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公開日:2019/06/15  

買取時に驚きの高額に!刀剣が作られた時代を見分ける方法

家の片付けをしていたら出てきた、先祖から伝わっている、実家の蔵に入っていたなど、お手持ちの刀剣があった場合、買取時の価値は刀剣が作られた時よって変わるかもしれません。

ここでは、買取時に知っておきたい刀剣が作られた時代を見分ける方法をお伝えします。

 

平安から南北朝にかけて作られた太刀

買取時に気になる刀剣が作られた時を見分けるとき、参考になるのが刀剣の種類です。日本刀は、大きさや形の違いなどによって、直刀(ちょくとう)・太刀(たち)・打刀(うちがたな)・脇差(わきざし)・短刀(たんとう)・剣(つるぎ)・薙刀(なぎなた)・槍(やり)という、現在8種類に分類されています。

その中の一つである太刀(たち)は、平安から鎌倉時代末期(南北朝)にかけて作られたものです。主に馬上で戦うための刀として作られているので長大です。その長い刀を素早く抜くため、弓形の日本の刀剣独特の反りをもち、美しい機能美を見せています。

刃を下にした状態で腰に吊るしていて、その状態を刀を佩く(はく)といいます。片手で扱うことを想定して作られているので、江戸中期以降の両手で扱うことが前提の打刀に比べて、軽量になっています。

戦いの道具としてだけではなく、祝いや儀式の場でも用いられてきました。平安時代には、世継ぎの誕生の際に「御剣(みかはし)」とよばれる刀を贈り、生まれた子どもへの加護や一族の繁栄を願うならわしが、天皇家をはじめとする貴族の間でありました。現在でも、天皇家や宮家では「賜剣(しけん)の儀」とよばれる儀式があり、子どもが生まれた際は打ち卸し(新作)の短刀が贈られています。

また、日常生活の中でも、太刀を佩いている雛人形の内裏や、魔除けの弓とともに手に持っている五月人形の姿を見ることができます。

 

室町以降の刀剣の主流となった打刀

室町時代に入ると、槍や鉄砲での戦いが増え、馬上戦から徒歩(かち)部隊中心の戦いへと変わっていきました。そのため、戦いの道具である刀の形も変化し、打刀(うちがたな)が主流となっていきました。

打刀は地上での使用を前提として作られているので、太刀に比べて反りが浅く、長さも短くなっています。江戸中期以降の打刀は両手で扱うことを想定して作られているので、重量感があります

打刀が隆盛するのは日本各地で覇権争いが激しくなった室町後期のことです。この頃には、打刀もそれまでの平造りから鎬造が主流となり、大量に作られるようになっていきました。

また、織田信長の愛刀として名高い「へし切り長谷部」のように、太刀の茎(なかご)を磨り上げて打刀に直して使うということも多く行われました。この磨り上げは、長すぎる打刀の帯刀を幕府が禁止したため、江戸時代にも盛んにおこなわれました。

つまり、現在打刃として残っているものの中には、元々打刃として作られたものと、元々は太刀だったが磨き上げられて打刃になったものの二種類があるのです。見分け方は、銘がどちらにあるか、無銘であれば反りで判断します。

打刃は刀の反りが浅く、太刀は反りが深いという違いがあります。また、銘がある場合、体に対して銘を外側にして差した状態で刃が上を向いているのが打刃、下を向いているのが太刀、という見分け方もありますが、これには例外もあり、打刃を刃を下に向けて帯びる天神差しという差し方もあったそうです。

 

それ以外の時の脇差や短刀といった刀剣の特徴

刀剣は歴史的には関ケ原の戦い(1600年頃)より以前に作られた古刀と、それ以降に作られた新刀とに区別されています。脇差(わきざし)は、約30㎝以上60㎝以下の刀剣のことをいいますが、作られた時代によってその形状はかなり違ったものとなっています。

例えば、南北朝や室町の脇差は短刀に近い形状で、約30㎝より少し長いくらいの平造りの刀ですが、江戸時代の脇差は打刃に近い形状で、約60㎝近い鎬造の刀です。また、武士は公の場に出る時、大刀とよばれる打刃と小刀とよばれる脇差を差すことが義務付けられていました。

この頃は、武器というより武士の象徴としての役割が強く、実用性より美術品としての美しさを求められるようになりました。大小を差すことを許されていたのは武士だけでしたが、脇差は武士以外の身分の者も持つことが許されていたこともあり、多くの脇差が作られています。豊かな財力を持つ豪商が刀工のスポンサーになるなどしたため、技巧を凝らした美しい日本刀など数多くの名品も生まれています

短刀は刃渡りが30㎝以下の日本刀をいいます。ナイフのような平造りで、反りもあまりありません。戦国武将たちにとって、短刀の名手と謳われた新藤五国光や粟田口吉光らが生み出す短刀は憧れでした。太刀に比べると小さく単純な形状ですが、国宝や重要文化財に指定されているものも多数あるほど、大変美しいものです。

 

買取時に知りたい刀剣が作られた時代は、使用法や時代背景を受けての流行から見分けられます。馬上での戦いが主流だった南北朝までは長く反りの深い、片手で扱いやすい軽い刀が用いられていました。

それ以降、鉄砲など地上での戦いが主流になると、刀はそれまでに比べて短く反りが浅い、重量感のあるものに変化していきました。また平和な時には美術品としての美しさを求められるなど各時代によって特徴があります。

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