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公開日:2021/06/15  

身分が低くても帯刀可能だった?短い日本刀「脇差」とは?


日本刀にも多くの種類があり、武士が帯刀する場合は二本持ち歩いていました。よく時代劇で見る長い刀と短い脇差です。脇差の特徴が気になる人もいるでしょう。この記事では脇差とはどのようなもので、刀、短刀との違い、脇差の歴史、高価買取を狙える種類について紹介していきます。日本刀のひとつ「脇差」に興味のある人は、参考にしてください。

脇差の種類と特徴

武士は刀を長い刀と短い刀の2本帯刀していました。長い方を本差、短い方を脇差といいます。脇差の読み方は「わきざし」あるいは「わきさし」です。長さは30~60センチの短い刀で、本差を補助する役割を担っています。短いので、軽く、携行性に優れているのが特徴です。

剣術に馴染みのない人や特別な訓練をしていない人でも扱いやすく、生活上の動作の邪魔にはなりません。脇差は長さが30~60センチほどで、本差はそれ以上の長さがあり、およそ70~80センチとされているのです。すぐ判別できる方法として、脇差と本差の境目はこの長さの違いにあります。おおよそ60センチより短ければ脇差、60センチよりも長ければ本差の刀と考えてよいでしょう。

また、本差は本来、人間を殺傷することに特化したものです。そのために反りがあり、反りが大きければそれだけ殺傷能力があがります。しかし、厳密には1センチ単位で本差と脇差がわかれ、長さだけでは脇差、本差なのかを判別するのが難しいことがあるのです。その時は、鍔を見てみましょう。本差の鍔には穴が2つ存在します。これは、小柄と笄を通すためのものです。脇差にはその穴が1つのみなので、ここで判別できるでしょう。

また、脇差と同じように刃の部分が短い短刀があります。これは本差、脇差のように鍔がなく、一般的には刃の部分が30センチ未満と小さいものです。脇差は大きく大脇差、中脇差、小脇差に分類されます。大脇差は脇差の中では大きく、1尺8寸(54.5センチ)から2尺(60.6センチ)のもので、小太刀、長脇差と呼ばれるのです。

先にも述べたように刀との区別がつきにくいですが、柄の穴の数で判別しましょう。中脇差は1尺3寸(40センチ)から1尺8寸(54.4センチ)の脇差です。江戸時代の町人の多くが取り回し、傾向性に優れる中脇差を愛用しました。小脇差は1尺(30.3センチ)~1尺3寸(40センチ)で非常に小型のものになります。

脇差の歴史

上記のように、武士は本差と脇差の日本の刀を携行していました。ここで疑問になるのが、武士はなぜ2本の刀を携行するようになったのかということでしょう。それは江戸時代に制定させた武家諸法度に理由があります。武家諸法度とは、江戸幕府の2代将軍「徳川秀忠」が公布した、全国の大名達に規範を示した法令です。

この中で、武士は本差1本と補助の役割を持つ脇差1本を帯刀することが定められました。脇差については、1~2尺と定められたのです。そこから武士が本差、脇差の2本の刀を持つ形が定着し、脇差が広く使用されることになりました。さらに脇差は、武士だけでなく庶民にも広がったようです。

当時、町人や農民は刀を持つことは反乱防止、治安維持などの理由で厳しく制限されていました。「町人だって刀の形状をしている脇差を携帯しているじゃないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、脇差はあくまで刀を補助するものであり、刀としてみなされていませんでした。

そのため、町人、農民でも脇差を携行できたのです。当時は強盗、殺人、窃盗等が多いうえ、武士より身分の低い町人や農民は理不尽ないいがかりをつけられ、時には命の危険もありました。護身用の武器として脇差を携行したのは当然で、多くの町人、農民が持ち歩いていたのです。

高価買取を狙える脇差もある?

脇差でも、有名な武将が所持していたものや加治工が作成したものは高価買取が見込めます。しかし、なかなか素人ではその価値を判別することは難しいのが現状です。脇差の銘文や由来を示した書物などが同封されていれば、判別しやすくなります。売却の際には、インターネットで最寄りの刀剣評価鑑定士を検索して、査定してもらうのがおすすめです。

刀剣評価鑑定士は、全国刀剣商業協同組合が認定する資格となっています。個人間売買やオークションサイトでは、トラブルや詐欺に遭う可能性があるでしょう。また、刀剣の価値を充分に理解できていないリサイクルショップや古物商に査定を依頼したら、適切な値段が付かない、無価値と査定されることも想定できます。

そのような事態を避けるためにも、刀剣の価値を正しく査定できる刀剣評価鑑定士に依頼するようにしましょう。なお、脇差でも所持、売却をするには銃砲刀剣類登録証が必要です。銃砲刀剣類登録証が付属しているか確認し、相続で譲り受けた場合など付属していない場合は、警察署に届け出るようにしましょう。

 

脇差とはどのようなもので、刀、短刀との違い、歴史、高価買取を狙える種類について紹介しました。時代の流れに密接に関連している脇差の歴史を理解すると、脇差ひとつでも思いを馳せることができるのではないでしょうか。刀の陰に隠れてしまいがちな脇差ですが、重要な役割があり、歴史的にも多くの人が脇差を愛用していたのです。上記を参考にポイントを抑えて、納得のいく売買をしてください。

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