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公開日:2021/02/15  

大業物って何?日本刀買取で重要な切れ味の分類


とくに必要のない日本刀を持っている場合、買取に出してみるとよいかもしれません。刀の状態によっては意外と高額で買い取ってもらえることがあるのです。しかし、買取のときには価格を決めるポイントがあるので確認しておきましょう。日本刀は単なる美術品ではなく、もともとは武器です。そのため切れ味の分類についても重要となります。

日本刀には業物という格付けがある

日本刀が好きなら業物という言葉を聞いたことがあるかもしれません。しかし、これはどのような意味があるのか知っている人は少ないでしょう。業物というのは刀の切れ味の格付けのことをいいます。

最も切れ味がよいものに分類されるのは最上大業物であり、有名な職人でも一生に1本か2本作ることができればよいといわれています。そのため最上大業物の日本刀と出会えることはほとんどないでしょう。

また、最上大業物は刀ではなく、職人のレベルを表すこともあります。1805年に職人の等級が定められたのですが、南北朝時代の職人や江戸時代の職人など14人の職人を指します。大業物は最上大業物ほどではありませんが、優れた切れ味の刀です。

名工による作も多いので入手は難しくなっており、この格付けに含まれるのは20人程度の職人です。良業物は切れ味がよく、上等な日本刀です。階級がやや高い武士が所有していたものであり、こちらも有名な職人が作っています。業物は上等な良業物よりも切れ味がやや劣る日本刀です。一般的な武士が所有していた刀の多くは業物であり、現在でも比較的入手しやすくなっています。

4つのランクの下では最も低くなっていますが、有名な職人が作った刀も含まれています。また、これらの格付けに含まれず、なまくらと呼ばれるものがあります。これは包丁よりは切れますが、刀としては質が悪いということです。

武器と美術品の側面を持つ日本刀

日本刀は美術品としての価値があるだけでなく、武器としての価値もあります。買取に出すときにはその2つの側面について確認しておきましょう。現在においては人を斬る必要はありませんし、美術品としての価値が重視されています。刀の姿や文様の美しさ、金属の肌の美しさなどが評価されるということです。

しかし、江戸時代頃までは刀の美しさではなく、しっかり人を斬れるのかということが重視されていました。その時に作られたのが業物という格付けです。業物で重視されるのは切れ味のみであり、刀の見た目などは関係ありません。

分類の対象となっているのは江戸時代に作られた刀が多いですが、室町後期や安土桃山時代の刀なども含まれることがあります。日本刀では職人の名前が重要となるため、業物のランクでも職人の名前が書かれています。日本刀は業物のランクだけでなく、作られた年代や状態などを基準とした鑑定のランクもあります。

これも買取価格に影響してくるため、しっかり確認しておきましょう。日本刀の鑑定を行う機関はいくつかありますが、日本美術刀剣保存協会の鑑定がよく知られています。鑑定では刀剣が有銘か無銘かといったことを区別し、有銘の場合はその真偽も確認します。

そして、無銘の場合は時代や作者、流派などを推定し、刀の状態もチェックするということです。その結果に応じて保存や特別保存、重要刀剣、特別重要刀剣という4つのランクに分類するということです。特別重要刀剣や重要刀剣は保存状態がよい古い刀に付けられるランクであり、かなり価値が高いといえます。

業物の格付けはどのように作られたか

日本刀買取で重要な業物の格付けを最初に作ったのは、江戸時代の遠州浜松藩士である柘植平助方理です。据物斬りの名手だった須藤五太夫睦済と罪人の首斬りをしていた山田朝右衛門と協力し、業物の格付けを作ったということです。この格付けにはなぜ大きな価値があるのかということですが、これは適当に作られたものではなく、実際に人体を斬って検証されたものであることが理由です。

山田朝右衛門は首斬りの仕事を引き受ける代わりに罪人の死体を使用し、刀の試し斬りをしていたということです。山田朝右衛門は切れ味を正確に確かめるため、死体をいくつか積み重ねて何体まで斬れるのかということを試しました。

一対だけなら一つ胴ですが、二対なら二つ胴、三体なら三つ胴となります。そして、切れ味の結果を刀に刻んでいたということです。また、試し斬りをするときには両足を揃えて立ち、体を折りながら真っ直ぐ振り下ろしていました。刀の品質をチェックするための方法であり、あくまでも刀を実用品として考えていたことがわかるでしょう。

さらに、人体の斬れやすさだけでなく、固いものの切れ味なども確認しています。折れやすい角度から衝撃を加えるといった試験も行っており、徹底した刀の性能試験を行ったということです。このように日本刀の武器としての価値をきちんと見極めるための格付けであり、買取のときに重視される理由もわかるでしょう。

 

日本刀買取にはさまざまな注意点がありますが、切れ味についても重要なことを知っておきましょう。現代では刀は美術品としての価値が重視されています。しかし、やはり武器であることも忘れてはいけません。切れ味を保つためにはきちんと保管しておくべきです。

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