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公開日:2020/04/15  

刃紋のでき方とその見極め方を解説

日本刀は刃紋のでき方で価値が決まります。誰が作ったのかも重要ですが、刃の美しさを評価するときには特に刃紋は重要な要素でしょう。どのようなものがあるのか見極め方なども把握しておくと買取に出しやすいです。

刃紋とはどんなものなのか知っておこう

日本刀を評価するときの要素として姿全体の体配や地鉄などがあります。また刃紋も重要な部分で美しさを評価するときに使用します。

どうして刃紋ができるのかというと熱した刀剣に水を漬ける焼入れのときに急速に冷却させることで、鋼の成分が変化してできる仕組みです。表面上は白い模様のように出てくるもので鋼と白い部分のグラデーションが美しさを醸し出します。肉眼だと非常に見づらいのですが微粒子が集まってできていて白い霞のような見た目です。

ちなみに波が沸主体でできるものは沸出来と呼ばれています。また匂い主体のものは匂出来という名称で呼んでいるので覚えておきましょう。

刃紋は形がさまざまで刀剣の種類によって大きく違います。1つとして同じものがないくらい同じ模様でも微妙に波の形が違うので、同じ作家が作ったものでも価値が変化します。波の種類にも名称がついているので、覚えておくと判別をしやすいでしょう。

波は焼入れをするときに焼刃土の置き方を工夫することによって大きく変化します。ある程度職人が調整することもできるものです。そのため流派などによって波の種類が固定されている場合もあります。つまり刃の波を見ればどのような職人が作っているのか判別が可能です。

模様を見ればいつ作られたものなのかわかる

刃紋には三本杉というものがあって互の目尖りが一定間隔で異なる模様で、三本杉のように見えることから名称がつけられました。初代のものは不揃いな模様が多かったのですが、後代が作ったものは徐々に規則正しいものとなり絵画的な印象になっています。ただ匂口が締まり初代と比較すると技量が劣るといった問題があるものです。

濤乱刃は江戸時代前記のものに見られる波で特定の刀工の個性を示します。まるで打ち寄せる波のようなデザインが浮き出ているもので、多くの職人が採用しています。見た目は特に個性的で素人でもぱっと見て違いがわかるほどです。

直刃は直線的な模様の入っているもので、いくつか種類があります。例えば焼き幅が細いものは細直と呼ばれていて、もっと細いものは糸直と呼んでいるので理解しておきましょう。また焼き幅が広いものは広直で中間的なものだと中直といったものも作られています。基本的に焼き幅によって名称が大きく変わるものなので、ある程度見慣れていている素人でも見極めやすいでしょう。

ちなみにいつ作られたものなのかは焼き幅をチェックすれば把握できます。例えば広直は室町時代によく作られたものに見受けられます。中直は鎌倉時代の中期以降に作られたものに見られる模様で、糸直は鎌倉時代後期の商品に採用されています。ちなみに一部の模様は得意としている工房などがわかっているので、誰が作ったものなのかも推測できるので覚えておきましょう。

乱れ刃は丁子というものがあって、こちらは鎌倉中期に作られたものです。細かい波のような模様が短い間隔で現れている模様をしています。波が密集して連なっているようなもので個性のある外観です。こちらも素人が見てもわかりやすい模様でしょう。

ちなみに丁子は派生したものがいくつかあって、波の段差が激しい重花丁子というものも用意されています。他にも波が傾斜している逆丁子といったものも作られています。

地鉄にも注目して本体を見てみよう

刀剣には刃紋以外に模様があります。これは地鉄に作られた模様のことで本体の刃全体に見られるものです。肉眼で確認するときにはぱっと見たときは識別がしにくいです。じっくりと目を凝らして見てみると薄っすらと細かい模様が見られます。くっきりとではなくやや薄めの見た目をしている模様が全体に入っています。

これもいくつか種類があって縦方向にまっすぐ入っているものは柾目肌という名称で呼ばれています。木の年輪のような流れをしているものを板目肌と呼びます。こちらは規則的な模様が全体に入っているものです。また板目肌よりも丸くなった模様を杢目肌と呼び、中心部分は円を描くような模様をしています。上記の模様も鑑賞ポイントになるもので出来の良さにより買取価格に影響します。

 

刃紋は日本刀を指標するときに使用するものです。模様の出来具合によって価値が大きく変化するものなので見極め方を知っておきましょう。

基本的に模様はいくつかの種類が用意されています。それぞれの種類によってどこで作られたものなのか、いつの時代に作られたのかを確認できるのがメリットです。また工房により独自の統一性などもあるので、プロが見れば簡単に作家がわかります。

ちなみに刃紋以外に地鉄という模様も入っています。地鉄も指標の1として使われるものです。肉眼ではわかりにくいですが、じっくりチェックすると刃全体に入っているので見ておきましょう。

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