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公開日:2023/04/01  

貴族の日本刀と呼ばれる飾太刀とは?皇族や貴族たちの刀剣文化


世界が認める日本の刀といえば日本刀です。その日本刀の中でも、とくに選ばれた人たちしか持つことが許されなかったのが「飾太刀」です。そのため数が少なく、一般的な日本刀のようには見ることができません。では、飾太刀とは一体どんな刀なのでしょうか。今回は、貴族の日本刀と呼ばれる飾太刀について詳しくご紹介します。

伝統と格式ある飾太刀とは

飾太刀とはどんな刀なのでしょうか?こちらでは飾太刀について詳しくご紹介します。

飾太刀とは?

飾太刀とは、宮中の納言、参議以上の官人が、宮中儀式の時に腰に吊るす黄金造りの日本刀のことです。日本に飾太刀が登場したのは、平安時代頃からといわれています。そのため飾太刀は、古くから続く伝統と格式が受け継がれている刀です。飾太刀の読み方は「かざりだち・かざりたち」と読みます。

宮中とは?

宮中とは、日本では天皇が暮らす宮殿、または天皇が政治を行う場所のことです。現在でいうと、宮中は皇居になります。飾太刀は宮中の儀式の時に使われていました。

納言とは?

納言とは、宮中で天皇の命令を臣下に、逆に臣下の意見を天皇に伝える役職のことです。納言には、大納言・中納言・少納言の3つの役職があります。納言は官位(階級のこと)でいうと、太政大臣(現在の総理大臣に相当)から、4~5段階下の位置にいる官位です。現在でいうと納言は国務大臣クラスになります。納言の読み方は「なごん」と読みます。宮中の中で納言は飾太刀を持つことを許されていた官人です。

参議とは?

参議とは、奈良時代に設定された官職で、大中納言に次ぐ重職のことです。現在でいうと、国務大臣・副大臣・政務次官クラスに当たります。参議の読み方は「さんぎ」と読みます。宮中の中で参議は飾太刀を持つことを許されていた官人です。

皇族や貴族の美意識?飾太刀の構造

飾太刀はどんな構造なのでしょうか?こちらで詳しくご紹介します。

飾太刀の構造について

飾太刀の構造は、一般的な日本刀の構造とほぼ同じです。違いは、飾太刀の方が日本刀よりも飾り付けが豪華なことです。

飾太刀の飾り付けが豪華な理由とは?

飾太刀の飾り付けが豪華な理由は、皇族や貴族の美意識の高さによるものです。皇族や貴族にとって宮中で飾太刀を腰に吊るして持つことが、宮中での権勢と地位の象徴でした。そのため皇族や貴族たちは、自分たちの権勢と地位の強さと高さをほかの貴族や官人に見せつけるために、できるかぎり豪華で派手な飾り付けを飾太刀に施しました。というのが皇族や貴族が飾太刀に持つ美意識の高さの正体です。次に飾太刀の構造について詳しくご紹介します。

柄とは?

柄とは、飾太刀の握る部分のことです。飾太刀の柄には、鮫皮という素材が巻かれています。また柄の木口は鵐目(しとどめ)で止められています。ちなみに鮫皮とは、サメの皮ではありません。実際はエイの皮が使われています。柄の読み方は「つか」と読みます。

刀身とは?

刀身とは、飾太刀の刀の本体のことです。いわゆる切ることができる部分のことです。ただし飾太刀は儀礼用の刀であったことから、刀身は、鉄の板・竹・木などが使われていました。そのため一般的な日本刀のように切ることはできません。刀身の読み方は「とうしん」と呼びます。

鍔とは?

鍔とは、柄を握る手を防護する小型の盾のことです。鍔は、飾太刀の柄と刀身との間に挟んで使います。鍔の読み方は「つば」と読みます。

鞘とは?

鞘とは、飾太刀の刀身を保護するためのカバーのことです。飾太刀の鞘は、金具や飾り付けが施されており、デザイン性が高く仕上がっています。鞘の呼び方は「さや」と呼びます。

歴史と格式をもつ飾太刀の現在

現在、飾太刀はどのように扱われているのでしょうか?こちらで詳しくご紹介します。

現在でも皇位継承順位第1位の皇太子に受け継がれている

飾太刀は、現在でも皇位継承順位第1位の皇太子に受け継がれています。飾太刀が話題になった直近の儀式は、2019年に行われた「行平御剣(ゆきひらぎょけん)伝進の儀」の時です。行平御剣伝進の儀とは、新しく天皇に即位される皇族から、皇位継承順位1位の皇太子、または皇嗣(こうし)になられる皇族に受け継がれる儀式のことです。

2019年の時は、令和の今上天皇陛下から、皇嗣になられる秋篠宮文仁皇嗣に渡されました。今回、飾太刀が皇太子でなく、皇嗣に受け継がれた理由は、秋篠宮文仁殿下が令和の今上天皇陛下の直系の男子(実の息子)ではなく、弟だったからです。

歴代皇太子に受け継がれてきた飾太刀とは?

歴代皇太子に受け継がれてきた飾太刀とは、御剣「豊後国行平御太刀(ぶんごのくにゆきひらおんたち)」です。御剣「豊後国行平御太刀」の由来は、後鳥羽上皇時代にさかのぼるといわれています。ただし表舞台にでてきたのは、大正~昭和~平成~令和の行平御剣伝進の儀の時です。

まとめ

今回は、貴族の日本刀と呼ばれる飾太刀についてご紹介しました。今回のポイントをまとめると、飾太刀とは、宮中の納言、参議以上の官人が、宮中儀式の時に腰に吊るす黄金造りの日本刀ということです。飾太刀は戦うための一般的な日本刀ではなく、どちらかというと名誉や権威などが付く「勲章」のような使い方がされる日本刀です。そのため美術品としても価値があります。

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