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公開日:2022/04/01  

奥が深い刀の世界!日本刀・刀・刀剣の定義とは


日本刀に興味がある方、日本刀が好きな方の中には「日本刀ってどんな種類のものがあるのだろう?」「日本刀はどういった構造でできているのだろう?」といった疑問を持つ方も少なくないのではないでしょうか。本記事では、そういった方に向けて「日本刀の定義」や「日本刀の種類」「日本刀の構造とその名称」について、お伝えします。

日本刀と刀は同じものではない?

日本刀に詳しい方でなければ、「日本刀」と「刀」を同じようなものだと思っている方も多いのではないでしょうか。確かに日本刀は刀の一種ですが、「刀=日本刀」というわけではありません。実はいわゆる日本刀以外にも、刀にはいろんな種類があるのです。ここでは、「どんなものを日本刀と呼ぶのか?」「日本刀にはどんな刀があるのか?」といった、知っているようで知らない日本刀の細かい違いについて解説します。

まずは「日本刀」について、一般的には平安時代中期以降に造られた、日本独自の製法に基づいた刀を日本刀と呼ぶことが多いようです。太刀、刀、脇差、短刀などに区分され、長い柄の先に鋭利な刃がついた槍も、実は日本刀の一種として扱われています。槍は、弥生時代から日本で使われてきて、とくに戦国時代には刀よりも遠い敵を攻撃できる武器として合戦などで重宝されてきました。一見すると日本刀とは別物に思われますが、広義で考えると日本刀の一種といえます。

実は「何が日本刀で、どれが日本刀ではないのか?」というのに、かっちりとした定義はありません。文化庁では「刃が良質な玉鋼(たまはがね。純度が高い鋼のこと)で造られている」「繰り返し鍛錬で造られていて、強い衝撃を与えても曲がったり折れたりしない」刀のことを日本刀と呼ぶという考え方を示しています。

そのため、「日本刀とはこういうものだ」と定義づけるのは難しいのですが、刀を重要文化財に指定した際に「どんなものを日本刀と呼ぶか?」を議論した結果、上記の文化庁の見解が出されました。したがって、「どんなものが日本刀なのか?」という問いに答えるのであれば、「玉鋼を使って繰り返し鍛錬され造られた、強い衝撃を与えても曲がったり折れたりしない刀や槍」ということができます。

日本刀にはさまざまな種類がある

日本刀には、「太刀」「刀」「脇差」「短刀」「剣」「薙刀」「槍」と、実にさまざまな種類があります。ここでは、それぞれの分類と特徴についてお伝えしましょう。

まず、「太刀」は、76cm以上の長さがある、非常に大きい刀のことを指します。刃の向きは片側で、反りは非常に大きく、南北朝期以前に使われており、とくに馬上で使うのに有利なものである、という特徴があります。

次に「刀」は、60~70cmの長さがある、一般的な日本刀のイメージとして認識されているものです。刃は片側で反りは「太刀」よりも浅いが、目で見て明確に分かる程度のものとなっています。大きさが太刀よりも一回り小さく、陸上戦闘での使用が想定されていることが特徴です。

「脇差」は、長さ30~60cmの短い刀です。刃は同じく片側で、反りも「刀」と同程度となっています。「脇差」は刀とセットで使われ、補助的な役割を果たすものでした。江戸時代には、武士だけでなく民衆も所持できた、という歴史があります。

次に「短刀」です。長さ30cm未満の短く、ナイフのような外観をしています。刃は片側で、反りはありません。鎌倉時代から造られてきましたが、江戸時代に脇差が流通することで減少していきました。

「剣」は、長さ70~140cmで、両側に刃がついている武器のことを指します。刃が両側についていることが特徴で、反りはありません。中国や朝鮮半島から日本に伝わってきた武器ですが、武器としてだけではなく儀式でも使われました。

次に、「薙刀」は、長さ90~180cmの、棒の先端に刃物が取り付けられた武器です。刃は片側のみにあり、反りも備えています。形状が槍と似ていますが、刃に反りがついていて遠くの敵を斬りつけることができる点が特徴です。

最後に「槍」についてお伝えします。「槍」とは、長さ1.8m~8mの武器で、長い柄の先端に尖った刃や石を取り付けたものを指します。刃は「薙刀」と違い両側にあり、反りはありません。先端の槍頭で敵を刺突する武器で、日本最古の武器として知られています。

日本刀の構造と名称

日本刀は、「刃」「切っ先」「鍔(つば)」「はばき」「柄(つか)」「鞘(さや)」といった、主に6つのパーツからできています。「刃」は、日本刀のもっとも重要な部分であり、刀身とも呼ばれるものです。この部分の長さや幅、反りの大きさによって、さらに細かく種類が分類されています。

「切っ先」は、刃の先端にある尖った部分のことを指しています。「鍔(つば)」は、刃と柄の間にある部分で、円形もしくは楕円形の部品のことです。

「はばき」は、せっぱとも呼ばれます。あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、刃と柄をつなぐ金具です。刃よりも一回り経が大きく、鞘から刀が抜け落ちないようにする、鞘の中に空気が入らないよう遮断して刃錆びするのを防ぐ役割があります。「柄(つか)」は、日本刀を握る部分のことを指しています。

最後に、「鞘(さや)」は、日本刀の刃がむき出しにならないためのケースのような存在です。刃の錆や汚れを防ぐとともに、事故を防ぐ役割があるようです。この部分は、その日本刀のためのいわばオーダーメイド品であり、日本刀一振りごとに鞘が造られているので、換えがききません。

まとめ

ここまで、「奥が深い日本刀の世界」について、「日本刀と刀は同じものではない?」「日本刀にはさまざまな種類がある」「日本刀の構造と名称」といった視点から紹介しました。日本でかつて使用されており、歴史的価値の高い日本刀、その形状の美しさや歴史に魅せられている人も多いのではないでしょうか。この記事を通して、あなたがさらに日本刀について知識を深め、より深く魅力を感じる一助となれたなら幸いです。

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