Skip to content
公開日:2021/04/15  

日本刀の手入れには何が必要?正しい方法を身に着けて価値を維持!

日本刀はデリケートな性質があり、手入れを怠ると錆が発生するなど、美術品としての価値が下がる恐れがあります。また、間違った手入れは、傷をつけたり変色させたりすることもあるようです。そのため、日本刀の手入れについて正しい知識を身に着ける必要があります。この記事では日本刀の手入れに必要な知識を解説するため、参考にしてください。

日本刀の手入れには何が必要?

日本刀の手入れには専用の道具が必要で、刀剣店でも購入可能です。ここでは日本刀の手入れをするために揃えておきたい道具や、錆びてしまったときにあると便利なものを紹介します。

■目釘抜きや木槌
日本刀の手入れをする際には、柄に刀身を固定する「目釘」という竹や銅でできた細長い部品を抜かなくてはなりません。そのときに使うのが目釘抜きや木槌です。

■拭紙
日本刀の手入れには、油を塗ったり拭いたりする作業が不可欠とされています。そのような場合に必要になるのが拭紙です。手入れする際にティッシュや和紙、布で代用する人もいますが、日本刀に傷をつけてしまう恐れがあります。そのため、日本刀専用の拭紙で手入れしたほうが安心です。

■打粉
古い油を除去するときには、砥石の粉を原料にして作られた打粉を使用します。

■油
刀身の錆を防ぐために油を塗ります。ミシン油で代用する人もいるようですが、丁字油や刀油といった手入れ専用の油を使用したほうがよいでしょう。

■メタルクリーナー
錆を落とすために使用するのがメタルクリーナーです。研磨剤が入っているメタルクリーナーでは日本刀を傷つける要因になるため、研磨剤が入っていないもので手入れしましょう。

日本刀の手入れの流れと方法

日本刀の手入れの流れや方法について解説します。

1.目釘を抜く
日本刀は必ず横にして下に置き、柄の目釘を抜いてください。目釘の上から目釘抜きを打って抜き、抜いた後の目釘は紛失しないようにしましょう。抜いた柄の目釘孔にさしておくと紛失を防げます。

2.鞘から刀剣を抜く
刃が上側になるようにして、下から鞘を持ち上げるように左手で握り、右手で柄を握ってゆっくりと抜きましょう。このとき、左右に動かさないようにするのがコツです。

3.柄を外す
左手で柄頭(つかがしら)を握って、刀を斜めに立ててください。右手の拳で軽く左の手首を叩くと、刀身が少し緩んできます。さらに2、3回手首を打っていけば、自然に刀身から柄が抜けてきます。注意すべきポイントとしては、力を入れて強く手首を打たないことです。強く打つと短い短刀などは刀身がとび出してしまい危険なため、注意してください。

4.古い油を拭い去る
刀身に塗られている古い油は酸化や錆の原因になるため、除去する必要があります。拭紙で刀身を包んで、ゆっくりと拭いましょう。

5.打粉で残った油を除去する
拭紙で油を拭っただけでは、完全に除去できません。刀身の表面に打ち粉をむらなくポンポンと打っていきましょう。

6.新しい油を塗る
新しい油を拭紙に染み込ませて、刀身の表面に塗ります。むらなく丁寧に塗るのがコツです。

7.元の状態に戻す
外した目釘をつけて刀身と柄を固定し、鞘に収めたら手入れ完了です。

日本刀の手入れの頻度と保管方法

美術品としての価値を保つために、手入れの頻度や保管方法を紹介しましょう。

日本刀のお手入れの頻度

日本刀の手入れは、刀身に塗った油が酸化してしまう前におこなうのがベストです。油の酸化は錆や変色の原因になる恐れがあります。そのため、3ヶ月に1回くらいのペースでおこなうとよいでしょう。ただし、頻繁に手入れしすぎるのも日本刀にとってよくありません。傷をつけてしまったり塗りすぎた油がホコリやゴミを吸着してしまったりしたために、刀身が変色するリスクもあります。適切な周期で過不足ない手入れをすることが、日本刀の価値を維持するためのポイントだといえるでしょう。

保管場所の注意

刀剣を保存する場合は立てかけておかないようにしましょう。刀の先の方に油が流れて溜まってしまうためです。そのため、横にして保管するようにしてください。

さらに、刀身は鉄でできているため、水に濡れると錆びてしまいます。そのため、雨水があたる場所なども厳禁です。また、目に見えて水にあたっていなくても、空気中の水分によって錆が生じることもあります。そのため、日本刀は湿気の少ない場所に保管することが大切です。桐の着物箪笥にしまうのもおすすめですが、樟脳やナフタリンを使うと錆の原因になるので避けてください。桐箪笥がない場合は除湿剤と一緒に保管するようにしましょう。

また、投信が鞘の部分に接触して起こる「鞘当り」によって錆が発生する場合があります。定期的に油を塗り、湿度に気をつけて保管していても、鞘の内部に錆や汚れがあるとそこから錆が発生することもあるようです。保管場所にも気をつかっているのにすぐ錆びるという場合は、鞘師に相談するのもよいでしょう。

また、古い拵に入れておくと錆が出やすくなります。白鞘で保管したほうが錆も出にくくなり、鞘内に錆が出た場合も対処しやすいのでおすすめです。ちなみに、拵は刀身とは異なり、湿度が低すぎないところで保管するのが理想的とされています。

 

日本刀は正しく手入れすることで錆を防いで美しい状態を保つことができます。それには道具を揃えて定期的な手入れを行い、保管方法にも配慮することが大切です。

よく読まれている記事