日本の刀剣は美術的価値が高く国内外を問わず高い人気を誇ります。
そんな憧れの日本刀を入手するにあたっては、いくつかの法律上の問題点をクリアする必要があります。
その美しさで魅了するばかりでなく、鋭利な切れ味でも知名度の高いことから、取り扱いにも注意が必要になります。
そこで今回は必要になる法的知識を確認しておきましょう。
そもそも所持するには資格が必要になるのか?
刀剣を購入するにあたって、所持するのに特別の免許などは必要になるのかという問題です。
猟銃などは行政庁からの許可を取得する必要がありますが、これに相当する規制が存在するのかという問題です。
結論的にいうと刀剣を所持するのに属人的に必要な資格や免許などは必要ではないのです。
ここは猟銃などと違っているところです。
しかし刀剣については話が別です。
刀剣の所持などを規制する銃砲刀剣類所持取締法によると、同法の第三条の六に該当する場合を除いては、「刀剣類」を所持することは禁止されています。
そして刀剣類の意義については同法の第二条の第二項に規定されており、刃渡り15センチ以上の刀などを指すとされています。
従って刀剣でイメージされるものを所持するのは原則として禁止されていることになります。
この立法理由はみだりに危険な刃物や銃砲類が市民社会に流通することは治安を害するリスクが非常に高いために規制されていると考えることができます。
従ってこのような弊害が認められない場合には、所持することを認めることができると考えられます。
そこで行政機関から(具体的には市区町村の教育委員会)「銃砲刀剣類登録証」が交付された日本刀については、これを所持することが認められています。
この登録制度は昭和25年11月に銃砲刀剣等所持取締令が交付されると同時に運用が開始された制度で、これにより俗に「登録証」と呼ばれる「銃砲刀剣類登録証」が普及されることになった次第です。
美術品・骨董品として価値を持つことが必須
これまで御紹介したところから明らかなように、「銃砲刀剣類登録証」の対象になるためには武器ではなく骨董品や美術品として価値を持つことが行政機関から認定を受けることが必要になるわけです。
現在において美術品市場で出回っている刀剣類は交付されていることが一般的なので、適法に譲渡を受けるためにはこの書類の取り扱いを知っておく必要があります。
それでは売買で刀剣を入手したときの手続きを確認しておきましょう。
そもそも日本国内では美術品もしくは骨董品として価値のある刀剣類は、銃砲刀剣類所持等取締法(いわゆる銃刀法)第14条の規定により、各都道府県教育委員会の登録を受ける必要があります。
正規のルートで流通している刀剣は銃砲刀剣類登録証が交付されています。
そこで刀剣類を購入したときにはこの書類も漏れなく交付される仕組みになっています。
この書面は正当な手続きを踏まえて入手したことを証明していることになるので、この書面の交付を受けた購入者は、購入した日から正当な所持者の地位を得たことを意味しています。
逆にいうと、銃砲刀剣類登録証の付いていない刀剣は銃刀法違反の状態になるので所持することができません。
所持そのものが銃刀法違反を構成することになるわけです。
ところで誰がどの刀剣を所持しているかのデータは、教育委員会で保管されています。
売買などで所有者が変わっても、そのままでは誰が新規の所有者なのかを把握することができないので、新たに所有者になったものから教育委員会に通知する必要があります。
そこで新たな所有者は所有者変更届を教育委員会に届け出る必要があります。
所有者変更届をお忘れなく、発見したときも届出を!
刀剣の購入者は所有者変更届においては、「登録所記載事項・住所・氏名・電話番号」を記入し郵便ポストに投函すれば手続きは事実上完了します。
費用は不要で教育委員会から連絡がくることもほとんどありません。
それでは購入したわけではなく、相続した実家の倉などから刀剣が発見された場合はどのように対応するべきなのでしょうか。
未登録のままで所持していると銃刀法違反になるので、管轄警察署などに必要な手続きを踏む必要があります。
発見してから登録するまでの流れを確認しておきましょう。
まず管轄する警察署に刀剣類が発見されたことを知らせます。
その後に警察署に刀剣や印鑑を持参して手続きを行います。
その際には発見時の状況などが質問されますが正直に答えましょう。
その後に発見現場の調査などが行われ、管轄の教育委員会に発見届が送達されます。
その後教育委員会での登録審査会を経て美術的価値の有無が判断されて、認められれば銃砲刀剣類登録証が発行されることになるわけです。
日本刀は銃刀法で美術的価値があると認められ、銃砲刀剣類登録証が交付されたものだけが売買の対象になります。
新たに刀剣を購入したら教育委員会に所有者変更届を出すことを忘れないように注意しましょう。
これらの書類を所持していないと、銃刀法違反になるので注意が必要です。