時代劇を見ていると、室内でポンポンと刀になにかの粉を付けている様子の場面が出てくることがあります。
あれは、ただ白くて丸い物を刀に対して当てているのではなく、細かな粉を付ける作業を行っています。
この時に利用するのが打ち粉と呼ばれるお手入れ専用の粉となっています。
メンテナンスをするためには必要なこと
日本刀は、そのままの状態にしておくと少しずつですがその状態が悪くなって行ってしまいます。
もちろん錆びを防ぐために植物性の油である丁子油を塗っているのですが、油は徐々に酸化してしまいます。
酸化した油は金属を保護するのではなく、金属に悪影響を及ぼしてしまいます。
それを防ぐためには、定期的に塗り替える必要が出てくるのです。
塗り替えることで再び新しい油でコーディングすることができるからです。
ただ、今刀身に付着している油の上から新しい物を塗ったとしても、ドンドンべたつきが増えて行ってしまうだけなのであまり良いとは言えません。
ベタベタした表面にはホコリが付着しやすくなるので、綺麗な状態も保ちにくくなってしまいます。
そこでまずは古い油を取り除く必要が出てくるのです。
そうして表面にある古い油を取り除くことでまずは一度まっさらに近い状態にし、その後もう一度表面に新しい油でコーティングすることで、再度刀身を錆びから防ぐことができるようになります。
ぽんぽんの正体は古い油を取り除くこと
白くて丸い物に棒が付いたものを日本刀にぽんぽんとする様子は、時代劇の中などで見たことがあると言う人は少なくないでしょう。
実は、あのぽんぽんとする作業こそが、古い油を取り除く作業なのです。
白い物の中には粉が入っており、それを打ち粉と呼びます。
この正体は砥石の粉で、その粉を刀身に優しく付けた後に紙でふき取ることで、砥石の粉が刀身に付着している油を吸い取り、結果的に以前塗った丁子油を全て取り除いてくれます。
一見ただ丸い物を当てているだけとか、耳かきの梵天の大きなサイズの物を刀身に当てているだけだと思われてしまうこともありますが、実は刀のメンテナンスのために砥石の粉を万遍なく付けている状態なのです。
ただ、初めて行う時はどうしても固いので、中から粉が出にくいと言うことも珍しくありません。
その際は最初に手の甲に軽く打ちつけて、少し粉が出やすい状態になってから刀身の方をたたくことをおすすめします。
正しい打ち粉の使い方を知って正しい手入れを!
日本刀は錆びないように刀身に油を塗って、その膜を作って保護しています。
その油を塗り直す時に必要なのが打ち粉で、砥石の粉が入っています。
表面に塗った油はふき取るだけでは取り除けないので、粉で油を吸ってふき取る形が取られています。
とはいえ、打ち粉自体は決して磨き粉というわけではなく、あくまでも表面にある油を取り除くための粉です。
しかも砥石の粉なので、使い方を誤ってしまうと日本刀に余計な傷をつけてしまうこともあるので注意しましょう。
また、刀身の精彩度が落ち、ぼやけた肌になることもあるので気を付けましょう。
ポイントは必要以上に使わないようにすることです。
だから、油を塗りかえる時と、あとはその刀を鑑賞する時位にしか利用しないようにします。
また粉を打った後は、奉書紙を利用して粉を取り除きますが、下から上に拭うようにします。
上下にごしごししてしまうと、怪我の元なので注意しましょう。
大体手入れの頻度は1ヶ月から2ヶ月に1回程度、塗った油が蒸発してきたかなと感じる頃に行えば問題ありません。
冬場は空気が乾燥して刀身が抜きづらくなるため取り扱いに気を付けてください。
日本刀はそのままの状態にしておくとどうしても錆びやすくなってしまうので、その状態を保持する目的で表面に丁子油を塗っておきます。
しかし油自体は酸化してしまうので、そのまま塗った状態にすることはできません。
そこで油を拭い取って綺麗な状態にするために利用するのが打ち粉です。
実際には砥石を細かくした粉で、これを利用すると奉書紙では拭い取りきれなかった残った油を綺麗に刀身から取り除くことができます。
ただ砥石でできている粉なので、ある程度の固さがあり、こすり付けてしまうと刀身に傷を作ってしまう可能性も否定できません。
だから下から上へと一方向に奉書紙を動かして粉と油が混じった物を取り除くようにします。
また頻繁に行う必要はなく、大体丁子油が蒸発してきた感じがする頃に手入れは行います。
目安としては1ヶ月から2ヶ月に1回程度です。
ただ油が蒸発してしまったからと言って、直ぐに刀身に錆びが出てきてしまうということはありません。
だからあくまでも1、2ヶ月は目安で、神経質になって手入れをしなくても大丈夫です。
お手入れした日をカレンダーなどにメモし、次のメンテナンスの予定なども書きこんでおくとよいでしょう。