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公開日:2019/09/01  

小乱れの刃文が入った日本刀の買取

日本刀は近年は漫画やゲームなどで人気が高まっていて、博物館などに出かけて鑑賞する人も多くなっています。中でも刀身は見どころがあり、じっくり見たことがなくても、波のような模様があることを知っている人は少なくないでしょう。

この波模様は刃文といって多くの種類があります。 実は買取でもこの刃文は金額にかなり影響してきます。

刀工の技術で作られる他にない模様

買取にも大きな影響がある刃文ですが、日本刀は製造過程で土置きという工程があり、刀身全体へ土を盛る作業のことでこの工程の段階で土の配合や盛る順番、厚さなどを調整しイメージ通りの文様を目指していきます。

土置きが終わってから焼き入れを行い、土を盛った刀身を火床に入れて約800℃の温度で加熱してからタイミングを見計らって、最適な温度になったときに水をつけて急激に冷やします。水に入れたときに刀の強度が増すのと一緒に出てくるのが刃文です。土置きにおいて想定していますが思い通りの模様をつけることは至難で、同じ入り方をする模様は二度と再現出来ないと言われています。

このように出来るので多種多様な種類があり、大きく区別すると真っ直ぐに刃が入る直刃と波が打っているように見える乱刃(みだれば)があり、小乱れもこちらの方です。刀の世界では直刃に始まり直刃に終わるという格言のように、原点ともいえる直刃は時代や流派に関係なく多くあります。

切れ味が良く、折れにくく曲がりにくいので戦での実戦用でよく利用されてきました。乱刃は特性のためにたくさんの種類があり、観賞用になっている現代ではたくさんの人を魅了していて刀匠のセンスや時代、流派などを色濃く残して表しているのもこちらの方です。

ちなみ直刃だと何の変化もないように感じますが、マルテンサイトという鉄の粒子で出来る細かい違いがあって、荒めの粒子が主体だと沸出来、肉眼で見ることが難しく白い霧のように見える細かい粒子が主だと匂出来に分類されます。

乱刃の細かな分類とその特徴について

日本刀の買取では、幅広さによって直刃は細・広・中に分けられていて、乱刃も乱れの文様に規則性がないものの中で、波の入り方が小さいものを小乱れ、大きいものは大乱と呼んでます。

規則性があるものだと、一般的なものは凹凸模様が繰り返し連なっている互の目(ぐのめ)または五の目があって、その中で凹凸模様が複雑で変化に富んでいるものは互の目乱れと言います。文様の先がとがっている尖り互の目や、波形が斜めに傾いている片落ち(肩落ち)に尖り互の目の3本目が高く突き出している三本杉、珠玉を連ねたような数珠刃などがあります。

中でも数珠刃は江戸の刀匠長曽根虎徹が生み出したもので現在の日本の買取でも高く評価されてます。丁子は植物の丁子に似ていることから名前が付きましたが、初期のころは文様が小さく小丁子と言われていて古一文字派に多く使われており、最盛期は華やかさが増してきて拳丁子などが生まれています。

他にも迷子と呼ばれる種類も出てきて、備前一文字派や備中青江派に多く見られます。  波が大きい湾れ(のたれ)は比較的広い時代で使われていて、波が大変ゆったりしているものを大湾(おおのたれ)といって乱刃の中でも一番直刃に近いです。刀だけでなく平地の部分まで焼きが及んでいるタイプもあって、皆焼(ひたつら)といって国宝のへし切り長谷部にも入っています。

打ち寄せる大波を象る濤瀾(とうらん)は、大阪の刀匠が生み出したもので装飾性に富んだ絵画的なものです。 乱刃は時代の流行や地域の特性、刀匠の好みなどで色々あって分類されています。

刃文の主な特徴と焼き入れについて

日本刀の買取でも特に重要視される刃文は、刀身の地と刃の部分の間に出来る線のことで模様とも言われていて、色々な種類があって時代や刀鍛冶の流派、刀工一人一人によって違うのでこれが買取の鑑定における大きな手がかりの一つです。

刀の歴史は古いですが平安時代や中期以降に作られたものが日本刀で、江戸時代に入ると武器よりも美術品として扱うようになってきたため、時代の流れにそってそれまでの自然な形よりも外見上の美しさを求めて多くのデザインが出てきました。華麗で斬新なものもたくさんあります。江戸時代元禄期以降のものがおすすめで、美術館や博物館などでも鑑賞が出来ます。

ここで注意が必要なのですが、展示されている状態によって見えにくいことがあり、光の当たり方で見えたり見えなかったりするため、上下左右と様々な角度からみることで刃先に他とは違う模様が浮き上がる場合があります。

刃文に影響をする焼き入れですが熱した刀身を水へ漬ける重要な工程で、刀工は焼き入れが最も緊張すると言われており、一度行うとやり直しが出来ません。温度一つで高すぎると刃切れになって刃に亀裂が入ってしまうためダメになり、低すぎると焼きが入りません。

そのため焼き入れは夜に行い、照明を落として真っ暗にしてから鋼の色を見て温度を正確に判断します。これは経験によるところが大きい感覚的なもので、焼き入れ工程が難しいと言われるところです。

 

日本刀には焼き入れによって刃文が入りますが、これにも多くの種類が存在しています。小乱れもその一つであり、買取の際にもその入り方によって査定金額が違ってきます。可能であれば事前に自分でどの種類になるかを確認しておくと金額の予想も付けやすいです。

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