日本刀は世界に誇れる日本文化ですが、日本国内では少子高齢化が進んでいることで、刀剣業界の需要低迷が加速しています。一方で漫画やゲームによって若者の間で刀剣ブームも起きるなど、まだまだ需要を拡大できるといえます。今回は刀剣業界の今後の展望について解説するので、日本刀に詳しくない人も読んでみてください。
業界を脅かす少子高齢化
日本では高齢者の人口に占める割合が年々高まっている一方で、出生率が低下していることから若年者の人口が減るという少子高齢化が進んでいます。すでに3人に1人に近い割合となっている高齢者層は今後も増加する見込みですが、消費や生産を支える若者の割合は減っていく見込みです。
少子高齢化はあらゆる業界で経済的なダメージを生みますが、刀剣業界も影響を大きく受けてしまいます。従来若者に人気があった車などは、若者が車に乗らなくなったことで近年車離れといわれておりますが、刀剣業界でも刀離れが深刻に進んでいるのです。
かつてあった昭和の刀剣ブームと比べると、市場規模は半分以下まで低下しています。刀剣は美術品の要素が高いため、現代の若者たちには関心を持たれにくいことが考えられます。日本全体の経済も明るくないため、若い人でも財布の紐が固くなってしまい、刀剣のような美術品にお金を出すことも難しいのかもしれません。
漫画やゲームで注目度が上がっている
少子高齢化により証券業界が厳しい状況に追い込まれている中、漫画やゲームによって刀剣に対しての注目度が上がっています。ブームのきっかけとなったあるゲームは名高い名刀や名槍の武器を男性キャラクターに擬人化して育成していくゲームで、多くの歴史ファンや日本刀愛好家から高い評価を得ました。
ただしブームの大きな要因となったのは、擬人化されたキャラクターが魅力的で若い女性に大人気となったことです。ブームの矛先はゲームだけでなく、本物の日本刀にも向けられたため日本刀の部屋や展示会に若い女性が殺到するという、従来では考えられない事態に発展しました。
若い女性たちはSNSなどを中心に情報発信力に優れているため、刀剣業界の企業や団体もコラボレーション企画するなど視線を注いでいます。思ってもみない形による刀剣ブームでしたが、こういったチャンスを逃さないために刀剣業界として、長期的なビジョンを考えていく必要があります。少子高齢化という脅威に打ち勝つためにも、若い人たちに刀剣の魅力を伝えていく活動を業界全体で協力して行っていかなければなりません。
美術品として海外でも人気
日本刀は美術品として海外でも人気を集めています。そもそも日本刀を所持することは銃刀法違反に該当する可能性があるため、手軽に所有できるものではありません。銃砲刀剣類登録証を貰って、美術品として認められない限りは日本刀を所持できないのです。
日本刀を美術品として所持するのは大変ですが、それだけ美術品としての魅力が詰まっているのです。日本製のモノは精巧な作りが特徴で海外の人々から人気を集めていますが、日本刀もそのうちのひとつです。日本刀は映画やドラマなどで武士が帯刀していることもあり、海外の人々によく知られています。
海外の刀は直線的な形状をしていますが、日本刀は美しく反った形状となっていることから、外国の人々を虜にしています。もしかしたら日本刀の魅力をよく知っているのは外国の人々の方かもしれません。
日本刀に今後需要はあるか
日本刀は海外でも人気がありますが、今後も需要は続いていくのでしょうか。日本刀は当然武器としての需要はないため、美術品としての需要のみとなります。日本刀はどこの家庭でも置いてあるような美術品ではないため、多くの人々にとっては馴染みがないことでしょう。
しかしながら、映画やドラマでは武士が日本刀を使っているため、見たことがない人は少ないといえます。また漫画やゲームによる刀剣ブームによって、若者から注目される可能性があることが分かりました。刀剣業界にとって少子高齢化によってコレクターや愛好家が減っていく中で、若い人に刀剣の魅力をアピールしていくことが今後の需要拡大につながります。しかしながら、日本刀は安いものでも10万円台で100万円を超えるものもあり、決して安価なものではないため、若い人にとってはどうしても手が届きづらいです。
ただし、一度若い人に魅力を持ってもらえれば、将来的に愛好家やコレクターになるかもしれません。そのためには玄人向けの展示会やイベントだけではなく、初心者にも日本刀の魅力を分かってもらえるような機会を増やしていく必要があるでしょう。短期的な取り組みでは刀剣の需要を高めていくのは難しいので、刀剣業界全体で協力して取り組んでいくことが求められます。
刀剣業界にとって少子高齢化は需要低迷の大きな要因となっています。しかしながら、ゲームや漫画によって若者の間で刀剣ブームが起こるなど、需要を拡大していく可能性は残されているでしょう。美しい形状である日本刀の魅力を海外の人々に伝えていくことはもちろんですが、日本国内においても需要を高めていく努力が必要となります。