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公開日:2020/02/01  

日本刀買取で人気の刃紋は?

日本刀を美術品あるいは芸術品として鑑賞するときには刀身の形状や柄の美麗さ、鍔の技巧の入り方などに加えて、刃紋の美しさが重要なポイントの一つになります。買取を依頼するときにもきっとその美しさが価格に影響するはずだと考えることができるでしょう。日本刀の買取業界ではどのような刃紋を持っているものに人気があるのでしょうか。

そもそも刃紋とはどういうものか

日本刀の買取をしてもらおうと考えているときに刃紋についての知識がそもそもないという人もいるかもしれません。まずは簡単にどういうものなのかを理解して、人気や価格にどのような影響を及ぼすのかを考察していきましょう。

刃紋とは焼き入れをした刃先についている模様のことで、焼き入れをしてあるかどうかの判断材料になるだけでなく、見た目の美しさを引き出す重要な要素として知られています。

焼き入れをしたときにランダムにできてしまう模様というわけではなく、焼き入れの際に焼刃土の置き方を工夫することによって規則的な文様を作り出しています。高温になるまで熱した刀身を水につけて急速に冷却するときに、刀身の主要成分である鋼の品質が変化することによって模様が作り上げられるのです。

その模様が美しいというのは昔から認識されていたことであり、刀工によってこだわりを持っていることもよくありました。そのため、他の人には真似できないように模様を決めて焼き入れをすることにより独自性をアピールしている刀工も少なくありません。刀工の芸術センスが反映された芸術価値の高いポイントだと考えることができるでしょう。

典型的なのが刀身に対してまっすぐ模様が入る直刃と呼ばれるもので、シンプルでありながらもしっかりとした存在感を示す一刀に仕上がります。それに対して模様が波打っているものはひとまとめにして乱刃と呼ばれていて、さらに特徴によって細かく分類されています。

ゆっくりと波打つような姿である「のたれ」や、少し細かく波打っている「ぐのめ」などさまざまな種類の乱刃があり、命名されているものとは違う様子の模様がついているものも存在しているのが実態です。有名なものだけでも他にも「丁子」や「三本杉」などがあり、それぞれに対して高い評価があります。

美術的な人気と買取の人気は違う

日本刀の刃紋について結局どれが人気なのかと考えたときに気をつけておきたいのが、美術や芸術という観点からの人気と、買取における人気は異なるということです。

確かに日本刀は美術品や芸術品としてもてはやされている状況があります。しかし、売買の価格については美しさだけでなく誰が所有していたものか、どの刀工が手がけたものかという点でも評価されるのが一般的です。

さらに類似のものがある場合には希少価値が低いといった評価を受ける場合もあるため、取引価格が必ずしも美術的な人気と相関するわけではありません。見た目でいかに美しかったとしても高く売れないこともあり、逆にあまり綺麗とはいえないようなものだったとしても高く売れることもあるのです。

美術的な意味合いでは規則性が高い直刃、のたれ、ぐのめは人気があります。不規則な乱刃に比べると誰もが美しいと感じやすいことから一般的に人気が高くなっているのです。ただ、ある程度ランダム性がある乱刃や不規則に見えながらも統一性があるといった技巧に富んでいる乱刃の場合にはコアな人たちが飛びつくことが多く、目が肥えている人ほど美しいという評価をする傾向があります。

このような稀少性があるもののほうが売買価格が高めになる傾向があり、買取業者としても積極的に買い取って販売している傾向があるのが実態です。

種類よりも技巧が優れているかが重要

実際には買取業界における人気は刃紋の種類ではなく、どれだけ技巧が優れているかによって左右されています。同じ直刃であっても寸分の乱れなくまっすぐになっているものもあれば、微妙に不規則な乱れが生じているものもあります。

芸術という観点で見てみると技術的に優れていたのは前者だと考えることができるでしょう。もし乱れを生じさせるなら、のたれや丁子などにしてはっきりと美しさを見出せるようにするのが妥当だからです。

このように刃紋に着目するのなら技術的に優れていることが買取業界では求められています。ただ、人気の刀工が仕上げた刃紋を持っている日本刀には比類ない人気があるのは確かで、その刀工が本当に高いレベルの技術を持っているとは限りません。複合的な要因によって人気は決まるということはよく理解しておきましょう。

 

日本刀の刃紋は刀工がこだわりを持って作り上げた芸術的な部分であり、買取の人気にも大きな影響を及ぼしています。ただ、必ずしも日本刀の人気は美しさだけに影響されるわけではないため、美術や芸術における人気とは相関がない場合もあります

一般的な傾向としては刃紋の種類よりも技巧の秀逸さが求められていて、どの種類にも高い人気があるのが実情です。ただ、刀工の人気などにも買取価格は左右されるので注意しなければなりません。

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