入るため、その指示に従って教育委員会に行き、登録書の交付を行います。なお、銃砲刀剣類登録書の交付には手数料6,300円(税込)と刀、発見届出済書、印鑑が必要ですので、あらかじめ準備してから、教育委員会に行くのが良いでしょう。
■日本美術刀剣保存協会の鑑定書がおすすめ
鑑定書にも種類やランクがあるため、どの鑑定書でも高く売れる訳ではありません。鑑定書のなかでも「公益財団法人日本美術保存協会」から発行される鑑定書は、信頼性が高いとされています。日本美術保存協会は昭和23年2月24日に文部大臣の許可によって設立され、刀剣類の保存や公開、日本刀の製作・研磨技術の向上、刀装・刀装具の保存等を行っています。審査料は審査結果と審査基準によって異なるため、詳しい金額等は公式HPを参照してください。
今回は、刀剣鑑定書の審査基準と登録書、刀剣鑑定書の違いを解説しました。刀を高く売りたい場合は、刀剣鑑定書の発行が必須です。身元が良く分からない刀よりも、大きな機関に認められた刀のほうが、信頼性が高くなります。鑑定を行っている機関は日本美術刀剣保存協会以外にも多くあるため、自分で鑑定を頼みたい機関を探すのも良いでしょう。