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公開日:2020/08/15  

日本刀の部品「目貫」とは

刀剣を専門に扱うお店に買取を依頼すれば、所有する刀を簡単に売却できますが、買取価格は刀の品質によっても大きく異なります。刀の各部品も買取価格を決定する大きな要因になりますが、刃や鞘などと同じく、刀の品質に大きな影響を与えているのが柄の部分です。

日本刀を装飾するために使われる目貫

日本刀の買取を専門店に依頼した場合、査定の対象になる部品の一つが目貫です。目貫とは刀の柄の装飾のことで、実用性とはあまり関係がないですが、美術品として高く評価されている刀には、美しい装飾を持ったものがつけられていることが多いです。

そのために、全体の外観にも非常に大きな影響を持っている部分なのですが、もともと目貫とは刃が柄からとれないようにするために、柄を刃をとめるための釘のことを指す言葉でした。

現在ではこの部分は目釘という名前で呼ばれるようになったので、両者は別のものとみなされているのですが、もともとは同じ意味を持った言葉でした。目釘と同じ意味で使われることもありますが、必ずしも間違った使い方ではないために、どちらの名前で呼んでもいいことになっています。

目貫の本来の役割である、刃と柄を固定させる役割

刀の刃を柄の部分に固定されるために目貫が使用される場合には、まず柄の部分に釘を通すための穴が開けられます。この穴のことを目釘穴と呼んでいますが、この部分に釘を通すことで、刃と柄をしっかりと固定することができます。日本刀の柄は材料に木材が使用されることが多いですが、刀を固定するために穴に入れる部分には、金属が使用されることが一般的でした。

古い時代には銅がよく材料に使用されていますが、時代が下ると植物も材料に使用されるようになりました。特によく使われていたのが竹で、竹は植物の中でも非常に折れにくい性質をもっていることから、刃と柄を固定させるために使用しやすい素材なのです。竹を燻製の状態にしてから使用することで、そのままの状態で使用するよりも、刀を固定しやすくなります。

厚みのある竹のほうが、刀を固定するのには適していたため、品質の優れた刀を製作するために、厚みのある竹が必要になります。竹のどの部分を使用するかによっても、刀と柄の固定しやすさは異なっていて、最もしっかりと刀を固定できるのは、竹の根元から10センチメートルほど離れた場所のものです。

竹の古さによっても固定しやすさが異なっていて、長い年月をかけて寝かせたもののほうが、しっかりと刀を固定させることができます。使用されている素材の品質が劣っていると、使用しているうちに劣化してきて、折れてしまうこともあるので、長く使用できる日本刀を製作するためには、丈夫な竹を使用することは欠かせないのです。

装飾のためにもさかんに使われるようになった目貫

目貫は、本来の意味である刃と柄を固定する役割の他に、時代が下ると装飾の目的でもさかんに使われるようになります。現代で目貫という言葉が使われる場合には、この装飾の部分だけを指すことが多く、刀の鑑定がおこなわれる場合でも評価の重要な対象になります。金属で作られているものが多く、さまざまな形に変形できることから、刀ごとに特徴のあるものがつけられています。

装飾として一般的に使われるようになったのは室町時代のことで、刀の装飾を専門におこなう刀工が現れたことから、多くの刀にも付けられるようになりました。江戸時代に入ると、刀剣は実用性のある武器としてよりも、美術品としての価値が重視されるようになったので、刀の柄を美しく装飾することができる目貫も、さまざまなタイプのものが製作されるようになったのです。

所有する人のオーダーメイドで作成されることも多く、特に多かったのが、刀を購入する人の家紋をデザインしたものです。誰の所有している刀か一目でわかるので、多くの人が自分の家紋を入れるために使用していました。

刀は親から子供へ受け継がれる財産でもあったために、家紋の入ったものは、先祖代々の財産としても大切にされ、家紋以外では動物の絵柄などもよく使用されていて、武士の持ち物らしい、強そうなイメージを持っている動物のデザインがよく使用されていました。

特に多かったのが虎をデザインしたもので、虎は日本でも昔から強い動物として人気があったため、刀のデザインにもよく取り入れられています。虎と同じようにデザインによく使われていたのが竜で、竜虎という言葉があるように、竜は虎と同じくらい強い動物として人気がありました。

空を飛ぶことができる竜は、刀のデザインにも使用しやすい動物でした。使用する素材にこだわったものもあり、中には黄金を使用して作られたものもあり、柄全体に非常に豪華な雰囲気があります。

 

日本刀に使用されている部品でも、装飾と実用の両方に重要な役割を果たしているのが目貫です。もともとは、刀の刃と柄の部分を固定させるために使用されていたもので、目釘と同じ意味を持っていました。

時代が下がると装飾のためにも使用されるようになり、金属の材料を使用してさまざまな形状のものが作られています。特に多かったのが所有する人の家紋がつけられたもので、竜や虎などの動物をデザインしたものも人気がありました。

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