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公開日:2020/01/15  

相続した刀剣類の税務申告額も査定してもらえる?

現存する日本刀は美術品の扱いになります。近年、刀剣類を相続するにあたり、価値がまったくわからないので税務申告額がわからないという声も多数挙がるようになりました。

いま現在売却するつもりがなかったとしても、相続した刀剣類の価値を正しく知るためには、一度鑑定に出したほうが良いでしょう。

相続した美術品は速やかに対処しよう

財産となるものには、積極財産と消極財産の2種類があります。積極財産のほうが純粋にプラスになるもので、日本刀などの刀剣類も美術品としてこちらに分類されます。

いわゆる財産というと現金はもとより不動産や有価証券などがイメージされますが、書画や絵画などの美術品の中には非常に価値の高いものが含まれる場合もあります。これに対して消極財産はマイナスになるもので、負債や滞納中の税金などが該当します。

マイナス遺産が多すぎて、とても負いきれない場合には相続開始から3ヶ月以内に権利を放棄することもできます。問題は相続税の申告と納付の期限で、法律で10ヶ月以内におこなうと定められているため、あまり時間がありません。期限を過ぎると重いペナルティが課せられるので、もし刀剣類などが非常に多い場合はスピーディに行動を起こさないととても間に合わないでしょう。

また速やかに処理をしないと、業を煮やして業を煮やした親族が勝手に持ち出し、売却するなどトラブルが発生する事例も起こっています。可能であれば所有者本人が生前に弁護士などに相談し、早めに対策を講じておいたほうが賢明です。いずれにしても正しく価値を評価できる専門家に鑑定を依頼することが急務と言えます。

申告しなければ罰則が科せられる

遺産の美術品や骨とう品を放置していると、意図的に隠したとして税務署から重加算税が課せられる場合があるので注意が必要です。もちろんそんな意思はなかったとしても、脱税や無申告が悪質だと判断された場合、10年以下の懲役刑または1000万円以下の罰金刑という重い罪が科せられることになります。

そのため美需品や骨とう品は正しくその価値を知る必要がありますが、基本的に価値は時価で算出されることになります。時価は売買実例価額や精通者意見価格で判断されますが、刀剣類であれば買取店の鑑定士の意見をもとに算出した価格は、税務局でも正しい価値として判断されますので安心です。

また、10万円から数10万円程度の価値であれば、家具や家電と同じ家財として税が計算されますのでさほど心配はありません。そもそも何百万円もするような高価な品が出てくることは稀なので、多くの場合は買取店に相談して価値を算出すれば問題なく処理できるでしょう。

ただ、場合によっては非常に著名な刀工の銘が入っているものや、歴史的価値の高いものなどが出て来る場合もあります。また、非常に多くの銘ある刀剣類を収集しているコレクターの場合などは、税務署も情報を把握していますのですべてを家財として申告するのは難しい可能性もあるでしょう。特に所有品を美術展に貸し出すような実績があると、個別の申告を求められると考えたほうが賢明です。

主な評価方法について紹介

結論からすれば、基本的には精通者の意見をもとに相当する評価額を出し、それを基準に税務申告額を決めれば問題はありません。

精通者というのは美術品の専門家の総称で、日本刀なら刀剣類の売買をおこなう専門店の鑑定士なら問題なく該当します。相続税の評価をおこなう精通者には、特に資格認定もなければ国税庁からの指定もないため、信頼できる鑑定士に依頼すれば良いでしょう。

ただ、同じものでも評価は状態によって大きく変動するので、場合によっては税務署が個別に専門家に依頼し、税務署主導で鑑定がおこなわれるケースも稀にあります。一般的に美術品でおこなわれることの多い評価法は、市場で販売されている同じような物を参考にする方法や、購入価格を参考にする方法です。

刀剣類の場合は市場が一般的ではありませんので、多くの場合は買取業者の査定額を参考にしたり、古美術商の鑑定士が算出した鑑定価格を参考に評価されるでしょう。査定のみであれば手数料無料で鑑定してくれる買取店もありますが、原則、そうしたサービスはその大半を買い取ることを前提として無料としています。

数が少ないようであればそうしたサービスを利用しても良いでしょうが、数がある場合で売却が目的ではないなら、買取査定ではなく相続税評価が目的であることをきちんと伝えて依頼するのが鉄則です。

 

日本刀は美術品であり、相続する場合には正しく税申告をしなければなりません。日本刀の相続税を算出するには、刀剣類の専門買取店に依頼して鑑定してもらうのが一番でしょう。買取店の鑑定士は、美術品の時価を算出するのに適した精通者として国税庁にも認められますので安心です。

ただ、一般的に無料でおこなわれている買取査定は、品物の買取を前提としたサービスです。あくまでも売却ではなく相続税評価が目的の場合には、先方にきちんとその旨を伝えて依頼するようにしてください。

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