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公開日:2018/05/01  

日本刀の手入れ・メンテナンス方法

日本刀の手入れ・メンテナンス方法

日本刀の手入れは難しそうだからと放置しておくと簡単に錆びてしまいます。
錆びて輝きを失った日本刀はジャンク品、刀剣ショップに持ち込んでも相手にされないこともあります。
せっかく日本刀を所持しているのなら、ご自分で定期的に手入れを行うことが望ましいでしょう。

日本刀の手入れは決して難しいものではありません。
錆びさせないようカビの入らない所に保管し、いつまでも輝きを保つよう手入れするだけなのです。
その方法は他の生活用具の手入れ・メンテと何ら変わることはありません。
日本刀の手入れ・メンテナンス方法についてご案内します。

 

日本刀の手入れ・メンテナンスに必要な道具

何事も道具を揃えることから始まります。
日本刀の手入れ・メンテにはそのために市販されている道具もありますが、代用の効くものもあります。
せっかくですからドラマの中のお侍さんのように打粉をポンポンと打って浸りたいもの。
日本刀の手入れ・メンテナンスに必要な道具をご紹介します。

① 目釘抜き
日本刀には柄に刀身を固定するために目釘と言われる竹や銅で作られた細い棒状のものが差し込まれています。
まずは、その目釘を抜いて刀身を露わにすることから始めます。
目釘を抜くために使われるのが目釘抜きです。
柄を傷つけることがあるので市販の道具を用いる方が無難です。

② 拭紙
刀身に油を塗るときや、古い油を拭き取るときに用います。
専用の布が市販されていますが、和紙や上質のティッシュペーパーで代用される方もいます。

③ 打粉
古い油を拭い去るときに使用する微細な研磨剤の粒子です。
時代劇でよく目にすることがあるため、打粉を打つシーンは日本刀の手入れのメインのような印象を与えますが、必ずしも必要ではないという説もあります。

④ 油
刀身が錆びるのを防ぐために油を塗って保護しなければなりません。
刀油として、一般的には丁子油が使われていますがミシン油でも代用可能です。

 

日本刀の手入れの手順

日本刀の所持理由は人それぞれで向き合い方もさまざまです。
強い思いで日本刀を購入した方もいれば、先代から受け継いだという方もいます。
いずれにせよ、歴史とその静かな佇まいの前に厳かにならざるを得ません。
特に日本刀の手入れについて決まり事としての作法があるわけではないのですが、正座して一礼してから手入れに取り掛かる方も少なくありません。

① 鞘から刀身を抜く(鞘を払う)
日本刀を鞘から抜くことを「鞘を払う」と言います。
鞘を払う際には鞘を手前側にして鯉口を切り、ゆっくりと手前に引いていきます。
横にしたり、鐺(こじり)を手前にしたりするとケガをする恐れもあるのでもっとも安全と思われる方法を用いましょう。

② 柄から刀身を抜く(目釘抜き)
柄にある目釘という小さな杭を目釘抜きという道具を使って抜きます。
そして、柄から刀身を少しずつ引き抜いていきます。
窮屈で抜けにくい場合には角木を当て木槌等を用いることもあります。
目釘抜きを行った際、小さな目釘を紛失しないよう柄の穴に差しておくなどの工夫が必要です。

③ 古い油を拭う
露わになった刀身には古い油が付着しています。
油は一時的な錆び除けにはなりますが、時間と共に劣化し、くすみや錆の原因ともなります。
そのため、一定期間を経た油は拭き取る必要があります。
拭紙やティッシュペーパーを使い、刀身に沿って包み込むように拭い去っていきます。
もっとも怪我をしやすい作業ですので刃の側でなく背の方から包み込み、力を入れすぎないなどの注意が必要です。

④ 打粉で軽く拭い取る
拭紙で油を拭き取っても刀身にはまだくすみが残っています。
このくすみを取り除き、日本刀本来の輝きを取り戻すために必要なのが打粉を打つという作業です。
刀身に3㎝ほどの間隔で打粉を打ち、軽く拭きとっていきます。
この行為を繰り返すうちに、刀身は本来の輝きを取り戻していきます。
注意すべきはやりすぎないこと、力を入れすぎないことです。
打粉は研磨剤です。
加減によっては刀身に傷がつく恐れがあります。

⑤ 鑑賞する
油が完全に拭い去られ、くすみが消えると妖艶な刃紋と地鉄が露わになります。
裸電球などにかざし、じっくりと鑑賞することが日本刀の手入れの醍醐味です。
地鉄の状態、光りの映えや流れ、その日本刀の云われなどを想像しながらじっくりと鑑賞しましょう。

⑥ 新しい油を塗る
鑑賞が終わったら、錆防止と保護のために新しい油を塗ります。
化粧用コットンなどで軽くなぞる程度にし、塗りすぎないことが大切です。
丁子油などの植物性の油は酸化しやすい傾向にあるので注意が必要です。

 

日本刀の手入れ・メンテナンスの注意点

日本刀の手入れ・メンテナンスにおいて忘れてはならないことは独特の輝きを維持するために行っているということです。
油の塗りすぎ、打粉の打ち過ぎにはくれぐれも注意しなければなりません。
手入れは鑑賞するたびに行うことが基本ですが、頻繁に鑑賞される方はそのつど打粉を打ったり、油を塗ったりする必要はありません。
打粉の打ち過ぎは傷の原因、塗りすぎた油はホコリやゴミを吸着し、鞘などにも付着し酸化してしまいます。
季節や気象条件により異なりますが3ヶ月に1回くらいが適切と言えます。

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