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公開日:2020/03/01  

日本刀の数え方とは?

かつての日本では、日本刀は主要な武器として武士に愛用されていました。時代背景や用途によって、さまざまな種類が作られ、それぞれ長さや形状が異なります。長い歴史の中で進化し、その形状や製作方法によってそれぞれ呼び名も違います。では、数え方はどうなのでしょうか。

一般的に日本刀はどう数えるのでしょうか

一般的に日本刀は「本」と数えます。「本」は、細長いものを数えるときに用いる単位で、日本刀だけでなく棒状のものは基本的に「本」と数えることになっています。

しかし、美術館や博物館に展示されているものを見ると「一振(ひとふり)」あるいは「一口(ひとくち、いっこう、ひとふり)」や「一剣(ひとつるぎ、いっけん)」、「一刀(いっとう)」、「一腰(ひとこし)」等のように書いてあることがあります。また「一ヒ(いちひ)」と言う数え方もあります。それぞれ、どう違うのでしょうか。

まず、一振の語源から解説しましょう。剣道などの試合を見たことがある、あるいは剣道部だった人などは分かるかと思いますが、日本刀は振り下ろして使うものです。素振りと言う言葉もあるように、振り下ろして使うことから、「振」という数え方が生まれました。

次に「口」です。これには読み方がいろいろありますが、どうして「口」とかいて「ふり」と読むこともあるのかというと、刀を数える際に使う口の古来の用字が「ふり」で、これは刀を振り下ろして切り口をつけたことから、と言われています。「腰」は、人間の腰に下げて使っていたことから、と言う説が一般的です。

「剣」「刀」は、そのものの名前を数詞として使用している例です。「剣」や「刀」は、たとえば「天下五剣」や「名刀」などのように、その刀単体ではなく、いくつかの有名な刀を総称して用いられたり、「二刀流」などのように、慣用句として用いることが多いようです。このほかにも「大小」「揃」などのように、セットで数える方法もあります。

種類によっては独特の数え方

日本刀には太刀や打刀、脇差や短刀など、さまざまな種類があります。太刀は、古墳時代から作られていましたが、その時代の刀は今の日本刀のように湾曲したものではなく、大きな直刀でした。こういった大きな刀は主に儀礼用として用いられ、「太刀」あるいは「大太刀」と呼ばれています。これらは振り下ろして使ったことから「一口」「一振」という数え方が生まれたと言われています。

平安時代になると、鉄の精製技術もあがり、直刀ではなく反りのある湾刀が作られるようになりました。武士階級も現れ、武士達は腰に刀をさして歩くようになります。このことから「腰」と言う数え方が生まれたと言われています。

腰に差して使う刀のほかに、懐に忍ばせたり、打刀の鞘内部の溝に装着して使ったりする短刀や小刀があります。これは女性が護身用に用いたり、懐に忍ばせて投擲用武器として用いられていました。刺刀、懐刀、小柄等がこれにあたります。数え方は「本」や「口」、あるいは「丁(ちょう)」となります。

小刀ほど小さくはなく、打刀と一緒に腰に差して使う刀に「脇差」があります。これは必ず他の打刀とセットで使うことから「本」や「口」、「振り」のほかに「揃(そろい、そろえ)」と呼ばれることもあります。「ヒ」は、肉を切るための小刀や短刀を指します。刀剣ではない刃物のことは「本」で数えます。

数え方や由来から日本刀を知ろう

鎌倉時代、室町時代、戦国時代、江戸時代と、武士の世の中になるにつれ、刀はより一般的なものになっていきました。儀礼用から実用目的になり、さらに名刀と呼ばれる刀も現れます。

こういった名刀には「天下五剣」といわれるものもあります。天下五剣とは、源頼光が酒呑童子の首をはねたと言われる伝説の「童子切」、北条政子の父、北条時政が病を患った際に夢に現れたという「鬼丸国綱」、平安時代の刀工、三条宗近によって作られた「三日月宗近」、三日月宗近と並び称されるほど美しいと言われる「大典太」、日蓮宗海藻の日蓮上人の懐刀で、破邪顕正の太刀と言われる「数珠丸」の五振です。

これらの名刀は、博物館などで保管、展示されているものもありますので、1度見学に行ってはいかがでしょうか。

 

ここでは、日本刀の数え方やその理由を紹介しました。その由来から、さまざまな数え方がある日本刀は、かつてのように武器として使用することはなくなりましたが、研ぎ澄まされた美しさは変わることなく、現代では美術品としてたくさんの人に愛されています。美術工芸品としての価値はこれからもどんどん高まっていくことでしょう。

その数え方や作られた時代背景などを知っていると、買取を依頼するときにもきっと役に立ちます。平和な時代だからこそ、美しさを味わうことができる日本刀は、これからも多くのファンを魅了し続けることでしょう。

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