Skip to content
公開日:2021/08/01  

日本刀の保管方法とは?価値を維持するためには日ごろの手入れも大事!


武器としてだけでなく、日本刀は美術品として鑑賞を楽しむこともできるものです。価値のある日本刀を、正しい方法で大切に保管したいという人もいるのではないでしょうか。今回は、日本刀を正しく安全に保管する方法、価値を維持するための適切なメンテナンス方法について解説します。日本刀を大切に扱いたいという人は、参考にしてください。

日本刀の保管方法

日本刀は美術品としての要素もありますが、前提として斬るために作られた武器であることを意識しておく必要があります。扱い方を間違えると、自分や周りの人を傷つけてしまう危険性があるので、取り扱う際には慎重に行ってください。ここでは、日本刀を保管する上で注意すべきポイントを紹介しましょう。

適切な環境で保管する

日本刀を保管する時は、まずは刀を傷めない環境を選ぶことが大切です。刀身はデリケートで湿度の調整が難しいことから、とくに湿気の多い場所に保管しておくと、錆(さび)が発生する恐れがあるので注意してください。鑑賞する自宅に飾って保存したいときは、刀剣を飾れる専用の「刀身ディスプレイケース」を活用することで、適切な環境で刀剣を管理できます。

日本刀を飾らないで保管したいという場合には、白鞘(しらさや)と呼ばれる鞘に、刀剣を収納して保管してください。白鞘の木材は湿度に敏感で刀身の湿気を吸収する作用があるため、錆の発生を防ぐことができます。さらに白鞘を刀袋に入れ、刀箱に収納することで日光や湿度から日本刀を守れるのです。もし自宅に刀箱がない場合には、タンスで代用してもよいでしょう。

正しい置き方で保管する

日本刀を飾って保管する際は、置き方にも注意しましょう。刀身は非常にデリケートなので、自宅で日本刀を飾る場合は、刀身や刀身が入った拵(こしらえ)ではなく、拵だけを刀掛けに飾るのが一般的とされています。日本刀の置き方については刀を横に寝かせ、柄が左、鉢・切先を右に、正面から見て緩やかな山形になるようにして飾るとよいでしょう。

このような置き方を「差表(さしおもて)」と呼びます。差表に置くことで刀身の刃が上向きとなり、刀身に打ってある銘が表に現れるのです。日本刀を飾る際に一番注意すべきことは、柄の向きでしょう。これを反対にしてしまうと、相手に敵意を表すことになり無作法となります。

日本刀のメンテナンスに必要な道具

日本刀は刀身が鉄の塊であるため、錆を発生させないために定期的にメンテナンスする必要があります。ここでは、日本刀のメンテナンスに必要となる道具について紹介します。

目釘抜き(めくぎぬき)

真鍮や竹で作られた日本刀の目釘を抜くために必要な道具です。

丁子油(ちょうじあぶら)

刀身の錆止めに使用する塗り油です。植物性と鉱物性の2種類があります。

打粉(うちこ)

中に包まれている砥石の粉を刀身に打ち付けることで、塗ってある丁子油を取り除くことができます。

拭紙(ぬぐいがみ)

刀身を拭う際に使用する、上質な和紙のことです。化学薬品が含まれていないので、鉄を酸化させることなく、油や打粉を拭うことができます。近年では、ネル布なども代用品として使われているようです。よく揉みほぐしてから使用するとよいでしょう。

ネル布

刀身に丁子油を塗る際に使用する、やわらかくて軽い絹織物の布生地です。

ベンジン

刀身に丁子油を塗ったまま固まってしまった際に使用する化学物質のことです。ネル紙や上質なティッシュペーパーに付けて油を拭き取ります。

日本刀のメンテナンス方法

日本刀のメンテナンスに使用する道具について説明したため、続いてメンテナンス方法について紹介します。手順については以下の通りです。

目釘を抜く

まずは、目釘抜きを使用して柄と刀身を固定している目釘を抜きましょう。この際に、目釘をなくさないように大切に保管しておいてください。

柄・鎺を外す

右手で柄を握り、左手で鞘を掴んだらゆっくりと引き抜きましょう。左手で柄の先を持ち刀身を斜めに立ててから、右手で左手首を軽く打ちつけ茎(なかご)を緩めることで、柄から刀身を抜くことができます。そして、右手で鎺(はばき)部分を持ち、ゆっくりと柄から引き出しましょう。

拭紙で下拭いをする

左手で茎部分を持ち、拭紙を使って刀身の切先から棟にかけて、油や汚れを拭き取りましょう。

打粉を付ける

刀身全体にポンポンと軽く叩いて打粉をかけていきます。この時、両面に行うことを忘れないでください。

上拭いを行う

下拭いとは違う拭紙を使用して上拭いを行っていきます。油のくもりが付いているようであれば、上拭いと打粉を繰り返してきれいにしましょう。

丁子油を塗る

油取紙またはネル布を使用して、丁子油をムラなく丁寧に塗っていきます。この時、茎部分に軽く塗っておくとよいでしょう。

刀身に鞘を収める

丁子油を塗り終わったら刀身を立てた状態で茎に柄を入れ、収まったら目釘を打ちます。右手で柄を持ち左手で鞘を握り、刀身を鞘に収めたら完了です。

 

この記事では、日本刀の正しい保管方法、メンテナンス方法について解説しました。日本刀を価値のある状態で保管するには、適切な環境での管理と正しい手順でメンテナンスを行うことが大切です。ぜひこちらの記事を参考に、正しい保管方法で日本刀の価値を守ってください。

よく読まれている記事