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公開日:2021/11/01  

日本刀のパーツ構成と部位ごとの名称について学んでいこう!


大河や時代劇などで必ず目にするのが「鎧」や「刀」ですね。中でも「日本刀」に興味を持っている人は大勢いるでしょう。しかし、日本刀がどのようなパーツで構成されているのか知っている方は少ないはずです。そこで、日本刀をより深く知るために、パーツ構成や部位ごとの名称について一緒に勉強していきましょう。

刀身のパーツ構成と部位ごとの名称

まずは、刀身から勉強していきましょう。刀身とは刀本体のことを指して呼んでいて、鞘(さや)に納まる刃の部分と、柄(つか)と呼ばれる手で持つ部分の2つに大きくわかれています。

この2つだけならカンタンなのですが、日本刀にはとてもたくさんの名称がついているのです。これから名称を解説しますが、順番は日本刀の柄(つか)の一番下から刃先に向かって解説していきます。

■茎尻(なかごじり)

先に解説した柄(つか)の部分を「茎(なかご)」と呼びます。その茎(なかご)の最下部の部分を「茎尻(なかごじり)」と呼んでいて、形状によって、一文字・栗尻・刃上栗尻・剣形・入山形などに分類されています。隠れて見えない部分ですが、刀工の個性が見られる部分です。

■銘(めい)

茎(なかご)彫られた刀工の名前などです。

■目釘穴(めくぎあな)

刀身を柄(つか)に固定するために、茎(なかご)に開けられた穴のことです。

■鑢目(やすりめ)

茎(なかご)に施された文様のことで、刀身が柄(つか)から抜けない役割をしています。

■鎺下(はばきした)

刀身を鞘(さや)に固定するための金具を「鎺(はばき)」と呼んでいて、この鎺(はばき)がハマる部分を「鎺下(はばきした)」と呼んでいます。

■刃区(はまち)

刃の部分である上身(かみ)と茎(なかご)の境目で、刃側にあるくぼみのことです。刀を研ぎ過ぎて、すり減っていないかを確認する重要なポイントとなります。

■棟区(まちむね)

刃の部分である上身(かみ)と茎(なかご)の境目で、刃側の反対である「棟」(むね)と呼ばれる部分になります。

■重ね(かさね)

刀身の厚さのことです。重ねが薄いと切れ味がよくなりますが、曲がりやすいことが弱点となります。

■上身(かみ)

刀本体の刃全体を上身(かみ)と呼んでいます。区(まち)から切先(きっさき)までが、上身(かみ)となります。

■刃長(はちょう)

棟区(むねまち)から切先(きっさき)までの長さのことで、刀身の長さはこの刃長(はちょう)の距離を測定して表現します。

■反り(そり)

棟区(むねまち)から切先(きっさき)までを直線で結んだ線と、棟(むね)の離れが一分大きい部分の長さのことです。反り(そり)が大きいほど、刀身のカーブが大きくなります。

■身幅(みはば)

棟(むね)から刃先までの長さで、刀身の幅のことです。区(まち)部で測った幅は「元幅」横手筋(よこてすじ)部で測った幅は「先幅」と呼ばれます。

■三つ頭(みつがしら)

鎬筋(しのぎすじ)と小鎬筋(こしのぎすじ)と横手筋(よこてすじ)の3つの部分が交わるところ。刀鍛冶や砥師が細心の注意を払う部分です。

■三ツ角(みつかど)

刃先、ふくら、横手筋(よこてすじ)が接する点のことで、この点から切先(きっさき)に向かって独特の曲線となります。

■物打(ものうち)

刀身の横手筋(よこてすじ)から下部へ5、6寸前後の長さの部分で、もっともよく切れるところです。

■切先(きっさき)、鋒(ほこ)

刀身の先端部分で、先の三つ頭(みつがしら)から先の部分を呼んでいます。切先(きっさき)の長さは時代と共に変化していて、大切先(おおきっさき)と呼ばれる南北朝時代には5cmを超える長さでした。

鍔のパーツ構成と部位ごとの名称

続いて今度は「鍔(つば)」について勉強していきましょう。鍔(つば)は、上身(かみ)と茎(なかご)の間に付ける刀装具(とうそうぐ)のことで、刀剣を扱う際に手が上身(かみ)部、つまり刃の部分に滑らないようにするための、いわば安全装置的な役割をしているのです。

■縁(ふち)

柄(つか)の鍔(つば)側に付けられた金具で、柄(つか)を補強する役目があります。

■切羽(せっぱ)

鍔(つば)を挟みこんで、刀身と鍔(つば)を柄(つか)に固定する役割を持つ金具のことで、太刀(たち)では、表側と裏側にそれぞれ2枚ないし3枚ずつ使用されています。

■大切羽(おおせっぱ)

鍔(つば)の形に合わせて大きめに制作された切羽(せっぱ)で、役割は先の切羽(せっぱ)と同様です。

拵のパーツ構成と部位ごとの名称

最後は拵(こしらえ)について勉強しておきましょう。拵(こしらえ)とは鞘(さや)や柄(つか)などを含めた刀装具の総称のことです。主な役割は刀剣の保護にありますが、持ち主の威厳を示し、家柄を象徴する道具として使われてきました。

拵(こしらえ)は大きく分類すると、太刀(たち)に用いる「太刀拵(たちこしらえ)」と、打刀(うちがたな)に用いる「打刀拵(うちがたなこしらえ)」の2つに分類されます。今回は、代表的な「打刀拵(うちがたなこしらえ)」について勉強しましょう。

■鞘尻(さやじり)

鞘(さや)の末端部分のところです。

■鐺(こじり)

鞘(さや)の破損防止目的に、鞘(さや)の下端部分に付けられた金具のことです。

■返角(かえりつの)

鞘(さや)が腰から抜け落ちないよう帯に付けるための留め具のことで、水牛の角でできたものを「返角(かえりつの)」、金属でできたものを「折金(おりがね)」と呼んでいます。

■栗形(くりがた)

腰の当たりにある下緒(さげお)を通すためのもので、形が栗に似ていることから名付けられています。

■下緒(さげお)

刀が腰から抜け落ちないよう、帯に結び付けるための紐のことです。先の栗形(くりがた)に通して使います。

■柄巻(つかまき)

柄(つか)の補強のためと、握った際の手との一体感を高めるために施される装飾のことです。

■頭(かしら)

柄(つか)の補強を目的に、柄(つか)の先端に取り付けられる金具のことです。

 

日本刀のパーツごとの名称を勉強してきましたが、一度では覚えきれないほどのとても多くの名称が存在しますね。刀身については、ほぼすべての名称を勉強できましたが、拵(こしらえ)については代表的なパーツのみになっています。太刀拵(たちこしらえ)については、さまざまな種類と多くのパーツがあるので、すべて覚えるのは難しいかもしれません。歴史上の有名人やドラマで見たキャラクターはどんな刀を使っていたのか、と興味をもって調べると、案外早く覚えることができますよ。

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