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公開日:2020/05/15  

刀と剣の違いはどこで決まるのか?

骨董品の中には武具や武器がありますが、その代表的なものである「刀」と「剣」の違いは何なのか、ということがいま一つ分からない人もいるかもしれません。ここでは、それぞれの武器の特徴や歴史、そして何が違うのかということについて分かりやすく紹介します。

「剣」とはどんな特徴を持つ武器なのか

歴史的に古いのは「剣」とされているのでそちらから説明しますが、そもそもこの武具の最大特徴は、両刃になっているということです。両刃というのは、平たい面を見たときに左右両方に刃が付いているというものであり、左右どちらでも対象を切ることができます。

なぜこのような形状になっているのかというと、それは対象を切ることよりも、突き刺すことに重点が置かれているためです。何かを突き刺すとき、片刃だと刃が付いていないほうは切り裂くことができませんが、両刃であれば両方の刃で切り裂くことができるのでよりスムーズに刺すことができます。

歴史的に見ると、中国では5000年ほど前の青銅器時代にはすでに登場していたと言われています。それ以前に戦場で使われていた武器については、一番最初に現れたものは、先端を鋭く研いだだけの長い棒でした。そしてしばらくすると、棒の先端に鋭い形に研いだ石が取り付けられるようになって矛や槍のような武器に進化していきました。

しかし、矛や槍というのは扱いが案外難しく、それを使いこなすには長い訓練や熟練が必要になるというデメリットがあります。ですが時代が進むと戦争が大規模化していったので、比較的短期間の訓練で扱えるような武器が必要になってきました。そこでどうにかならないかと開発されたのが「剣」であり、金属を薄く加工することが可能になった青銅器時代に生まれました

西洋の場合は「ソード」と呼ばれていますが、こちらも対象を切ることよりも、突き刺したり叩き割ったりすることに重点が置かれた武器になっていると言えます。そして西洋のソードは、よく切れる刃の原料になる鉄が少なかったため、突き刺しや打撃を重視する武器になっていったとも言われていますし、鉄が登場する前の銅器時代の名残でその形になったとも言われています。

この武器の戦い方については、武器を振りかざして相手を傷付けたり武器を叩き落としながら、相手の間合いに入って突き刺すというのが基本です。そのため、かなりの勇気がいりますし、それなりの技術を必要とするものだったということが言えるでしょう。

「刀」とはどんな特徴を持つ武器なのか

「刀」というのは、平たい面を見たとき、刃が片方にしかついていない片刃のものであり、中世の日本で主流になった武器として知られています。

形状は反りが入ったものが多くあり、そうした形をイメージする場合が多いと言えますが、中には忍者などが使う直線的なものもあります。わざわざ反りが入っているのは、対象を切りやすくしたり、鞘から抜きやすくするためだと言えるでしょう。

この武器は、叩き切るというより引きながら切ることを想定して作られているので、それがしやすい反った形状になったのだと言えます。そのため、突き刺しや打撃よりも、切れ味の良さを重視していることが大きな特徴になっているのです。

武器としての歴史を見ると、中国では2000年ぐらい前に登場したと言われており、その当時は比較的短くて軽いという特徴がありました。なぜ短くて軽くする必要があったのかというと、それは騎兵でも扱いやすくするためだったと言われています。

当時の中国の騎兵は、馬に乗る際の鞍はありましたが、騎乗者が足を乗せる部分である鐙がありませんでした。そのため騎乗中は足で踏ん張ることができないので、重い武器を振り回そうとすると体勢がとても不安定になってしまうという問題がありました。

そこで登場したのが短くて軽い「刀」であり、騎乗中でも武器を扱いやすくすることができたのです。当時のこの武器の戦い方は、相手に突き刺してトドメを刺すというよりも、切りつけることで相手にダメージを与えて戦えないようにするというものだったと言えます。

また中国では、歩兵が盾と一緒にこの武器を使うことが基本になっており、盾で防御しながら相手を切りつけるというやり方が取られていたことも特徴的です。この方法なら、盾で身を守りながら武器を振り回すだけでも戦えるので、あまり熟練していない歩兵でも扱えるというメリットがあったと言えます。

そして中国のものは、やがて日本にも入ってきたのですが、当初は中国のものを模倣しただけだったので反りはなく真っすぐな形状をしたものだったと言われています。しかし10世紀前半(平安中期)以降になると、日本独特の反った形状のものが登場し、鎌倉時代になると重量の重いものが生まれました。

日本の場合は、盾で防御しながら武器を振り回すというスタイルが消えて、手元の鍔で攻撃を受けながら相手に切り込んでいくというスタイルになりました。そのため同じ片刃でも、中国と日本とでは、その戦い方が大きく違うため形状も異なっているということが言えるでしょう。

結局のところ両者は何が違うのか

ここまで見てきたように、「剣」と「刀」の決定的な違いは、両刃か片刃かということだと言えます。そして両刃は対象を突き刺すという目的があり、片刃は対象を切りつけることが主な目的になっているという、戦い方の違いもあります。

歴史的に言えば、中国では剣のほうが先に生まれ(5000年前)、刀が後に登場した(2000年前)という違いもあると言えるでしょう。さらに形状については、剣は直線的ですが、刀は日本のもののように反った形をしたものも多いという違いがあると言えます。

 

「剣」とは、左右両方に刃が付いている両刃のものであり、対象を突き刺す目的があることや歴史がより古いといった特徴があると言えます。一方の「刀」は、左右の片方にだけ刃が付いている片刃のものであり、対象を切りつけることを主な目的にしていることや、歴史が比較的後のものであること、そして反った形状のものが多いという特徴があります。

両者の決定的な違いは、両刃か片刃かということであり、その点を見れば基本的な区別することが可能です。

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