日本刀は日本が世界に誇る文化遺産で、切れ味が鋭いだけではなく、そのビジュアルは美しく見る者を魅了させる力のあるものです。
そんな日本の文化遺産は、今では美術品として圧倒的な価値を生み出しています。
登録書がついているものは美術品である、と法律で認定されており、特別に定められた場所以外は誰でも所持することができ、また購入することができます。
現代での売買も、制作した刀師が一つずつ、各都道府県にある教育委員会へと届けを出すことで登録書を発行しています。
所持するだけでは特別なライセンスは不要なので、美術品として、手に入れることができます。
日本国内で購入することも、所持することもできますが、海外へ持ち出すことはできるのでしょうか。
果たして海外へ持ち出しても良いのか
ずばり、国外へ持ち出すことは可能です。
しかし、輸出監査証明を用意しなければ、持ち出しは許されません。
輸出監査証明とは、簡単に言えば、輸出を禁止されていない美術品であることの証明ができるものです。
なんのためにそのようなことをするのか、について言及しますと、日本国外に重要文化座など、日本で貴重とされているものを持ち出してしまう、ということを防止するためです。
税関で輸出をする際に、その品物が持ち出し禁止でない美術品であるかどうかを確認するために必要な書類です。
しかし、現品や登録書からそれが美術品であるのかを確認することは難しく、古美術の専門家が見なければ分からない方法が多いです。
よって、文化財の管轄官庁である文化庁にその品物を審査してもらって、それがなんの問題もなく、輸出が禁止されていない美術品である証明、「輸出監査証明」を受け取ることで、海外への持ち出しが許可されます。
どうやって輸出監査証明をもらうのか
輸出監査証明の申請は、東京の霞が関にある文化庁文化財部美術学芸課で行えます。
どうやって申請をするのかというと、窓口に直接品物を持参していくか、郵便で申請を行うかの二択となるので、地方に住んでいたとしても申請することができます。
ここで注意するべき点は、申請書に書く申請者や登録書、所有者の書き間違えです。
ここで間違えて申請者や登録書の所有者を書いてしまうと、税関への輸出申告時に問題になってしまいますので、きちんと確認しながら書いていきましょう。
そして申請が終わって輸出監査証明を受け取りには、その地域や時期にもよりますが、不備のないものを申請できればだいたいが2週間前後で届くことが多いです。
万一地方に住んでいて、郵送申請をしたという方は返送にかかる日数もあるので注意しましょう。
必ず輸出通関の日程を確認して、それに間に合うように調整して取得ができるようにする必要があります。
また、都合によって自分で申請するのは難しい、という方には代理申請が認められているので、一度通関業者に相談してみると良いかもしれません。
登録書を紛失してしまった場合について
国内で所持されている日本刀は銃刀法14条の規定によって登録されており、その中には「銃砲刀剣類登録証」が刀剣類と共に保管されていなければならない、というものがあります。
国外への持ち出しを考えている際には必ず、銃砲刀剣類登録証があるのかを確認しなければなりません。
その登録書はやむを得ず紛失してしまった場合には、再交付の手続きをしなければ、輸出監査証明書を手に入れることができず、したがって国外への持ち込みは不可、となってしまいます。
再交付をするのは文化財へ問い合わせをして、現物確認審査を行うので、文化財へ連絡が入ったら審査会の案内通りの指示に従いましょう。
そして現物を確認したあと、照合し登録されている、と確認できたものには登録書が再交付されます。
ちなみに事務の処理などの都合上、その日のうちに登録書を受けとることはできないので注意しましょう。
なお、再交付をするのに必要な料金は手数料として一件あたり3500円がかかることも知っておく必要があります。
国外へと持ち出す際には、その現品と登録証が一緒に保管されていることが前提です。
その登録書を紛失してしまった場合も、文化財へ問い合わせをして、まずは相談してみることが大切です。
そしてその次に輸出監査証明というものを所持していないと、国外へ持ち出すことはできません。
直接、文化庁文化財部美術学芸課へ現品をもって行くことも、郵送でも、代理人に代わってもらうのも許可されていますので、比較的、申請をするのが難しい、というのはあまりないように感じられます。
しかし、この申請書に、登録者や所持者の書き間違えが生じてしまうと、その後の税関での輸出審査時に問題がでてきてしまうので、くれぐれも注意しましょう。