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公開日:2023/06/22  

南アジアの美意識を映し出す!装飾が豪華な刀剣の魅力を解説!

インドの刀

インドをはじめとする南アジアでは、古くからさまざまな種類の刀剣が作られており、装飾が豪華で美しいことでも知られています。今回は南アジアの刀剣のなかでも、インドで使われていたものに焦点をあて、タルワール・カンダ・パタの特徴や魅力などを詳しく解説するため、刀剣に興味がある人はぜひ参考にしてください。

インドの代表的なタルワール

タルワールはインドのラージプート時代において、もっとも使用されていた刀剣のひとつです。ここでは、タルワールの概要や特徴・魅力について解説します。

タルワールとは

タルワールとは、中世のインドで使用されていた刀剣です。タルワールは7〜13世紀のラージプート時代に作られた刀剣であり、インド各地の勢力争いで広く使用されていました。

もともとは、当時のペルシアにあたるイランから伝わった刀剣が一般的であり、タルワールが広まったのは、もう少し先であるといわれています。タルワールはラージプート時代を象徴する刀剣であることから、結婚式をはじめとするさまざまな儀式において使用されていました。

タルワールの特徴と魅力

タルワールに使用される剣身は鋼の原料にもなる丈夫な資源であり、日本刀の木目金にあたる模様が施されているのが特徴です。柄の付近には刀剣を制作した職人を示すための「カルトゥーシュ」と呼ばれるマークも刻まれています。

また、インドで作られる刀剣の装飾として、「ビドリー」も有名です。ビドリーは合金・ピューター・銀を使用した装飾であり、タルワールの装飾の中でも定番とされているひとつです。

さらに、柄の部分には金箔や宝石に加え、彫刻やエナメル細工などのきらびやかな装飾が施されています。柄の装飾は、身分が高く強い権利を持つ人の刀剣であるほど豪華になるのが特徴です。

サンスクリット語で「刀剣」を意味するカンダ

カンダはタルワールと並んで、インドで広く使用されていた刀剣のひとつです。ここでは、カンダの概要や特徴・魅力について解説します。

カンダとは

カンダとはサンスクリット語で「刀剣」を表す単語であり、タルワール同様、インド中世のラージプート時代に各地で使われていたことで知られています。

カンダを作る際には、古くからインドに伝わる刀剣作りの技術が用いられており、ウーツ鋼を使用していることから、剣身が非常に軽く、しなやかさ・柔軟性にも優れているのが魅力です。

また、一般的な剣身は先端がもっとも細く、根元に向かうにつれて太くなります。しかし、カンダは根元に向かって細くなっており、身幅が広い直剣であることが特徴です。

カンダの特徴と魅力

カンダは剣身部分に補強加工を施しており、軽さ・しなやかさと耐久性・斬撃力の両立を実現可能です。そのため、基本的には武器のなかでも、歩兵隊が使用する刀剣という位置付けでしたが、騎馬兵が落馬した際の、最終武器としても重宝していました。

カンダの剣身は幅が広いことから、対象物を叩き斬るのが得意です。落馬した場合にカンダを両手に持って振り回し、敵陣の攻撃に対抗していたといわれています。カンダは革・鎧を斬ることが可能であるほどの威力を持ち、見た目だけでない質の高さも魅力です。

マラーター王国が愛用したパタ

パタはインドの歴史の中でも非常に珍しい刀剣です。ここでは、パタの概要や特徴・魅力について解説します。

パタとは

パタはマラーター王国の初代君主が、カンダとともに愛用していた刀剣として知られており、肖像画の中にも描かれています。パタはカンダと比較すると剣身のデザインが近く、アメリカ・ヨーロッパ風の直剣です。

また、パタの特徴として、刀剣の柄の部分がボクシンググローブのような形の持ち手である点が挙げられます。マラーター王国とムガル帝国との領土争いの際には、マラーター王国の多くの将軍たちがパタを使用していたといわれています。

パタの特徴と魅力

先述の通り、パタの最大の特徴となるのは、柄の部分のグローブ型の持ち手です。持ち手の部分は正式には「ガントレット」と呼ばれ、パタを使用する際は、ガントレットのなかに手を入れて刀剣を握ります。

ガントレットは拳だけでなく、手首までしっかりとカバーされ、なかにはグリップが隠れているのが特徴です。グリップをグッと握って力強くパタ振り回せば、複数の敵を、まとめてなぎ倒すことも可能であったといわれています。

さらに、ガンレットは硬い金属でできているため、ガンレット部分を盾にして防御に使用できるのも魅力のひとつです。

まとめ

今回は、インドの歴史の中でも装飾が豪華なことなどで知られる刀剣である「タルワール」「カンダ」「パタ」の特徴や魅力について詳しく解説しました。刀剣には種類ごとに異なる特徴や魅力があります。

たとえば、タルワールはインドを代表する刀剣であり、素材の質はもちろん華やかな装飾も魅力です。カンダは主に歩兵隊に使用されており、軽くしなやかでありながら、強い斬撃力を備えることで知られています。

また、パタはガントレットと呼ばれるグローブ型の持ち手が特徴であり、ガンレット部分を防御に使うことも可能です。南アジアの刀剣について知りたい人や、種類別の特徴や違いを知りたい人は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。

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